いよいよ発売のレクサス新型「LS」は高級車のイメージを変えられるか

いよいよ発売のレクサス新型「LS」は高級車のイメージを変えられるか

2017.10.20

フルモデルチェンジを経ていよいよ発売となったレクサスのフラッグシップセダン「LS」。開発を担当した旭利夫チーフエンジニアは「高級車の概念を再定義すべく、全てを根本から見直した」と語る。それでは、新型LSは既存の高級セダンと何が違うのだろうか。

1989年に登場した初代から数えて5代目となる今回の新型「LS」。発売日は10月19日、価格は税込みで980万円から1,680万円だ

デザイン・走り・安全性で高級車を再定義

「高級車の概念を再定義」すると語る旭氏に、既存の高級車の概念と、新型LSが示す既成概念との違いを尋ねると、同氏はまず、これまでの高級フラッグシップセダンの在り方として、「例えばデザインでは伝統的なスリーボックス」であり、パワートレインについては「大排気量の大きなエンジンでパワーを稼ぐ」のが一般的だったとした。

では、新型LSは何が違うのか。まずデザインを横から見ると、クルマの後部にかけて流線型を描くクーペスタイルが印象的だ。確かに、エンジンルーム、キャビン、トランクルームに分かれるスリーボックスカーとは一線を画している。

クーペスタイルが特徴

パワートレインはというと、新型LSが搭載するのはV型6気筒3.5リッターのツインターボエンジンとマルチステージハイブリッドシステムの2種類であり、ダウンサイジング(旭氏はスマートサイジングと表現)を実現している。そうなると、高級車らしい動力性能が担保されているのか心配になるが、旭氏によれば、ツインターボエンジンと「Direct-Shift 10AT」(10速オートマチックトランスミッション)の組み合わせにより、競合する「V8ターボと同等以上の」加速性能を持たせることができたという。

また、先進の安全技術についても、新型LSでは先進技術を押し売りするのではなく、乗る人とクルマが対話・協調するような、人に寄り添う安全技術を目指したとのことだ(新型LSの高度運転支援システムについて、詳しくはこちら)。

これまでの高級セダンとは一線を画す存在だとレクサスが自信を示す新型LS。では、どのような顧客をターゲットとし、どのくらいの販売台数を目指していくのだろうか。

富裕層の嗜好に変化?

まず高級車市場の需要は「底堅い」(レクサス国内営業部長の渡瀬修氏)し、国内の自動車市場全体が漸減していくとすれば構成比は増えていきそうな情勢だというのがレクサスの見方。ただし、需要には質的変化が見られるらしく、旭氏は「ラグジュアリーカー市場に転換期」が訪れているとの考えを示した。具体的には、この市場ではモノの所有よりも経験が、そして、モノそのものが発信するストーリーが重視されるようになりつつあるそうだ。

この流れを受けて、新型LSでは定量的なクルマづくりから離れて、デザインや走りの気持ちよさなど、数字に表れにくい「感性価値」を高めることにこだわったという。レクサス自体も、高級車ブランドからライフスタイルブランドへの転換を図っているらしい。

旭チーフエンジニア(左)と須賀厚一プロジェクトチーフデザイナー

新型LSで反転攻勢を仕掛けるレクサス

新型LSの事前受注は7,600台だと明かされたが、月間販売600台を目標とするクルマとして出足は好調なようだ。事前受注のうち8割はLSからの乗り換えだという。どんな顧客がターゲットかという問いに渡瀬部長は、「レクサスオーナーはもちろん他社、特に輸入車に乗っている人」にアピールしたいと答えた。新型LSが再定義した高級車の新たな概念に、輸入車オーナーがどのような反応を示すかが、新型LSの売れ行きを左右しそうだ。

日本におけるレクサスの販売台数を見ると、2017年1~6月は約2万2000台で前年同期比77%と伸び悩んでいる。要因としてはLSのほか、SUV「NX」とコンパクトカー「CT」でもマイナーチェンジを控えていたため、モデル末期の台数減が影響したという。NXもCTもマイナーチェンジ後の受注は好調とのこと。渡瀬部長は2017年後半の販売を加速させるべく、新型LSを起爆剤にしたいと意気込みを語っていた。

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

NewsInsightは、諸般の事情により記事更新を終了いたします。

ご愛顧いただいた読者の皆様、また関係者の皆様に、編集部一同、誠に感謝いたします。

なお、NewsInsightに掲載中の記事につきましては、引き続きマイナビニュース(https://news.mynavi.jp)へと掲載場所を移管いたします。

掲載中の連載記事につきましても同様に、マイナビニュースへ移管いたします。各連載記事の新しい掲載URLにつきましては、以下となります。

○安東弘樹のクルマ向上委員会!
https://news.mynavi.jp/series/andy

○森口将之のカーデザイン解体新書
https://news.mynavi.jp/series/cardesign

○清水和夫の自動運転ソシオロジー
https://news.mynavi.jp/series/autonomous_car

○ゲームとともに振り返る“平成”という時代
https://news.mynavi.jp/series/game_heisei

○岡安学の「eスポーツ観戦記」
https://news.mynavi.jp/series/e-Sports_review

○企業戦士に贈る「こむぎのことば」
https://news.mynavi.jp/series/komuginokotoba

○藤田朋宏の必殺仕分け人
https://news.mynavi.jp/series/shiwakenin

○「食べる」をつくる科学と心理
https://news.mynavi.jp/series/food_science

○阿久津良和のITビジネス超前線
https://news.mynavi.jp/series/itbiz

○山下洋一のfilm@11
https://news.mynavi.jp/series/filmat11

○モノのデザイン
https://news.mynavi.jp/series/designofthings

○知って納得、ケータイ業界の"なぜ"
https://news.mynavi.jp/series/mobile_business

○文具ソムリエール・菅未里の「新しいコンパス」
https://news.mynavi.jp/series/bungu

○活字・写植・フォントのデザインの歴史 - 書体設計士・橋本和夫に聞く
https://news.mynavi.jp/series/font-history

○カレー沢薫の時流漂流
https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu

最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu