「ビジョン・クーペ」が登場、モーターショーでデザインを語るマツダ

「ビジョン・クーペ」が登場、モーターショーでデザインを語るマツダ

2017.10.31

10月28日から一般公開された「第45回 東京モーターショー2017」で異彩を放っているのがマツダだ。電動化の流れに反旗を翻すような「夢のエンジン」を発表するとともに、新世代の「魂動」(こどう)デザインも展示。これまでとは何が違うのか、会場でデザイナーに聞いた。

「マツダ 魁(カイ) CONCEPT」とプレスブリーフィングに登壇した小飼雅道社長

電動化だけではないモーターショーの見どころ

東京モーターショーが、先週土曜日から東京ビックサイトで一般公開されている。筆者は先週、水・木曜日のプレスデーでひと足先にチェックすることができた。同業者の話にもあったけれど、一言で言えば予想以上だったと思っている。

一部のマスメディアは電動化にしかスポットを当てなかったようだが、実際は、それ以外にも見どころがたくさんあった。その中で、個人的に印象に残ったのは“ジャパニーズ・ヘリテージ”の流れだ。

トヨタ自動車は超高級車「センチュリー」を21年ぶりにモデルチェンジし、ダイハツ工業は1960年代の大衆車の復刻版と言えるコンセプトカー「DN COMPAGNO」(DNコンパーノ)を出展。2輪車では本田技研工業が累計生産台数1億台を達成した「スーパーカブ」の新型、そして川崎重工業(カワサキ)は、1970年代に一世を風靡したスーパースポーツ「Z1」の復刻版と言える「Z900RS」を送り出した。

トヨタは「センチュリー」をモデルチェンジ(左の画像)。ダイハツはコンセプトカー「DNコンパーノ」(画像右の右側)を「コンパーノ・ベルリーナ」(同左側)と並べて展示

一方で、文字どおり我が道を行っていたブランドがあった。マツダだ。同社は2010年、「スカイアクティブテクノロジー」(SKYACTIV TECHNOLOGY)という新世代技術の投入を発表するとともに、コンセプトカーの「靭」(シナリ)を公開し、「魂動」(こどう)という新しいデザインテーマを提案した。今回は、この2つのテーマの新たなステップを展示していたのだ。

エンジンも展示したマツダの独自路線

このうちスカイアクティブについては、別の記事でテストコースでの試乗記事を紹介している。ガソリンとディーゼルの“いいとこ取り”といえる夢のエンジン、つまり、ガソリンを燃料としつつディーゼルのような圧縮点火方式を実現することで燃費性能を大幅に高めた「SKYACTIV-X」だ。

そこで今回は、もうひとつのトピックである魂動デザインの深化(進化ではない)について、コンセプトカーを紹介しながら解説していきたい。

今回のモーターショーでマツダは、「マツダ VISION COUPE」(ビジョン・クーペ)と「マツダ 魁(カイ) CONCEPT」(魁コンセプト)という2台のコンセプトカーを世界初公開した。

「ビジョン・クーペ」(左)と「魁コンセプト」

このうち魁コンセプトは、前述したSKYACTIV-Xや、スカイアクティブ・ビークル・アーキテクチャーと名付けた新世代プラットフォームを採用しており、次期「アクセラ」なのではないかという噂もある。純粋に魂動デザインの深化を表現したコンセプトカーはビジョン・クーペになる。

照明にもこだわり、RXビジョンとも共通項

会場に着くと、落ち着いたメタリックカラーをまとう流麗な4ドアクーペがターンテーブルに置かれていた。上からは、ターンテーブルと同じぐらい大きな円形の照明の柔らかい光が、ビジョン・クーペを照らしている。

円形の照明に照らされた「ビジョン・クーペ」

そのシーンを見た瞬間、筆者は2年前の東京モーターショーのマツダ・ブースを思い出した。そこには「Mazda RX-VISION」(RXビジョン)と名付けられたスポーツカーが、同様の舞台装置の中で展示されていた。

2年前は、マツダがロータリーエンジン搭載車に使って来た「RX」の2文字を用いていたものの、他のブランドもコンセプトカーに起用することが多い「ビジョン」という言葉を使ったところは共通しているし、なによりも、天井に仕込まれた照明のデザインが似ていた。

東京モーターショーに先立ちマツダが開催したイベント「マツダデザインナイト2017」で展示されていた「RXビジョン」

「艶」と「凛」で次世代のデザインを語るマツダ

マツダのデザイン本部アドバンスデザインスタジオでビジョン・クーペに関わった岩尾典史氏に話を聞くと、前回のRXビジョンと今回のビジョン・クーペには共通項もあるという。

魂動デザインは2010年に発表した「靭」以来、草原を駆けるチーターなど、生きた形をスタイリングにすることを普遍的な根源としている。その点では、2年前のRXビジョンと今回のクーペ・ビジョンは共通しているという。

「具体的には『艶』と『凛』、つまり艶やかさと凛とした部分を共有しているところは同じです。しかし、RXビジョンが艶やかさを重視して造形されたのに対し、ビジョン・クーペは凛とした部分を強調して造形したという違いがあります」(岩尾氏)

「艶」と「凛」を共有する「ビジョン・クーペ」と「RXビジョン」

凛とした部分とは、日本の美意識の中にある「引き算の美学」に宿っているという。これ見よがしに主張するのではなく、引くこと、省略することで生まれる余白の豊かさだ。マツダはこの部分を大切に考え、キャラクターラインなどの線で個性を表現するのではなく、面に当たる光の移ろいを表現することに挑戦したというのだ。

光の当たり具合を反映する面の表現

たしかにビジョン・クーペを見ると、現行「アテンザ」や「アクセラ」などに用いているボディサイドのキャラクターラインがない。RXビジョンもそうだった。線に頼らない、面で魅せるデザインを貫いている。

光の当たり具合で表情を変えるクルマ

線に頼らないデザインは想いを伝えることが難しい。光が当たったとき、線があればそこで明暗がくっきり分かれるけれど、面の凹凸は光の角度によっては分かりにくい。そこでマツダは照明にこだわった。2年前のRXビジョンと今回のビジョン・クーペの展示に使われた大きな白い照明装置だ。

RXビジョンが出展されたとき、デザイン本部長として魂動デザインを立ち上げた前田育男氏にRXビジョンについて伺ったところ、照明もデザインの一部という答えが返って来た。今回のビジョン・クーペも同様のこだわりで作り上げられたのだろう。

光がデザインの一部となる(画像提供:マツダ)

ビジョン・クーペの正面に立ち、ゆっくり回転していく車体を見ていると、ボディサイドで少しずつ姿を変えていく光の映り込みが、屋外の道を走り去っていくときの光の移ろいに見える。それをインドアのブースで体感するための装置なのだ。そして色にも工夫がある。

「前回のモーターショーに展示されたRXビジョンは、艶やかさをアピールするために、魂動デザインのイメージカラーとしてきた『ソウルレッド』の進化形と言える赤を用いました。しかし、今回のビジョン・クーペでは、金属質の強さを再現したいという目的があったのでダークシルバーとしました」(前出の岩尾氏)

ダークシルバーで金属質の強さを表現(画像提供:マツダ)

クーペスタイルにも反映されるマツダの伝統

4ドアクーペというボディタイプにした理由もある。プレミアムブランドでこの種のボディがトレンドになっているからではない。マツダは乗用車第1号の「R360クーペ」、前輪駆動のロータリーエンジン車であった「ルーチェ・ロータリークーペ」など、クーペにこだわってきたブランドのひとつだ。ビジョン・クーペはこうした文化を反映したデザインでもある。

1969年発売の「ルーチェ・ロータリークーペ」(画像提供:マツダ)

2年前に公開されたRXビジョンは近い将来、ロータリーエンジンを積んだスポーツカーとして市販化されると噂されている。今回のビジョン・クーペは、次期「アテンザ」になるのだろうか。これまでもコンセプトカーのデザインを量産車に忠実に反映してきたマツダだからこそ、「SKYACTIV-X」だけでなく新世代の魂動デザインにも注目したい。

CESで大注目の「折り曲げられるスマホ」、普及の見込みは?

CESで大注目の「折り曲げられるスマホ」、普及の見込みは?

2019.01.18

中国メーカーが自在に折り曲げられるスマホを実現

「大画面×コンパクト」を両立する夢のデバイス、実用性は?

端末の魅力を引き出すアプリ登場が普及のカギか

米ラスベガスで開催された世界最大級の家電見本市「CES 2019」では、2019年のトレンドを先取りする新ガジェットが一堂に会した。その中でも一際大きな注目を浴びたのが「折り曲げられるスマホ」だ。商品化にこぎ着けたのは世界初という。

折り曲げられるスマホ「FlexPai」

スマホの画面サイズが大型化を続ける中、iPhone SEのような小型スマホを求める声は依然として多い。そこで登場した折り曲げられるスマホは、「大画面」と「コンパクト」を両立する夢のデバイスに見える。果たして普及の可能性はあるだろうか。

自在に折り曲げられるスマホ、中国メーカーが実現

折りたためる2画面のスマホというアイデア自体は、実はそれほど目新しいものではない。NTTドコモとZTEが共同開発した「M Z-01K」などは、現行モデルとして国内で販売中だ。

だが、従来の2画面スマホはヒンジを用いて2つの画面をつなげたものに過ぎなかった。その後、液晶とは異なる特性を持つ有機ELが登場したことで、ディスプレイを紙のように自在に折り曲げられることも夢ではなくなった。

有機ELの「曲げに強い」という特性は、多くのスマホに活用されている。サムスン電子のGalaxyシリーズが画面端を曲面にしたスマホを発売後、ソニーモバイルシャープもこの形状を採用している。

これを推し進め、開くとタブレットのような大画面、2つに折り曲げるとスマホサイズという端末の可能性が見えてきた。そして2018年10月、中国のRoyoleが、世界で初めての折り曲げられるスマホ「FlexPai」を商品化したのだ。

中国Royoleのブース。フレキシブルディスプレイを使った様々な製品が並んだ

CES 2019では韓国のLG電子が巻き取り式のテレビを発表するなど、「曲がるディスプレイ」が会場全体で話題になっていた。そうした下地もあって、Royoleの出展ブースには来場者の行列が絶えず、展示機がバッテリー切れを起こすほどの盛況となっていた。

実用性はさておき、スマホの進化の可能性を示した

FlexPaiの特徴は、開いた状態ではタブレットに近い形状になり、そこから自由に折り曲げできる点にある。従来の2画面スマホとは異なり、広げた状態でも画面の境目がないため、タブレットと同じ感覚で利用できる。

広げた状態ではタブレットのように使える

メーカーが挙げるメリットは、複数のニーズごとの端末を1台に集約できることだ。大画面が欲しい人の中には、スマホとタブレットを両方持ち歩いている人もいるだろう。だがFlexPaiなら持ち歩くのは1台で済むというわけだ。

折り曲げた状態では一般的なスマホと同じように使える

折り曲げというギミックから、耐久性に不安を覚えるものの、20万回程度の折り曲げに耐えられるという。ただ、折り曲げると厚みが出るため、スマホのようにコンパクトに持ち歩くことはまだ難しい。

アプリの対応も課題だ。FlexPaiを折り曲げた状態では「表面」と「裏面」に加え、折れ曲がった「エッジ」の3画面を利用できる。FlexPaiの魅力を引き出すには、これら3画面を活用するようなアプリの登場が待ち望まれる。

そこでRoyoleは、FlexPaiをアプリ開発者向けに1,318ドルの価格で先行販売している。まずは開発者にデバイスを手に取ってもらい、どのような活用方法が考えられるか、アイデアを募っていく段階といえる。

会場で実機を試した印象だが、現段階での折り曲げスマホは実用的とまではいえないと思えた。しかしRoyoleという会社の名前を世界に知らしめ、フレキシブルディスプレイの技術を示したという意味では、この発表は大成功を収めたといえるのだろう。

また、サムスン電子など大手スマホメーカーも折りたたみや折り曲げ端末の開発を進めており、グーグルはAndroid OSとして公式サポートを表明している。スマホの次なる進化の可能性を真っ先に示したFlexPaiを、この場の実用性で語るのはお門違いなのかもしれない。

日本車のインテリアには独創的な未来がある? 「1kg展」で感じた可能性

森口将之のカーデザイン解体新書 第12回

日本車のインテリアには独創的な未来がある? 「1kg展」で感じた可能性

2019.01.18

国内主要メーカーの内装デザイナーが集まり展示会を開催

テーマは“1kgの価値”をどこまで高められるか

実車に応用できる? 独創的な作品の数々

国内主要自動車メーカー8社のインテリア・カラーデザイナーが参加する団体「JAID」が初の作品展を開催中だ。“1kg”という重さにこだわり、最新の3Dプリンターを駆使して各社のデザイナーが生み出した作品は独創的で、会場の「GOOD DESIGN Marunouchi」(東京・丸の内)は小さな現代美術館のような雰囲気になっている。

ダイハツ工業のデザイナーが出品した「受け継がれる樹脂」という作品

雑誌の対談が契機となり生まれた「JAID」

「JAID」という名前を初めて目にした人も多いだろう。「ジャパン・オートモーティブ・インテリア・デザイナーズ」の略で、「ジャイド」と読むそうだ。

創立のきっかけとなったのが、自動車雑誌「NAVI CARS」(ナビカーズ)での対談だったと聞いて、「あの号だ!」と即座に思い浮かんだ。クルマのインテリアを特集したナビカーズの2015年7月号で、筆者も別の対談に参加させていただいていたのだ。その号に国内メーカーのインテリアデザイナーが語り合うページがあったことは記憶の片隅に残っていた。

雑誌の売れ行きが落ちているといわれて久しい。それだけに、1つの雑誌の企画からJAIDのようなコミュニティが生まれたことは、モータージャーナリズムに身を置く者として嬉しい気持ちになる。

日産自動車のデザイナーが出品した「∞ Fluff」

価値ある1kgの創造に挑んだデザイナーたち

そのJAIDが企画したのが「1kg展」だ。なぜ“1kg”にこだわるかといえば、クルマの開発に携わる人たちにとって切実な「kg単価」という指標に理由がある。

「kg単価」とは、クルマの開発で使われる値段の単位だ。インテリアデザイナーとしてはkg単価が高い、いわゆる良い素材を使いたいという気持ちは大きいだろう。快適性や安全性の追求、さらには電動化への対応、重量の削減といった視点も持ちながら素材を選んでいるはずだ。

しかし、贅を尽くしてばかりでは車両価格の上昇を招くので、妥協が必要になる。おそらくインテリアデザイナーは、このような状況で悩みながら、新しい素材や仕立て、色などを取り入れるべく、奮闘の毎日を過ごしているのだろうと想像している。

では、そういった制約がなくなったとき、デザイナーたちはこのkg単価をどこまで価値あるものに仕上げられるのだろうか。これが、今回の展示会のテーマだ。最新の3Dプリンターを駆使し、時間や空間、物質としての限界などを飛び越えた作品を独自の着眼点で製作すると同時に、広くカーインテリアデザインの魅力を伝えたい。そんなメッセージのこもった展示会なのである。

ホンダのデザイナーが出品した「風速1kg」

素材と色のコーディネートが味わえる「ハンバーガー」

会場のGOOD DESIGN Marunouchiは、2013年度から通算5回、今年度も含めてグッドデザイン賞の審査員を担当している筆者にとってはなじみ深い場所だ。ところが、「1kg展」の内覧会を訪問した時には、状況がまるで違っていた。いつもは展示物をゆったりと眺めることができる空間なのに、この日はラッシュ時の駅のようにごった返していたのだ。それだけ、インテリアデザイナーの斬新な発想に期待する人が多かったということだろう。

日産のデザイナーが出品した「4D flower」。「1kg展」に作品を持ち寄ったのは、国内大手自動車メーカー7社(ダイハツ工業、ホンダ、三菱自動車、日産自動車、スバル、スズキ、トヨタ自動車)だ

作品の中には、クルマのインテリアデザインとは関係なく、最新の3Dプリンターならではの表現能力の高さをアピールするような作品も見られた。それらを業界の枠を飛び越えた独創的な作品と捉える人もいたようだが、クルマが好きで今の仕事に携わっている(はず)の方々だからこそ、もっとインテリアにこだわって欲しかった。

ただ、クルマのインテリアとの関連性が高い作品が大半を占めていることは確かで、中には独創的な発想や興味深いアイデアも見られた。本稿では独断と偏見で、そのうちの3つを紹介していこう。

まずは、会場の入り口近くに置かれていた「CMFバーガー」だ。「CMF」とはカラー、マテリアル、フィニッシュの頭文字で、ナビカーズでの対談が行われた頃から、自動車に限らずデザイン分野でひんぱんに使われるようになってきた言葉だ。造形だけでなく色や素材、仕立てにも気を配ることで、より完成度の高いデザインが生まれるというような意味が含まれている。

「CMFバーガー」はトヨタのデザイナーが出品

この作品は、CMFのコーディネートを1kgのハンバーガーに見立てて表現したもの。レザーのバンズ、クリアレンズのトマト、加飾素材のチーズやパティ、シート素材のレタスがさまざまな色で用意してあり、好みのバーガーを作り出せる。

3つの作例では、CMFの違いでかなり雰囲気の異なるバーガーを作れることが分かった。バンズを肉抜きタイプにすると総重量が1kgを切るなど、計量化を実感できる仕掛けも盛り込んである。ディーラーが車種別にCMFハンバーガーを用意すれば、顧客は楽しみながらカラーコーディネートを試すことができるかもしれない。

ディーラーに「CMFバーガー」が置いてあったら面白いかも

インテリアをボールにした斬新な作品も

続いて紹介するのは「トランスフォームステアリング」。自動運転が実用化された未来を想定した変形機構を持つステアリングで、手動モードでは伸びて操舵できる状態となり、自動モードでは縮めて格納しておける。全てがマットブラック仕上げだが、グリップ部分、変形部分、外枠部分を別のメーカーのプリンターで製作することで、素材の違いを表現している。

トヨタのデザイナーが出品した「トランスフォームステアリング」

製作したデザイナーはステアリング機能だけを想定していたようだが、左右のグリップをねじることでアクセルやブレーキの操作ができれば、この部分だけで基本的な運転操作ができる合理性の高いインターフェイスになると思った。ペダルがなくなれば、室内レイアウトの自由度も高まりそうだ。

伸ばせば手動運転に使えるし、自動運転中は縮んだ状態で格納しておける

最後は「インテリアボール」だ。写真を見てお分かりのとおり、クルマのインテリアを構成するパーツをボール状のアートとして表現したもので、多くのパーツをまとめ上げ、世の中というフィールドにデザインを“投げ”かけているインテリアデザイナーの仕事をボールの形に込めたのだという。

「インテリアボール」はホンダのデザイナーが手掛けた

展示してあるのは1個だけだが、スポーツの世界では競技によってサイズの違うボールを使うことにも製作者は着目している。使用する材料や加工方法を変えることで、同じ1kgでもサイズや見え方の違った表現ができるそうだ。

しかしながら筆者には、これがボールではなく卵に見えた。卵から生まれる前のクルマ、そのインテリアデザインは、こうなっているのではないかと想像したのだ。同じクルマのエクステリアデザインを卵の殻で表現することで、多くの車種を球形にできれば、一風変わったミニチュアになるのではないだろうか。

JAIDが企画した1kg展の作品群は、それ自体が柔軟かつ斬新な発想から生まれているだけでなく、見ているこちらも創造力が掻き立てられるものだった。この展示会を訪れて、日本の自動車メーカーにインテリアデザインの実力者が多いことに感心するとともに、メーカーには、この実力を引き出して製品に結び付ける能力が求められていることを教えられた。

1kg展の会期は1月25日まで。入場は無料だ。時間に余裕のある方は、一度訪れてみてはいかがだろうか。