Classiが挑む、70万人の基盤を活かしたプラットフォーム化への挑戦

Classiが挑む、70万人の基盤を活かしたプラットフォーム化への挑戦

2017.09.11

2014年にベータ版、2015年から正式にサービスをスタートした学習支援クラウドサービス「Classi」。全国5000校ある高校のなか、2100校、およそ4割の高校で利用されている。

実利用者でも高校生330万人のうち、およそ77万人がClassiアカウントを利用しており、2016年度までに累計42万人が利用しているとされるリクルートマーケティング パートナーズ提供「スタディサプリ」を大きく引き離している。2016年度は当初340校だったものの、同年度中に1400校、2017年度頭に1800校と利用校が急激に伸びた。

Classi 代表取締役副社長の加藤 理啓氏によれば、年度初めの契約数が昨年、今年と年度当初から契約数を大幅に伸ばしている理由について「4月、5月は新しいクラスがスタートして学校全体がバタバタしている時期。落ち着く6月以降に本契約するというパターンが多かった」(加藤氏)という。

Classi 代表取締役副社長 加藤 理啓氏

その中でも成長エンジンとなったコンテンツは「学習動画アプリだ」(加藤氏)。生徒の集中力が持続しやすい5分前後の動画を中心に、2.5万本を用意。動画を早送りして"見たこと"にする生徒への対策として、動画終了後に「確認問題」を用意していることにメリットを見出す学校が多いようだ。

「先生たちが感じている課題として、学期ごとに2度ある定期テストの結果に一喜一憂する生徒が多い中で、『出来ていなかったところを振り返ってやり直してほしい』という思いがある。そうした復習を重点的に行えるのが学習動画アプリのメリットだ」(加藤氏)

Classiはベネッセホールディングスとソフトバンクの合弁会社。そのため、ベネッセが提供する「進研ゼミ」の教材を利用できるほか、4000校が活用する進研模試のノウハウを活かしたコンテンツの最適化が可能になる。さらに教育系出版社との提携も行っているため、進研ゼミコンテンツのみならず自校で利用しているコンテンツを利用できる。

もちろん、ソフトバンクのICTの強みを活かしたテクノロジーの活用も行っている。例えば学習動画では、進研模試の結果と生徒のIDを紐付けてデータベースを連携。模試の結果から浮き彫りとなった生徒の苦手な単元を、アルゴリズムで自動的に抽出して最適な単元の動画をレコメンドする。

そしてこの国内最大級のユーザー規模とテクノロジーをかけ合わせてClassiが次に臨むのが「Classiプラットフォーム」だ。

2018年4月からスタートするプラットフォームでは、Classiで作成したIDで他のパートナー企業が提供するサービスをシングルサインオンで利用できる。Classiにとっては他サービス連携によるコンテンツ拡充と新規契約が見込め、収益の安定化が期待できる。一方のパートナー企業は、77万人におよぶClassi契約ユーザー数に営業部門を抱えることなくアプローチしやすくなるほか、シングルサインオンによって各校の導入障壁が大きく下がるメリットがある。

「ICTを活用したいと話す先生たちは少なくない。ただ、先生たちは生徒のID/パスワードをサービスごとに発行・管理する必要があり、作業が煩雑になるデメリットが大きかった。Classiでは、先生のID/パスワードと生徒のID/パスワードをグループ化して管理しており、単なるシングルサインオンだけでなく、提携サービスにログインすればそのまま生徒の管理が可能になる」(加藤氏)

既存の学習教材や動画サービスを提供することで支持を得てきたClassiだが、「学校のニーズは各校細かい部分で差異がある。自分たちできめ細やかなニーズの最適化が難しい。パートナー企業の協力のもとで提供することが最適だと判断した」(加藤氏)。

Classiは学校と長年のパイプを持つベネッセの営業部門が販売しているため、大きな基盤を作り上げることができた。一方でパートナー企業が直接学校に販売するには壁があると加藤氏は話す。

「教科書以外の教材の購入は『進路部』が行うところがあれば、各教科の担任が購入するケースもある。Classiの基盤があれば、それらの先生が全員、管理コンソールで教材のレコメンドを見ることになり、認知が図れる。先生とパートナー、双方にとって大きなメリットとなるはずだ」(加藤氏)

パートナーは、Classiがピックアップした「英語4技能」や「アクティブ・ラーニング」「STEM」といったこれからの学習に必要とされる8ジャンルに当てはまる企業を中心に探す方針だ。Open ID規格による連携で技術的障壁を引き下げており、将来的なオープンAPI化によるパートナー企業の拡充も否定しなかった加藤氏だが、「アプリを増やしすぎてしまうと先生が迷う」と話す。

実際、Chromebookの浸透でICT化が進むアメリカではジャンルごとにアプリが乱立して問題になっているとのことで、「まずはジャンルごとに最適なアプリを提供していきたい」(加藤氏)。ただ、現状では日本で「ジャンルに必ず1つ、アプリを提供する企業があるわけではない」(加藤氏)とのことで、理想と現実に差があるようだ。

5社+1社のパートナー企業からスタートするが、加藤氏は「+1」が面白いと話す。その1社は教育と探求社で、「QUEST EDUCATION」を提供する。このサービスはClassi IDこそ活用しないために「+1」という位置づけだが、アクティブ・ラーニング型教育カリキュラムを提供しており、150校の2万名が学校の正規授業で学ぶ国内最大級の教育カリキュラムだという。

「アクティブ・ラーニングと、プロジェクト・ラーニングとも言われるもので、アクティブ・ラーニングに取り組みたいけど踏み出せない先生たちに最適なプログラムだ。ビジネスコンテストの可愛い版、みたいなもので、4~5人のグループを作って大企業から経営課題を高校生に与える。浮かんだ疑問をClassiにばんばん書き込んで、問題解決学習(PBL)を行う。デジタルとリアルを組み合わせることが、デジタルありきではないリアルな教育体験の場として非常に大きい」(加藤氏)

Classiは一貫して学校法人に対するB2Bサービスとして展開してきた。一方でB2Cサービスを起点としたアオイゼミやスタディプラス、前述のスタディサプリといったプレイヤーがB2Bにも進出しつつある。こうした状況について、加藤氏はB2Bに最適化されたプラットフォームの強みを強調する。

「B2Cサービスは広告モデルで運営しているからマネタイズに苦労する。だからこそB2B領域への進出を目指す人たちが多い。彼らは学校法人よりも塾を中心に関心を寄せているが、塾からすれば学校向けソリューションは適用しやすい。学校の仕組みを熟知しているアドバンテージは大きいし、そこに魅力を感じるプレイヤーがいればどんどん組んでいきたい」(加藤氏)

プラットフォーマーとしての今後は、「ネットワーク効果を最大限に活かす」(加藤氏)。母数が膨らめばさまざまなニーズを顕在化でき、それを解決することで新たなユーザーを呼び込める。将来的には、パートナー企業アプリの利用ログをユーザーとパートナー同意のもとで統合し、学習の進捗状況把握とレコメンデーションに利用したいという。

「生徒がパートナーアプリも含めて勉強を頑張っているのに成績が伸びていないケースがあるとする。その場合は勉強の仕方が間違っている可能性があるが、それを校外サービスならアプリの通知で済ませてしまう。でもClassiであれば先生に通知することで、人が課題を認識して生徒に伝えられる。そこに、例えば過去データから『この勉強の方法だと生徒はこの先伸びない可能性がある』といった指摘ができる。そこに、各ジャンルのプロフェッショナルアプリがあれば、きめ細やかに対応できる可能性がある」(加藤氏)

加藤氏は、AIが先生を代替するという話があると語りつつ、「テクノロジーは一人ひとりの生徒をサポートする」という効率化の側面もあると指摘。例えば、英語の発音を矯正する語学力を持つ先生はわずかしかいないが、パートナーアプリの一つ「English Central」は音声解析技術によってスピーキング学習が可能になる。

English Central

Classiは「先生要らず」ではなく、コミュニケーションの円滑化や学習の強化といった「先生を万能化するツール」としてのプラットフォームの進化を目指すようだ。

音楽特化の「YouTube」が日本上陸! AIでレコメンド

音楽特化の「YouTube」が日本上陸! AIでレコメンド

2018.11.14

音楽に特化した「YouTube Music」が日本でスタート

有料会員になれば、広告なし再生やオフライン再生が可能

YouTube Premiumでは、オリジナルコンテンツの配信も開始

仕事や作業をする際、周りのノイズをカットして集中するために、音楽を聴くという人は多いだろう。わかる。よくわかる。フロアが騒がしいと作業に全く集中できない。周りで仕事している人がいるということがわからないのだろうか、と疑問に思うが、まぁそれは置いておいて、パソコンで作業する場合、手軽に好きな音楽を聴けることから、YouTubeで音楽を聴くという人も多いのではないだろうか。

そんなYouTubeユーザーに朗報である。11月14日、Googleは音楽に特化したストリーミング再生サービス「YouTube Music」を日本でローンチすると発表したのだ。

好みやシーンに応じて楽曲をレコメンド

YouTube Musicは、音楽再生に特化したアプリ。YouTubeにある公式の曲やプレイリスト、歌ってみた、弾いてみたなど、さまざまな音楽動画を視聴することができる。

また、機械学習が活用されているのも特徴の1つだ。視聴履歴などからユーザーの好みを把握するだけでなく、「いつどこで何をしているのか」を類推して、シーンに合わせた楽曲をレコメンド。家でリラックスしているときにお勧めの曲や、仕事中にお勧めの曲などを、自動でピックアップしてくれるという。

さらに、あいまいなカタカナ発音で洋楽を検索したり、CMタイアップ曲などから検索したりすることも可能で、聴きたい曲をスムーズに探すことができそうだ。

サービスの発表会において、YouTube 音楽部門 プロダクトマネージメント責任者のT.ジェイ ファウラ氏は「オーディエンスに着目した結果、今出ているアプリでは満足できていない層があることがわかり、そのユーザーに音楽サービスを届けようとこのサービスをスタートしました。YouTube Musicは、ユーザーの利用シーンや好みに合わせた曲を、YouTubeにある膨大なミュージックカタログからレコメンドするユニークさを持っています」と、サービスの魅力を強調した。

YouTube 音楽部門 プロダクトマネージメント責任者のT.ジェイ ファウラ氏

無料でも利用できるが、有料のYouTube Music Premiumに登録すると、「広告なし再生」「バックグラウンド再生」「オフライン再生」などが可能になる。料金はWeb/Androidが月額980円で、iOSが月額1280円(ともに税込み)だ。

YouTube 日本音楽ビジネス開発統括担当の鬼頭武也氏は「日本ユーザーの方は通勤通学などで音楽を聴くことが多いと思います。オフライン再生機能では、前日の夜に自宅のWi-Fiで翌日聴くべき曲を自動で更新し、通信なしで聴けるようになります。データの通信量などを気にする必要もないので、非常に便利な機能だと思います」と、オフライン再生のメリットを訴求した。

なお、同サービスには著作権管理システムが働いており、YouTubeと同様に適切な権利コントロールが可能だという。

YouTube 日本音楽ビジネス開発統括担当の鬼頭武也氏

「YouTube Originals」が日本でも始動

また今回、「YouTube Premium」という新しい有料プランもスタートする。料金はWeb/Androidだと月額1180円で、iOSだと月額1550円(ともに税込み)だ。YouTube Music Premiumの機能に加えて、YouTubeでも「広告なし再生」「バックグラウンド再生」「オフライン再生」機能が使えるようになる。

さらに、YouTube Premiumの会員は、12月から日本でも配信される予定のYouTubeオリジナルコンテンツ「YouTube Originals」を視聴することも可能だ。すでに世界30カ国でコンテンツを展開しているが、このたび、日本でも制作がスタート。SEKAI NO OWARIとMARVLEがコラボしたミュージックビデオ制作の裏側に迫るドキュメンタリー「Re:IMAGINE」、YouTuberのはじめしゃちょーが主演する連続ドラマ「The Fake Show」、YouTubeで人気のクリエイターが手がけた「隙間男:Stalking Vampire」の3つだ。

「YouTube Music Premium」と「YouTube Premium」で利用可能な機能
日本で制作される「YouTube Originals」のコンテンツ

発表会には「The Fake Show」に主演する、YouTuberのはじめしゃちょーが駆けつけた。

はじめしゃちょー

「今回僕が出演するのは、今までなかったYouTuberをテーマにしたドラマ。アカウント乗っ取りや炎上など、問題に直面しながらも夢に向かって進んでいく姿が描かれているので、僕の動画を見たことない人にも見てほしいですね」と動画の紹介をするとともに、YouTube Musicについて「普段、広く浅く、さまざまな音楽を聴くので、非常に楽しみなサービスです。ぜひ使ってみたいと思います」と期待を述べた。

なお、YouTube Musicは「Google Home」「Google Home Mini」にも対応予定。そのほか、現在「Google Play Music」を利用しているユーザーは、追加料金なしで移行することができるという。

新型VAIOの攻め手は十分か? 日の丸パソコン再起の展望

新型VAIOの攻め手は十分か? 日の丸パソコン再起の展望

2018.11.14

VAIOが独自機構の新型モバイルPC「A12」を発表

パソコン事業の成長は数年続き、海外展開も拡充

パソコンのVAIOから、ITブランドのVAIOを目指す

VAIOが業績が好調だ。2017年度は売上、利益ともに2ケタ成長となる増収増益を達成した。PC事業が順調なことに加え、EMS事業も進展したことが奏功したという。11月22日にはオールラウンダーPCというコンセプトを打ち出した新型モバイルパソコン「VAIO A12」を発売する。国内PC事業は合従連衡や海外への売却が続くが、数少ない「純国産」のPCメーカーであるVAIOの今後の戦略とは。

VAIO A12

働き方改革を追い風に地固め、今後は拡大を目指す

VAIOは、ソニーから独立後、法人向けビジネスを中心に据えたことで、早くから黒字化を実現しており、今期も順調な決算となった。売上高は前年同期比10.8%増となる214億8,800万円、営業利益は同13.9%増となる6億4,800万円で、過去最高益を達成した。

PCの法人需要が旺盛で好調な決算となった

法人向けモバイルPCの伸びが前年比30%増と順調だった点が特徴で、その背景にあるのが昨今のトレンドとなっている「働き方改革」だ。テレワークやフリーアドレスなど、それまでの決まったデスクに座ってデスクトップPCを操作するという環境から、ノートPCを持ち歩いて仕事をするという環境に移っていくなかで、VAIOの製品構成がこれに上手くはまった。

VAIO株式会社 代表取締役 吉田秀俊氏

VAIOでは、2017年から11~15インチのモバイルPCでラインアップを構築しており、今年はその後継機種を投入していた。パフォーマンスに特化したVAIO True PerformanceやVAIO Premium Editionといったバリエーションモデルも提供してはいるが、一方でVAIO ZやVAIO Z Canvasといった過去のハイエンドモデルに相当する製品はなく、あくまで「メインターゲットは法人ユーザー」を想定していることが伺える。

同社の吉田秀俊代表取締役は、今後も数年はPC事業が伸長を続けると想定している。働き方改革の拡大を受けて法人需要がさらに伸びることに備え、ラインアップをさらに拡充することで売り上げを伸ばしたい考えだ。

構想3年、開発2年の「VAIO A12」

これを目指して今月発売する新ラインアップが、12.5インチサイズのデタッチャブルWindows PC「VAIO A12」だ。市場にある課題とその解決を徹底的に図ったという製品で、求められているPCはクラムシェルか2in1か、タブレットタイプかコンバーチブルかデタッチャブルか、そういったゼロからの検討を行った結果、「構想3年、開発2年」を費やして仕上げたモバイルPCだという。

VAIO A12は、既存のカテゴライズでは、タブレットとキーボードの着脱機構を備えたいわゆる2in1モバイルPCだ
「膝上で使える」問題の解決や、まともなキーボードの搭載など、クラムシェルPCの使い勝手を求めた

前提とした課題がすべて解決しない限り製品化を見送るという強い意識で開発されたのがA12であり、それには新たな技術的ブレークスルーが必要となった。それが「Stabilizer Flap」と呼ばれる新たなデタッチャブルの機構だ。

「Stabilizer Flap」と呼ばれる独特のデタッチャブル機構が最大の特徴

きっかけは書籍の背の動きだったそうだが、軽量なPCを実現しながら、クラムシェル型と同等の使い勝手を実現した。キーボード部にはVGAやLAN端子を含む多くの端子類を装備して、周辺機器との接続性を求める日本の法人ユーザーのニーズに対応させた。実際、すでにA12導入に向けて動いている法人の中には、「VGAがあるのが選択の決め手」というところもあるそうだ。

機能はとにかくニーズの実現を徹底し、端子が豊富という今では貴重な仕様。手持ちのモバイルバッテリで本体を充電できる5V充電機能もいざというときに役立つ

コンシューマ向けで考えると、端子を減らしてスッキリとしてさらに薄型化、軽量化、低価格化も期待したいところだが、豊富な端子に対する法人ニーズは根強く、その点はVAIOとして譲れない線ということだろう。ただ、薄型軽量であることにはこだわり、タブレットとしては重さ607グラムで薄さ7.4ミリ、キーボードユニットを装着しても重さは1,099グラムまで抑え込んだ。

ソニー時代から同社が得意とする高密度実装技術を活かし、薄型軽量化にもこだわった

海外市場に再挑戦、PCラインアップも早々に増やす

PC事業では、一度は撤退した海外市場に向けて再挑戦にも乗り出している。販売エリアを順次拡大しており、今年は12カ国まで拡大した。今後は北米、中国、欧州での展開を計画している。特に欧州へは「検討中というわけではなく、決めている。来年早々にも展開する」(吉田氏)という。

PC事業の勝算はあるのか。吉田氏は、会社としてのVAIOが240人体制になり、「(ソニー時代に比べ)限られたリソースの中でどう成長戦略を描けるか」が課題であったと振り返る。この1年は「足りているもの、足りていないものを見極める」ことに集中し、独立後1~3年という「短期決戦を乗り切った」と話す。

引き続き、「VAIOはPC事業だけで将来生き残れるのか、という(市場の)問いに答えなければならない」としており、その答えとしては、「ビジネスユーザーにPCは必要なので、PCが大きな核としてVAIOを支えるのは間違いない」とするが、それだけではPC事業としての生き残りには不十分というのが吉田氏の認識だ。

そのため、技術革新や世の中の進化に伴って、ユーザーの生産性をいかに高められるかという観点で新しいPCを打ち出し、生き残りを図っていく考え。その一つの回答が「VAIO A12」となるが、来年以降の新製品でもそうした点を踏まえた新製品を投入していく。「来年度はもう少し違った形で生産性を高める製品を提供していく」という意向を示しており、年明け早々には今までとは異なるタイプの製品を企図しているようだ。

現行のラインアップ。最上部にあるのがVAIO A12で、来年さらなる新ラインアップを展開する

PCはVAIOのコアだが、VAIOはPCブランド脱却目指す

吉田氏は「貪欲な姿をもちながら、VAIOのブランドを伸ばす」と話すが、ここで大きな戦略の柱となるのは、「PCブランド」としての「VAIO」ブランドからの脱却だという。PC事業は順調とは言え、ライバルも多い。MicrosoftのSurfaceだけでなく、レノボとその傘下のNEC、富士通、鴻海傘下のシャープ、東芝、そしてデル、HPといった米国勢もあり、働き方改革の影響で伸びた市場をどこまで獲得できるかは未知数だ。

吉田氏は「次世代ITブランドとしてのVAIOを目指す」としており、単にPC単体を売るのではなく、セキュリティやキッティングといった付加価値サービスも盛り込むことで、トータルソリューションとしてのPC事業を展開する。

これに、EMS事業でのシナジーも追加していきたい考えだ。あわせてPCの周辺機器などを扱うことで、PC事業の強化にも繋げていき、市場全体の活性化も狙える。ハード、ソフトの両面から事業領域を拡大していく。

PC事業は、周辺機器やセキュリティソリューションなどでさらなる拡大を目指す

EMSやパートナーの強化、IoTなどの新規事業など、ビジネス領域の拡大で企業としてのVAIO自体の強化を目指すが、今後も屋台骨となるPC事業で好調を維持できるか。ここまでの短期決戦を乗り切り、ここから一過性の盛り上がりではなく継続した強い事業構造への転換を図る、吉田氏が「フェーズ2」と呼ぶVAIOの新たな成長戦略がはじまったばかりだ。