食生活の新機軸 - 働く女性を応援するオイシックス

食生活の新機軸 - 働く女性を応援するオイシックス

2016.05.16

食の宅配サービスが好調だ。矢野経済研究所の「食品宅配サービス市場に関する調査結果 2015」によれば、2015年度の市場規模は1兆9,864億円、2019年度には2兆1,470億円にまで拡大すると予測されている。多くの企業が参入し、競争が激化するこの市場において、いま成長中の企業に話を聞いてきた。本記事では、働く女性を応援するオイシックスを紹介する。

「後ろめたさ」を感じる女性

2016年4月1日にブランドロゴを一新したオイシックス。Oisixで販売している代表的な野菜がモチーフになっている(オイシックス本社受付にて撮影)

2016年4月から女性活躍推進法が施行された。厚生労働省によれば、いまや女性労働力人口は2,824万人、全体の42.9%に及ぶ(2014年度)。仕事をしながら家事も育児もこなす女性は、当たり前だが忙しい。一緒に暮らす家族と家事分担をしていたとしても、「時短」ニーズはかなり大きいだろう。

しかし、「(時短して)ラクすることを手抜きと考えて、後ろめたいと思ってしまう女性が多いようなんです」と答えてくれたのはオイシックス 広報室 室長の大熊拓夢氏。いくら忙しくても買ってきたお惣菜や冷凍食品を食卓に並べることに対して、なんとなく罪悪感を抱いてしまう。それに、栄養バランスも心配。こういった不安や不満を解消するべく、オイシックスが提供するのは半調理献立キット「Kit Oisix」(きっと おいしっくす)だ。

そもそもだが、オイシックスは「子どもに安心して食べさせられる食材」をコンセプトに、有機や特別栽培された農産物などの宅配サービスをオンラインサイト「Oisix」にて提供。定期食品宅配サービス「おいしっくすくらぶ」の会員は現在約10万人に上る。商品を好きに入れ替えられる、受取日時や場所を変更できる、「今週はいらない」と思ったらキャンセルできる、それらすべてをパソコンやスマートフォンから行えるといった自由度の高さも、働く女性に人気の理由だ。

Oisixのトップページ

おいしっくすくらぶは「おいしいものセレクトコース」「プレママ&ママコース」「Kit Oisix献立コース」の3コースに分かれているが、会員数の増加を後押ししているのはKit Oisix献立コース。Kit Oisix献立コースでは、Kit Oisix2個とOisixのオススメ食材がセットになって届く。Kit Oisixには必要な分だけ材料や合わせ調味料がセットになっており、主菜と副菜が20分で作れるのだ。

この「20分」という調理時間が絶妙。調理は簡単、そして短い時間で主菜・副菜が完成するものの、火を使う行程があるなど完全なる「手抜き」ではないので手作りした実感を持てる。野菜を5種以上摂れるメニューになっているのも特徴で、栄養バランスの不安もカバーしている。

Kit Oisix献立コースは2013年7月からスタート。働く女性の増加にともなって順調に拡大しており、現在の会員数は約3万人、累計販売数は200万キットを突破した。Kit Oisixが拡大しているのは、上に挙げた以外にも大きな理由がある。

Kit Oisix定番メニューのひとつ(主菜:ジューシーそぼろと野菜のビビンバ、副菜:小ねぎとのり、豆腐の韓国風スープ)。左は調理前、右は調理後。カットされた野菜やスチームされた肉、計量しなくていい調味料などがセットになっている

ちなみに、Kit Oisixの出荷数量増加にともない、2015年6月には食品加工を行う製造工場「Oisix Dining Center」を新設。4倍の出荷数量に対応できるようになったほか、商品数の拡大にも貢献している。

献立づくりからの解放

Kit Oisixが働く女性から支持されている理由は前ページで述べたとおり、安心安全な食材を使っていることや、調理が簡単にもかかわらず"手抜き感"が少なく、手作り実感があること、野菜をしっかり摂れることなど。しかし、それ以外にも大きな理由がある。

それは、献立づくりからの解放だ。

大熊氏によれば、もともとは調理時間の短縮を目的にKit Oisixを発売したものの、ユーザーからは「献立を考えなくていいのが助かる」といった声が多く寄せられた。多くの女性が日々の献立に頭を悩ませている現状が浮き彫りになったかたちだ。献立を考えるのも大変だし、考えた挙句に「また同じ?」と家族から不満をぶつけられるのもツライところ。Kit Oisixでは定番のほかに週替わりで10メニュー以上を提供。年間で約350メニューを提供しているため、仮に毎日Kit Oisixを夕食に使ったとしても、ほとんど毎日ちがう献立となる。

オイシックスが女性の活躍推進に積極的なクレディセゾンとサイバーエージェントの協力のもと行ったモニター調査の結果。実は献立が一番の悩みだった。それを証明するかのように、約9割がKit Oisixを実際に使ってみて「献立を考えなくてよい」のがラクと回答

メニュー数もさることながら、Kit Oisixのコンセプトは「プレミアムな時短」。ただの時短ではなく、有名シェフや料理家が考案した上質感のあるメニューを提供することで「使うことがむしろ賢いと思ってもらえる」(大熊氏)。

食の安全を当たり前に

Kit Oisixをさらに拡大するための試みのひとつが、賞味期限の延長だ。大熊氏によれば、Kit Oisixユーザーから多く寄せられる要望でもある。到着後23日保証のフローズンタイプが特にワーキングマザーに人気だという。緊急用として冷凍庫に1つあると安心、という声も寄せられているとか。忙しい女性のライフスタイルに沿うかたちでサービスを拡充している最中だ。当面の目標は「今週忙しいな、夕飯どうしよう」と思ったときの選択肢として、外食やお惣菜に加えてKit Oisixが当たり前になることだという。

もちろん拡大していきたいのはKit Oisixだけではない。オイシックスに出会う場所を増やすために2010年からリアル店舗をオープンし、恵比寿や吉祥寺などで展開している。オンラインでは30代~40代の女性がメインのユーザーだが、リアル店舗ではより幅が広く、特に50代以上の女性の来店が目立つそうだ。

オイシックスの代表的な野菜。左からピーチかぶ、極生フルーツコーン、トロなす
放射性物質に関する取り組みを強化。対象の全アイテムを自社検査している
リアル店舗のひとつ、Oisix CRAZY for VEGGY アトレ吉祥寺店

なぜオイシックスを広げていくのか。この問いに対して、大熊氏は「食の安全がニュースになる現状は不幸だと思うんです。当たり前に安全な食べ物がある、という社会を実現するのがオイシックスの使命。だからこそ、オイシックスをもっと知ってほしい」と語ってくれた。やはり、おいしっくすくらぶへの入会は、妊娠や出産など自分以外の健康が気になるタイミングで検討する会員が多いという。

夫も料理を手伝える

共働き家庭の夫・パパがKit Oisixを作ってみる料理体験イベントを、ABCクッキングスタジオと共同で実施

ただし、オイシックスを拡大することは視野に入れつつも、ひとまず「現在のコアユーザーである30代~40代女性の間でも、まだまだ広がる余地があるとみています」(大熊氏)とのこと。働く女性がますます増えていけば、それだけ潜在ユーザーも拡大する。オイシックスにとっては追い風が吹いている状況だ。

今回はKit Oisixを中心に紹介したが、ユーザーが増えているのは「女性が使いやすい」だけでなく「男性が手伝いやすい」ことも理由なのではないだろうか。夫に料理を任せると「キッチンが汚くなる」「ムダに高い調味料を買ってくる」など妻の不満はよく聞く話。せっかく張り切って手伝っても文句をいわれるなら、夫としてもやる気をなくすだけだ。夫と妻、どちらにとってもうれしいツールである、というのも重要な要素のひとつだろう。オイシックスも、料理体験イベントなど積極的に男性がKit Oisixを作ることを提案する試みを行っているところだ。

先述のモニター調査でも、「Kit Oisixなら自分でも夕食の調理ができそう」と回答した男性が多かった
SNSでバズを起こせ! メルカリ流 “違和感”マーケティング

SNSでバズを起こせ! メルカリ流 “違和感”マーケティング

2019.01.24

フリマアプリを運営するメルカリが新聞折り込みチラシを配布

なぜリアル店舗のようなチラシ広告を出したのか

理由を聞いていくなかで同社のマーケティング戦略が見えてきた

問:次のアイテムのなかから、フリマアプリ「メルカリ」で販売されたことのあるものを選びなさい。

・ダウンジャケット
・ヒト型ロボット
・トイレットペーパーの芯
・クルマ
・イヤホンの左側

おわかりいただけただろうか。答えは「すべて」である。現時点では売り切れかもしれないが、上記はすべてメルカリで販売された実績のあるアイテムだ。

さまざまな商品が売買されているメルカリとはいえ、まさか「トイレットペーパーの芯」が売られているとは、よほどのヘビーユーザーでなければ知らないのではないだろうか。

もちろん筆者も知らなかったが、2018年12月12日に配布された1枚の新聞折り込みチラシが、その事実を教えてくれた。それは、メルカリが北海道と愛知県で計192万部配布した広告チラシだ。

紙面上では、トイレットペーパーの芯やクルマがメルカリで売られていたことを紹介していたのだが、東京在住の筆者は配られたチラシを直接見たわけではない。「メルカリが新聞折り込みチラシを配布している」という意外性がSNSで話題を呼び、仕事中Twitterをいじくりまわして遊んでいた筆者の元にも情報が届いたのである。

はたして、アプリ上でサービスを展開するメルカリが、なぜリアル店舗のような折り込みチラシを配布したのだろうか。

メルカリが配布した新聞折り込みチラシの例。まるでアパレル広告のようだ
裏面には、初心者でも使えるようにアプリのマニュアルが紹介されている

「スタンダードからいかに離れるか」が、おもしろさを生む

「端的に言えば“お茶の間の会話”を増やしたいと考えたためですね」

株式会社メルカリ 執行役員 CMOの村田雅行氏は、新聞折り込みチラシを配布した理由について、そう話す。

株式会社メルカリ 執行役員 CMOの村田雅行氏

2013年7月にサービスを開始したメルカリのアプリダウンロード数は、世界合計で1億超。また、累計流通額は1兆円を超えており、全国レベルでその名を轟かせている。

「ただ、月間のユニークユーザー数は1100万程度。ダウンロード数を考えるとまだまだ伸びしろがあるはずなのです。そのため、まだ取り切れていない、シニアを中心とするユーザーを取り込むためのアプローチを実施することに決めました」

アプリの存在は知っているが、普段からメルカリを使っているわけではない。そんな、シニアをはじめとする“お茶の間ユーザー”を取り込むべく企画されたのが「新聞折り込みチラシ」だった。さまざまなマーケティングを行っている同社ではあるが、新聞折り込みチラシの配布は今回が初めて。そのため、まずはテストマーケティングとして、限られたエリアでの配布が行われた。

だが、シニアへのアプローチは何も折り込みチラシに限らない。テレビCMはもちろん、街頭配布やポスティングなど、ほかにも宣伝手法はあったはずだ。なぜ折り込みチラシにこだわったのだろうか。

「1つのコンテンツとして完結しているところがポイントでした。新聞は、自ら購読して情報を取得する非常にポジティブな媒体。毎日目にするそのコンテンツにメルカリの折り込みチラシを入れることで、“違和感”を生み出したかったのです」

また村田氏は、チラシだからこそ違和感を生み出せたのだと話す。

「今の時代、いかにSNSで話題にしてもらえるかが大事です。そのためには普通とは違うことをやらなければなりません。違和感は、多くの人が認識する“スタンダード”がなければ作れないと考えています。いかに基準から大きな振れ幅があるか。それが驚きやおもしろさにつながるのではないでしょうか。そういう意味で、折り込みチラシには基準があります。『医薬品系だったらこんなチラシ』『スーパーのチラシはこんなもの』というイメージが、多くの人のなかで醸成されているからこそ、イメージからかけ離れたクリエイティブは一層際立つはずだと、新聞の折り込みチラシを実施したのです」

例えば街頭配布であれば、コスプレをしたり、奇抜な宣伝車で商品サンプルを配ったり、アメニティを同封したりと、工夫されているものが多く、普遍的な基準のようなものが思い浮かびにくい。あえて一般的な街頭配布の例を挙げるとすれば、ポケットティッシュと答える人が多いだろうか。だが、ポケットティッシュ以外のものを配っていたら、それだけで大きな話題を呼ぶかと言えば、おそらく難しいはずだ。

つまり、スタンダードがあるからこそ、違和感を与えて記憶に残るような手法を実施できると、数あるアプローチのなかから村田氏は折り込みチラシを選んだというわけだ。

そもそも、実店舗を持たないメルカリが折り込みチラシを配布するというだけで、1つの違和感を与えられるだろう。そして「徒歩0分! スマホの中でオープン!」といった目を引く謳い文句が、違和感をますます際立たせる。

「違和感を与えるために、コピーや商品ラインアップは工夫しましたね。今回、3タイプのチラシを作成したのですが、“メルカリだからこそできるラインアップ”をあえて出すようにしました。例えば、意外性のあるものでは、トイレットペーパーの芯やクルマ。実際にメルカリで売られていたことがあるんです」

今回作成されたチラシは「ファッション」「家電」「スーパー」の3タイプ。意外性のある商品ラインアップに加えて、北海道では日本ハムファイターズのユニフォーム、愛知県では中日ドラゴンズのユニフォームなど、地域に根付いた商品も掲載しており、そのような遊び心も、SNSで話題になるために必要なのかもしれない。

家電パターンのチラシ。「徒歩0分! ~」のコピーが目立つ
「トイレットペーパーの芯」を掲載したパターンのチラシ。2つのチラシをよく見比べると、ユニフォームで使われている写真が違う。なお、北海道と愛知県を選んだ理由は、「地場新聞の影響力が強いエリア」だからだという

結果として、違和感を覚えた消費者は、Twitterにチラシの画像を投稿。狙い通り、SNSでバズらせることに成功した。

しかし、SNSで話題になっても、ターゲットにしているシニア層にはあまり関係がないのではないだろうか。

「シニアや中高年の方々でSNSをやっている人は意外と多いんですよ。積極的に発信をしている人はあまり多くないですが、情報収集として活用している人は少なくないですね」

ちなみに、肝心の折り込みチラシの効果は、「すべての数字の集計が終わっているわけではありませんが、チラシを投下したエリアでは、いい成果が出ています」とのこと。データとしても、チラシの影響を確認できたという様子だった。

攻める姿勢が生み出したもう1つの広告

今回のようなアプローチは、SNSが普及した今だからこそ可能な新しいマーケティングだ。そして、メルカリではSNSでのバズを狙った取り組みがもう1つ。2019年1月1日からスタートした『#はじメル』だ。

はじメルは、「三日坊主でもいいから、とにかく新しいことをはじめる人を応援する」というコンセプトで展開しているキャンペーン。特設サイトを開設し、1月3日には新聞の一面広告を、1月5日からはテレビCMを放送開始した。

そのなかで、一体なにがSNSで話題になったのかというと、これまたアナログな「新聞広告」である。

「一般的に1つのクリエイティブで進める新聞広告を、あえて3タイプ制作し、首都圏・東日本・西日本で分けて配布しました。3枚の新聞広告をつなげるとメルカリの『m』が浮かび上がるというデザインなのですが、1枚だけ見ても、“つなげたら何か起きそう”なデザインにすることで、それを発見した人がTwitterに思わず投稿したくなるような仕組みを作っています」

新聞広告を3枚並べると「m」の文字が浮かび上がる

思わせぶりなデザインにするという“ヒント”を提供しておき、あとは何も言わずにユーザーの反応を待つ。離れたエリアの新聞を手に入れるのは難しいので、ほかのデザインが気になった場合は、自然とオンライン上での情報収集が開始されるだろう。そうして、SNSで活発なやり取りが発生するというわけだ。

「最初はもっと控えめのデザインだったのですが、それじゃダメだと言いましたね」

穏やかな口調ではあったが、村田氏の言葉からはクリエイティブに対してのこだわりを強く感じた。

「折り込みチラシのときもそうですが、守りに入ったら企業は終わると考えているので、常に攻め続けたいと考えています」

クリエイティブに対して攻めの姿勢を崩さない村田氏。それを象徴するエピソードとして、折り込みチラシのプロジェクトのキックオフ時には、「私をクビにする覚悟で仕事をしてほしい」とメンバーに伝えたのだという。

「もちろん、ほんとうにヤバいときは止めますよ。ただ、メンバーがリスクを考えてしまうと、どうしても“置きにいく”ようなアイデアになりがちです。責任なら私が取るので、どんどん攻めてほしいというメッセージですね」

置きにいくクリエイティブでは、SNSでバズらない。メンバーが自由にアイデアを出せる環境整備こそ、尖ったクリエイティブを生み出すのに必要なことなのだろう。

2019年はメルカリの内面を伝える年に

今回、折り込みチラシと新聞一面広告で、SNSでバズらせるマーケティングを実施したメルカリ。折り込みチラシに関していえば、まだテストマーケティングが終わった段階である。今後は全国的に折り込みチラシの配布を行うのだろうか。

「明確な方針はまだ決まっていませんが、折り込みチラシについては、読み物としてお客さまから期待されるコンテンツにしていきたいと考えています」

ただし、「今日は○○が特売」「○○が新発売」といったように、新聞チラシは日々情報が更新されるから読み物として成立する。タイムリーな情報をチラシで打ち出せないメルカリは、どのようなコンテンツにしていくのだろうか。

「今回折り込みチラシで意識したことの1つに、商品をたくさん入れるという点がありました。実際にメルカリで何が売られているかまでは知らない人が意外と多いんですね。そのような人からすると、トイレットペーパーの芯が売れることは1つの発見になるでしょうし、自分の家にある家電がいくらで売れるかということも新しい発見です。そのように、ほかにも、まだまだ知られていない情報があるので、継続的にチラシをやると決まったら、もっとメルカリの内側を知ってもらう情報を提供していきたいですね」

メルカリの内側を知ってほしいと話す村田氏。実は、はじメルにも同様の意図があったという。

「メルカリを使えば『新しい趣味を始める』ことへのハードルを下げられると伝えたかったのです。例えば、ゴルフを始めようと考えたら、ゴルフクラブのセットを購入する必要がありますよね。それが仮に10万円であれば、『ちょっとやってみようかな』程度に思っている人からすると、やはりハードルは高い。しかし、メルカリを使うことで、まずゴルフクラブを5万円で買える可能性があるのです。そのうえ、5万円で売られているのであれば、それに近い金額で売却できることも意味します」

5万円でゴルフクラブを買ってみたはいいものの「あまりおもしろくないな」と感じた場合、4万5000円で売却できれば、5000円の出費でゴルフを体験できるわけだ。

「また、メルカリにはバーコード出品と呼ばれる機能があって、バーコードを読み取るだけで商品情報を自動入力してくれるんです。値段も提案してくれるので出品が楽なのですが、最近では本を買うときにまずはバーコード出品を行う人が多いようですね。ちょうど読み終わったくらいに売却できて便利なんです。期限を決めることで、読まないといけないというプレッシャーにもなりますし、2000円の本を1500円で売却できれば、500円で本が読めるわけです」

何か買うときに、メルカリでまずいくらで売れるかをチェックする。そして、使わなかったり、一度使って満足したりすると、メルカリで売却するという消費行動が増えているのだ。その結果、購入のハードルが下がるので、二次流通が一時消費を活性化させる可能性もあるだろう。

「このような使い方の訴求は、継続してやっていきたいなと。そしてゆくゆくは、メルカリをライフインフラのようにしたいですね」

村田氏は展望を語る。

「認知はすでに獲得しました。次はメルカリの内面をもっと外に出していくフェーズです」

2018年には株式を上場し、気流に乗るメルカリ。決して“置きにいかない”同社のマーケティング戦略から、次はどんなアイデアが飛び出すのだろうか。2019年も同社の尖った広告が、SNSを騒がせるかもしれない。

上場後振るわぬソフトバンク、次は「行政指導」

上場後振るわぬソフトバンク、次は「行政指導」

2019.01.24

ソフトバンクの通信障害、総務省が行政指導へ

再発防止のためのさまざまな対策立案を支持

上場前後で「運がない」ソフトバンクに求められるもの

総務省は1月23日、昨年12月に大規模な通信障害を起こしたソフトバンクに対して行政指導を行った。

通信障害は、ソフトバンクのLTEに関する交換機の不具合が原因で起こったもの。それによって同社の4G LTE網に障害が発生し、音声・データ通信ともに圏外になる、もしくはつながりにくい状態が長時間続き、大きな話題になっていた。

通信障害は12月6日の13時39分頃発生し、その後同日18時4分頃まで、4時間25分に及び、約3060万人の利用者に影響を及ぼした (ソフトバンク ニュースリリース)

総務省は今回、同社の代表取締役取締役社長執行役員兼CEOの宮内謙氏宛に「電気通信事故に関する適切な対応及び報告について」と題した文書を提出。

ソフトバンクの宮内謙代表

文書では、ソフトバンクが2018年中に同件を含めて3回の重大事故を発生させていることを挙げ、「このような事故の発生は利用者の利益を大きく阻害するもの」とし、社内外の連携体制の改善や利用者への周知内容・周知方法の改善、通信業界内での教訓の共有等の実施を勧告。さらに、それぞれの具体的措置の内容を2月末までにまとめ、報告するよう義務付けた。

携帯電話は、通話やメッセージのやり取りはもちろん、決済サービスや災害時の情報収集ツールとして、今や国民のライフラインになっている。

総務省は同文書で「事故における教訓を業界全体で共有することが重要である」ともしており、今後の再発防止策等の詳細について、ほかの携帯電話事業者に説明し、情報共有する機会を設けることも求めた。

昨年末に鳴り物入りで上場したが、なかなか株価が振るわないソフトバンク。その背景には、通信障害や「PayPay」のクレジットカードの不正利用、さらには同社が通信設備を使用している中国・ファーウェイの米中対立やCFOの逮捕などの問題などが影響していることだろう。

ソフトバンクグループは昨年11月に行われた2018年度第2四半期決算説明会で、「RPA(Robotic Process Automation)の導入により通信事業の人員を削減し、新規事業に力を入れていく」としていたが、新規事業の前に、まずは逆風吹く通信事業の早急な立て直しが求められている。