【セコム】新事業が祖業を逆転のM&A、今後の勝算は?

【セコム】新事業が祖業を逆転のM&A、今後の勝算は?

2016.05.16

【セコム】新事業が祖業を逆転のM&A、今後の勝算は?

警備会社として創業も
現在は新事業が半数近くを占める
セコム<9735>という会社は、何をしている会社だろうか? 多くの人は「警備会社」と回答するかもしれないが、実態はそれほどシンプルではない。下図グラフを見ると分かるように、2000年当時は売上高の72%を 占めていたセキュリティサービス事業は、15年3月時には56%にまでその割合を減らしている

 同社は1962年、日本初の警備会社として創業し、現在も同業界の首位の座を守っているが、先述のとおりセキュリティサービス事業の売上高構成比は、現在 6割弱。そのほかに防災、メディカル、保険、地理情報サービス、情報通信(ICT)、不動産など、社会が求めるサービスに相次いで取り組んできた。こうし て、「いつでも、どこでも、誰もが安全・安心して暮らせる社会」を実現する「社会システム産業」という新しい業態を築いている。

 その事業の多角化について創業者で取締役最高顧問の飯田亮氏は、「意思は違うが一緒になって活動する“国連の多国籍軍”のようなもの」と表現している。それがセコムの幅広い事業を端的に表現している。

セコムが行った主なM&A
年月 内容
1989.2 能美防災の株式を日商岩井から追加取得、出資比率が25%に
1989.9 米国法人7社を統括する持株会社のセコメリカが米国の家庭向け医療サービス会社のHMSS(本社ヒューストン)を250億円で買収
1991.5 英国に新設した子会社セコムキャロルを通じて、ロンドンに本社を置く警備会社、キャロルセキュリティグループと傘下にある7社を買収
1991.5 ベンチャー企業の草分けで大手ソフトウエア会社のコスモ・エイティを40億円で事実上買収。コスモ・エイティが抱える540人のシステムエンジニア(SE)を譲り受ける
1993.11 在宅介護専門会社のエプロンレディケアセンターの発行済み株式の90%を買い取り子会社化
1994.5 中国の全額出資の現地持株会社と大連市政府系の総合商社、大連華興進出口公司とで合弁会社を設立。出資比率はセコムが80%、大連側が20%
1994.5 傘下の米国・在宅医療サービス大手のHMSSを同じ在宅医療大手のコーラム(コロラド州)に売却
1995.7 英国の準大手警備会社アンバサダーセキュリティグループ(ASG、メイドストーン市、売上高26億円)を25億円で買収
1997.12 中堅マンションデベロッパーのホリウチコーポレーションを買収。ホリウチコーポレーションが第三者割当増資で資本金を20億円に増資、セコムが全株を引受けた。ホリウチコーポレーションのメーンバンクの安田信託銀行などが不良債権を全額放棄することを条件に救済に合意した
1998.8 損害保険業界下位の東洋火災海上保険が行う15億3000万円の第三者割当増資を引き受け、事実上傘下に収めることで正式合意。セコムは増資後の東洋火災の株式の約34%を取得。社名を「セコム東洋損害保険」に変更
1998.9 経営破たんした旧・倉本記念病院の土地・建物を買収。当初は「セコム千葉病院」の名称で同年10月上旬にも開業するはずだったが、医師会などの反対により同年12月に「セコメディック病院」の名称で開業
1998.10 インターネット接続業者(プロバイダー)大手である東京インターネットの全株式を米国・プロバイダー大手、PSINet(バージニア州)の日本法人、ピーエスアイネットに売却
1999.8 東京地裁に和議を申請したマンション分譲大手の朝日建物を救済買収。セコムグループ全額出資で新会社「セコム朝日」を設立し、朝日建物から営業譲渡を受ける
2000.6 子会社のマンションデベロッパーのエクレールとセコム朝日の2社を対等合併。エクレールが存続会社となり、新会社の社名は「セコムホームライフ」
2000.10 北海道拓殖銀行グループ企業の破産管財人とザ・ウィンザーホテル洞爺リゾート&スパの買収を合意
2000.12 中堅の医療機器商社であるマック(売上高56億円)を39億8000万円で買収。マックの全国営業網を活用し、自社で開発している医療・福祉機器の販売の拡大を目指す
2002.1 セコムテクノサービスが民事再生法の適用を申請した空調・衛生工事大手のエルゴテックから設備メンテナンス事業を買収
2003.8 医療や健康に関する情報サービスの日本医療情報システムの全株式を取得して買収
2004.7 セコムテクノサービスが民事再生手続開始申立をした社東北エンタープライズ(売上高84億円)を1000万円の営業権を付けて譲り受け
2005.7 高千穂交易との間での業務・資本提携。高千穂交易が行う第三者割当増資を引受け、4億6800万円を投じて4.65%を取得
2005.12 細田工務店の第三者割当増資に応じ、16億2700万円を拠出して同社株式の14.8%を取得
2006.3 セコムテクノサービスが矢野新空調(売上高13億円)の全株式を取得し子会社化
2006.10 東洋テック(売上高124億円)の株式の25.47%を取得
2006.11 能美防災(売上高647億円)の行う140億円の第三者割当増資を引受け、追加出資して子会社化(28.6%→50.3%)
2007.5 東京美装興業(売上高275億円)の株式を筆頭株主の八木秀記氏から追加取得し、持分法適用関連会社とする
2008.2 公開買付により東京美装興業の株式を追加取得。9億円を投じて出資比率を27.43%から36.56%に引き上げ
2010.4 保有する東京美装興業の全株式について、ティービーホールディングスが実施する公開買付けに応募、保有株式を売却
2011.3 公開買付により133億円を投じて上場子会社であるセコムテクノサービスの株式を取得、非公開化する
2012.1 住生活グループとの間で包括的業務提携契約を締結、LIXILニッタン(売上高341億円)の全株式を127億円で買収
2012.9 東京電力が保有するアット東京(売上高262億円)の株式を333億円で取得し子会社化(出資比率50.88%)
2014.4 100%子会社であるザ・ウィンザー・ホテルズインターナショナルに賃貸中の同社保有の不動産、および同社のホテル事業などを明治海運に譲り渡し
2015.8 小荷物専用昇降機の国内トップシェアのメーカーであるクマリフト(大阪府、売上高52億円)の全株式を取得、子会社化
2015.10 売上金回収、釣銭作成配送のサービスを24時間365日提供する豊田自動織機子会社アサヒセキュリティ(東京都、売上高363億円)の全株式を810億円で取得、子会社化

祖業依存体質からの決別
00年以降の積極的なM&A戦略
 事業領域を拡大させ、いくつもの事業が祖業と並び立つセコムは、特に00年代中盤から積極的なM&Aに取り組んでいる。05年8月に行なった万引き 防止システム最大手の高千穂交易の株式取得を皮切りに、同年10月にはビル管理大手の東京美装興業へ出資、その2カ月後にも住宅・不動産開発中堅の細田工 務店へ資本参加した。また、06年10月には警備保障中堅の東洋テックの株式を取得して持分法適用会社化し、11月にも防災機器大手の能美防災を子会社化 した。

 さらに、07年5月には東京美装興業の出資比率を引き上げ、同社を持分法適用会社としている(ただし、10年4月、保有する全株 式について、東京美装興業の創業者によるMBOに応募)。12年1月には、生活グループの連結子会社で消防用設備全般の工事施工、機器販売および保守点検 業務を行うLIXILニッタンを完全子会社化。同年9月には東京電力の子会社であるアット東京を子会社化し、日本最大のデータセンターを保有することに なった。

 それらの一連の取り組みは、同社の事業領域を拡大させ、従来の事業とのシナジーを生みながら発展している。そして冒頭に紹介したとおり、今や祖業のセキュリティサービス事業と並び立つほどに成長しているのだ。

■セグメント別売上高推移(詳細)
セコムのM&Aの目的は一つ
企業ドメインの強化、補完
 一連の買収・資本参加は多岐に渡るが、セコムの目的は一つである。それは、企業ドメインである「社会システム産業」の強化、補完である。

 同業の東洋テックの場合は言うまでもないが、例えば、万引き防止システムの高千穂交易と連携すれば小売店への営業を強化できるし、ビル管理の東京美装興業の 顧客層を活用すればオフィス需要を開拓できる。細田工務店との提携では、同社が分譲する戸建て住宅街へのサービス提供が容易になる。能美防災の防災機器と 融合すれば、付加価値の高い新サービスを開発できる。LIXILニッタンの子会社は、同じく防災のパイオニアである能美防災とともに、次世代型の防災シス テムの開発を可能とした。そしてアット東京のデータセンターは、「社会システム産業」の構築を目指すセコムグループの情報基盤を大きく強化することにつな がっている。


■セコムグループの財政面の変遷

 最後に注目したいのが、セコムの財政面の健全性についてである。先に示した一覧表にあるとおり、同社は事業領域を拡大するために非常に多くの M&Aを繰り返してきた。創業者で取締役最高顧問の飯田亮氏は「社会的に意義のある事業なら、リスクを恐れず挑戦する」との方針を打ち出し、「い ずれ既存事業と結びつく」と直感的に判断した案件も多いという。それらの実行には巨額の資金やリスクが伴うものだが、セコムの財務状況は下図のとおりであ る。

■自己資本比率、有利子負債比率の推移

 直近の15年3月期の同社の自己資本比率は53.6%、有利子負債比率は8.2%と安定性がかなり高い状況にあることが見て取れる。03年3月期には合計 2,100億円以上もあった有利子負債額が、15年3月期には700億円へと約3分の1にまで圧縮され、自己資本比率もここ数年は50%を超えて推移して いることも分かる。

 この財務体質を支えているのが、祖業のセキュリティサービス事業の利益である。セグメント別の利益で見ると、同事業 だけで15年3月期は1006億円の利益を創出している。この数字は業界2位の綜合警備保障のセグメント別利益(セキュリティ事業 238億円)の約4.2倍であり、圧倒的な利益創出が際立つ。

 企業ドメインを軸に、「安全・安心」そして快適で便利な社会の創造のために大胆かつ柔軟にM&Aを活用するセコム。単なる事業多角化ではなく常にシナジーを前提とした買収により、高い成長性を実現している。

 積極的なイメージがある同社だが、一方で海外展開は思いのほか進んでいない。

 04年3月期に117億円だった海外売上高は15年3月期では441億円と売上高こそ3.7倍に成長しているが、ボリュームの大きい国内事業も成長しているため、売上高構成で見ると2%が5%になった程度で、微増に過ぎない。

■セコムの海外売上高の推移



 今後のセコムのM&Aでは、海外案件に注目が集まりそうだ。

 この記事は、企業の有価証券報告書などの開示資料、また新聞報道を基に、専門家の見解によってまとめたものです。


まとめ:M&A Online編集部

メディア露出多数、高まる「N高出身」への期待値

メディア露出多数、高まる「N高出身」への期待値

2019.03.22

ネットの学校「N高」の卒業式に潜入

開校時に入学したN高1期生が卒業した

世間の注目を浴び続けた生徒は、何を想う?

3月、角川ドワンゴ学園「N高等学校」の卒業式が東京・お台場にて開催された。

「ネットの高校」として、3年前に設立したN高。この日、2016年の開校時に入学した第1期生と、途中転入・編入した生徒をあわせ、計1593名が卒業した。3年前、『VR入学式』で世間を賑わせたこの学校を巣立つ卒業生たちは、N高での日々をどう捉え、今後はどのようなキャリアを描いていくのだろうか。

卒業式は2019年3月20日、お台場にて行われた

卒業式を彩る最新テクノロジー

N高は、ドワンゴとKADOKAWAの経営統合で誕生したカドカワが設立母体となり、2016年4月に開校された通信制高校だ。同校は開校後、2年次編入なども受け入れてきたため、これまでも卒業生を排出してきてはいたが、「1年生~3年生をN高で過ごした生徒」が卒業するのは、初めてのことだ。

卒業式には多くの報道陣も参加した。生徒にとって、「卒業式に記者がいる」「自分たちが卒業する様子がテレビやWebで取り上げられる」というのは不思議な感覚だろう。とはいえ、もう「VR入学式」に「ニコニコ超会議」へのブース出展(N高ではそれを「文化祭」と表現)などの経験を経て、メディアへの露出には慣れてしまっているのかもしれない。

そして、今回の卒業式も例によって独特だった。

卒業式は任意参加で、会場には袴や制服に身を包んだ生徒が集まる一方、その様子をライブ配信することで、会場に来られない生徒生徒も参加できる仕組みになっていた。会場のスクリーン上にはニコニコ生放送さながら、リアルタイムでコメントが表示されており、こうした演出は「N高らしい」といった印象を受けた。

卒業式の様子。オンライン参加者のコメントがスクリーンを流れる

中でも印象深かったのは、当日来られなかった生徒を代表して、米シリコンバレーに留学中の佐々木雅斗さんが「ロボット」に自分の顔を映して卒業証書を受け取ったシーンだ。

使用したのは、ANAが“未来の移動手段”として開発する、視覚・聴覚・触覚などを備えた、ユーザーの分身となるロボット「ANA AVATAR」。同校ではこのロボットを試験的に授業にも導入しているそうで、こういった最新のテクノロジーを使うあたりもN高らしい。

遠隔操作ロボット「ANA AVATAR(Beam Pro)」を用いて卒業証書を受け取った佐々木さん

と、テクノロジーにばかり目が行きがちではあるが、そもそも「高校生がシリコンバレーに留学している」という事実も驚くべき点だ。高校に通いながらも、シリコンバレーでビジネスを学ぶ――、というキャリアを選べるのは、学校という場所の制約を受けない、ネットの高校のメリットと言えるだろう。

卒業式にはほかにも「異色のキャリア」を持つ生徒たちが集まり、特に活躍した卒業生に対する特別表彰も行われた。

表彰を受けたのは、東京から鹿児島県に移住し、農業や水産業を手伝い地域活性化に貢献する白鳥優季さん、第18回アジア競技大会ジャカルタ・パレンバン「ウイニングイレブン 2018」eスポーツ 金メダリストの相原翼さん、N高のプログラムを最大限に活用し、スタンフォード大学やオックスフォード大学のサマープログラムに参加した冨樫真凜さんなど。その活躍の幅は広い。

さまざまな分野で活躍したN高生に対しては、特別表彰が行われ、記念品としてクリスタルトロフィーが贈呈された

メディア露出が多いがゆえに高まる期待値

N高を卒業した個性豊かな面々は、今後は大学進学、就職とさまざまなキャリアを歩む。

日本初で唯一N高にのみ実在するという「起業部」に所属し、かつ起業第一号として「Easy Go」という会社を創業している、鈴木颯人さんと山田陽大さんから「N高で過ごした時間」についてコメントをもらった。

「元々は地元の進学校に通っていたのですが、『自分が好きなことをしたい』『起業したい』という想いがあり、N高に入学しました。年齢や場所に縛られず、多くの人とコミュニケーションを取れ、充実した3年を過ごせました」(鈴木さん)

「以前通っていた学校が自分と合わず、ネットで見つけたN高で『ここだったら新しいことができるかも』と入学を決意しました。今振り返ってみて、やはり『この学校に来てよかった』と思います」(山田さん)

Easy Go代表取締役の鈴木颯人さん(左)と取締役の山田陽大さん(右)

2人に限らず、卒業生のコメントを聞いていくと「この場所で挑戦してみたい」という想いの元、N高を選んでいる生徒が多い印象だ。

普通の高校とは違い、メディアに露出する機会の多いN高での生活は、良くも悪くも、世間からの注目を浴びる。まだ高校生の彼らにとっては、その視線が時に辛く感じることもあっただろう。ただ、その一方で鈴木さんは「初めて会う方とお話しする際、『N高出身です』と言うだけで、会話が広がることがよくあります」とその知名度を好意的に捉えている。

若くして、覚悟を持ってN高という環境に飛び込んだ生徒たちは、周囲の視線を浴びつつ、たくましく成長してきたことだろう。「N高出身」というキャリアは、彼らにとって1つの大きな武器になりそうだ。

カドカワは新たに2019年4月から、「N中等部」も開校する予定だ。「ネットの学校」という、世間の注目が集まる新しいコンセプトの学校だからこそ、在校生・卒業生の動向は、今後もしばらくは注目され続けそうだ。

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スマホは「望遠」でデジカメに追い打ち? OPPOの10倍ズーム技術が面白い

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2019.03.22

中国スマホメーカーのOPPOが独自のカメラ技術を説明

開発競争が続くスマホカメラ、トレンドは「望遠」へ

高倍率ズームスマホの登場で、デジカメの優位性に危機?

中国のスマホメーカーとしてシェアを急拡大するOPPOが独自に新開発したカメラ技術、「10倍ハイブリッドズーム」が面白い。実際に2019年の新機種からスマホへの搭載を進め、日本市場へも製品を投入するという。

OPPOが「10倍ハイブリッドズーム」技術を紹介

メーカー間の開発競争が続くスマホカメラだが、「望遠」が次のトレンドになりつつある。デジタルカメラに匹敵する10倍もの高倍率ズームを、OPPOはどのように実現したのだろうか。

1年で7機種を投入、気付いた「日本市場の難しさ」

OPPOは世界のスマホ市場で熾烈な4位争いを繰り広げている。サムスン、アップル、ファーウェイのトップ3社に続く集団の中で、2018年は中国Xiaomiに僅差で迫る5位になった(IDC調べ)。

OPPOは2018年、日本市場で7機種のスマホを発売した。OPPO日本法人の鄧宇辰社長は、これまでに国内販売チャネルを12に拡大し、あわせて認定修理店を全国に展開したことを挙げ、「日本のSIMフリー市場でいち早く成長するブランドになった」と振り返る。

オッポジャパン 代表取締役社長の鄧宇辰氏
2018年の1年間にスマホを7機種投入

2019年は国内展開をさらに加速する。日本の消費者に向けたコミットメントとして、件の「10倍ハイブリッドズーム」機能を備えたスマホや、FeliCa・防水対応のスマホ、新たに立ち上げたブランド「Reno」シリーズの市場投入を約束する。

また、話題の「5Gスマホ」の市場投入も急ぐ。日本では5Gの周波数がまだキャリアに割り当てられていないものの、ドコモ、KDDI、ソフトバンクを含む世界の事業者と標準化に向けて連携しており、準備を整えていることを強調する。

MWC19のQualcommブースではOPPOが5Gスマホを実演

一方で鄧社長は、日本市場の難しさについて、「1年の経験を通して、日本市場は他の国と違うことに気付いた。消費の習慣や求めるレベルも高い。グローバルのやり方を日本に持ってきても通用しない」とも述べている。日本市場における品質やサービスの要求水準の高さは、多くのメーカーが直面してきた課題だが、OPPOも同じ壁にぶつかったといえそうだ。

スマホカメラ、次のトレンドは「望遠」に

そのOPPOが市場攻略にあたり、特に注力をしはじめたのが「カメラ」だ。その中でも、業界では次の進化ポイントとして「望遠」技術に注目が集まっている。

そもそもスマホはデジカメと違い本体が薄いため、搭載できるレンズに物理的な制約がある。このレンズの制約から、スマホのカメラはどうしても焦点距離の狭さが弱点になってしまっていた。そこで最近はスマホに複数のカメラを内蔵し、それぞれで広角や望遠を使い分けることで、この弱点を克服しようと進化している。

OPPOの「10倍ハイブリッドズーム」技術は、この弱点に対し異なるアプローチで挑む。プリズムを使って光を屈曲させるペリスコープ(屈曲光学)構造をカメラモジュールに採用することで、レンズを従来の垂直方向ではなく水平に配置できるようにした。これにより、薄型のスマホであっても、光学レンズでは従来不可能だった高倍率ズームが搭載できる。

光を曲げるペリスコープ構造を採用

ただ、35mm換算での焦点距離は16~160mmの10倍となっており、一般的なコンデジの感覚では5倍ズーム程度の性能だ。8.1倍以上はデジタル処理を組み合わせた「ハイブリッドズーム」としているなど、いくつか注意点はある。とは言え、これまでにない望遠レンズをスマホで扱えるのは面白い。

10倍ハイブリッドズームによる画角の違い

OPPOは既に報道陣に向けて、この10倍ハイブリッドズーム技術を搭載するスマホの開発デモ機を公開している。2019年の第2四半期には製品化する計画で、日本市場へも2019年中に投入する見込みだ。

10倍ハイブリッドズームのデモ機。5Gにも対応できるという

特にカジュアルなカメラ需要の受け皿としてスマホに押されがちなデジタルカメラだが、高倍率ズームはスマホには無い、デジカメに残された得意分野のひとつだった。だが望遠もスマホで十分撮れるとなれば、いよいよその優位性も危うくなる。今回のズーム技術は、デジカメ市場をもう一段縮小させてしまう可能性を秘めているのだ。

最大のライバルであるファーウェイも「HUAWEI P30」シリーズで望遠カメラを搭載するとみられており、今後は各メーカーが高倍率ズームで競い合うことは間違いなさそうだ。

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