新iPhoneは実質負担額が増える可能性大、それでも売れるか

新iPhoneは実質負担額が増える可能性大、それでも売れるか

2017.09.11

新iPhoneの発表を間近に控える中、新iPhoneを購入したい多くの人にとって気になるのが、大手キャリアから販売されるiPhoneの実質負担金である。今年に入って端末を値引かない代わりに通信料金を値引く「分離プラン」が登場したのに加え、端末販売に関して、ユーザーにより合理的な額の負担を求めるよう、総務省からの指針も出されていることから、iPhoneの実質負担金はは一層上昇する可能性が出てきているのだ。果たして新iPhoneは買いづらくなり、販売が落ちてしまうのだろうか。

新iPhoneの実質負担金は高くなる可能性が浮上

ここ数年来、毎年9月に新しいiPhoneの発表を実施する傾向にあるアップル。今年もいくつかのメディアが、米国時間の12日にiPhone新機種を発表するとの観測報道が相次いでいることから、そろそろ新機種が発表される可能性が高い。既に新iPhoneに関しては、3つのモデルが発表される、そのうち1機種には有機ELディスプレイが搭載される、ホームボタンがなくなり前面タッチパネルになる、型番が「iPhone 8」「iPhone X」になる……などさまざまな観測報道がなされ、大きな注目を集めている。

また筆者が先日取材した、ドイツ・ベルリンで実施された家電・ITの総合見本市イベント「IFA 2017」でも、まだ新iPhoneが発表されていないながら、新iPhone向けと見られるスマートフォンケースなど周辺機器が多く展示されており、盛り上がりを見せていた。執筆時点でそれらの真偽は定かではないのだが、新iPhoneの登場に多くの期待が集まっていることだけは確かなようだ。

毎年新iPhoneの直前に実施される「IFA 2017」では、今年も多くのスマートフォンケースメーカーが、新iPhone向けと見られるスマートフォンケースを展示していた

日本でも、例年通りであれば9月中に発売されるであろう新iPhoneだが、今年はその販売が例年通りとはいかない部分もあるようだ。それは大手キャリアから販売されるiPhoneの、値引きが適用された後の「実質負担金」である。

大手キャリアの主力商品であるiPhoneは、かつて販売面で大幅な優遇がなされ、発売開始直後から、特に番号ポータビリティ(MNP)で乗り換えて新規契約する人達を対象とした、大幅な値引きキャンペーンや下取り優遇施策を実施。本来ならば10万円近くする高額なiPhoneを、非常に安価な実質負担金で購入できるようにして、他社からユーザーを奪うことに注力していたのである。

だが2014年の春頃になると、キャリア間の値引き合戦が過熱するあまり、端末の値引きにとどまらず、10万円を超えるキャッシュバックが乱発される事態にまで発展した。そうした事態を総務省が重く見たのに加え、安倍晋三首相が2015年に携帯電話料金の引き下げに言及した影響もあって、昨年4月には総務省が「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」を策定。スマートフォンを実質負担金0円で購入できるなど、極度に値引いて販売することが実質的に禁止され、値引き販売に依存していた携帯電話市場環境は一変したのである。

端末値引きがなくなる「分離プラン」が急拡大

とはいうものの、日本ではiPhoneの販売シェアが5割を占める程の人気商品である。それゆえ大手キャリアは現在もiPhoneの販売を特に優遇する措置を取っており、極端に安い価格では販売できなくなったとはいえ、他のスマートフォンよりも安価で購入できる傾向は変わっていない。

だが今年に入り、iPhoneの販売に一層逆風となる動きが相次いで起きている。1つはNTTドコモの「docomo with」や、KDDI(au)の「auピタットプラン」「auフラットプラン」など、新しい料金プランの登場である。

NTTドコモは6月より、新料金プラン「docomo with」をスタート。値引きなしで販売される対象機種を購入する代わりに、月額料金を1500円割引することで注目された

これらの料金プランは、簡単に言ってしまえば端末の値引きをしない分、通信料金が従来より安くなる仕組み。毎月の通信料は確かに安くなるのだが、端末を購入する際は値引きが受けられない分値段が高くなってしまうので、iPhoneなどの高額端末を購入するには不利なプランでもあるわけだ。

もちろんキャリア側も、端末値引きがなくなって買いづらくなることを考慮してはいる。docomo withはそもそも対象機種を3万円前後の安価なモデルに絞っているし、auも新料金プランの提供に合わせる形で、端末を4年間の割賦契約で購入し、なおかつ月額390円を支払うことで、2年後の機種変更時に残債がなくなる購入支援プログラム「アップグレードプログラムEX」を提供している。

「auピタットプラン」などでは端末値引きがなくなるため、4年間の割賦契約と月額390円の支払いを前提とした購入プログラム「アップグレードプログラムEX」が用意される

端末と通信料金を分離した料金プランの提供は総務省がかねてより要望していたもので、大手キャリアもそうした総務省の意向をくむ形で、新料金プランの提供に至ったといえるだろう。現在のところiPhoneは両プランの対象とはなっていないが、新しいiPhoneがその対象となることで、従来より買いづらくなる可能性は十分考えられるだろう。

また仮に新iPhoneが両プランの対象とならなくても、通信料を安くしたいユーザーが分離プランを選んで他のスマートフォンを購入する傾向が強まれば、その分iPhoneの販売が落ちるという可能性も考えられる。実際、auの新料金プランの契約数は、8月27日に100万件を突破するなど好調で、その対象となっているAndroidスマートフォンの販売も伸びているという。

iPhone 6s/6s Plusの下取り価格を割り込んではいけない?

そしてもう1つは、総務省が今年1月に策定した「モバイルサービスの提供条件・端末に関する指針」である。この中で、先の「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」が一部改訂され、端末購入補助について「端末の調達費用及び関連下取り等価格に照らし、合理的な額の負担を求めることが適当である」との記述がなされたのである。

これは要するに、端末の下取り価格を下回るような値引きをしてはいけない、ということ。ガイドラインによると、下取り価格の基準は2年前に発売された、同じメーカーの同型機種の下取り額が基準になるとされており、新iPhoneの場合は2015年発売の「iPhone 6s」「iPhone 6s Plus」の下取り価格を下回らない額で販売することが求められるわけだ。

執筆時点(9月10日)で、大手3社における両機種の下取り価格を確認すると、iPhone 6sが2万7000円から2万9000円、iPhone 6s Plusが3万円から3万1000円といった状況のようだ。無論、新iPhoneの発売を機に下取り価格を大幅に下げることで販売価格を下げる可能性も考えられるのだが、少なくとも現状では、仮に後継モデル「新iPhone」「新iPhone Plus」が出た場合、値引き後の実質負担金は3万円より上の設定になりそうだ。

2年前に発売された「iPhone 6s」「iPhone 6s Plus」の下取り価格は、執筆時点では共に3万円前後といった状況だ

ちなみにiPhone 6s/6s Plusが発売された頃は、まだ端末価格の値引きに対する制限が緩く、いわゆる“格安”の市場も現在ほどは盛り上がっていなかった。だが今は大手キャリアだけでなく、通信料をより一層引き下げられるMVNOや、機種は旧機種に限定されるがiPhoneをより安価に利用できる、ワイモバイルやUQ mobileなどの選択肢もある。それゆえ新iPhoneの購入に3万円を支払う、あるいは4年間の割賦契約を結ぶことに抵抗感を抱く人は、2年前と比べれば増えているのは確かだ。

だがそれでもなお、iPhoneのブランドや使い勝手に対する評価は高く、iPhoneに慣れたユーザーはその後もiPhoneを選ぶ傾向が強い。そして何よりキャリアがiPhoneを重視する戦略を取り続ける以上、新iPhoneの販売に急ブレーキがかかる可能性は低いだろう。新iPhoneの魅力がどの程度なのかにもよるだろうが、実質的な値上げの影響で新iPhoneの販売がやや落ちるとはいえ、市場に劇的な影響を与える程大きく落ち込む可能性は低いのではないかと、筆者は見ている。

総務省施策が追い風に? 携帯分離の「歴史的チャンス」狙うファーウェイ

総務省施策が追い風に? 携帯分離の「歴史的チャンス」狙うファーウェイ

2019.03.20

モバイル業界を変える「携帯値下げ議論」が過熱

ファーウェイは日本を取り巻く環境を「歴史的チャンス」と発言

コスパ高いミッドレンジ端末でシェア拡大を目指す

20日、NTTドコモが特定の端末の購入を条件に通信料金を割り引く「docomo with」、購入する端末に応じて通信料金を割り引く「月々サポート」を終了する方針を固めたという報道が話題となっている。

国内のモバイル業界では携帯電話料金見直しが進んでおり、3月5日には総務省が中心に進めてきた端末代金と通信料金の分離が閣議決定された。NTTドコモは分離プランを軸とした新料金プランを4月に発表する見込みだ。

日本のモバイル市場を大きく変えるこの動きを「歴史的チャンス」と見ているのがファーウェイだ。2018年末から米中対立が加速する中、ファーウェイが打ち出すメッセージも語気を強めている。果たして日本市場でシェアを拡大できるのだろうか。

逆風吹けども、依然として業績は好調

今年に入り、ファーウェイの周辺が騒がしい。3月7日には、ファーウェイは米国政府を相手取って訴訟を起こした

さらにその内容をFacebookでライブ配信するなど、米国以外の世界市場に向けたメッセージにもしており、そのメッセージをまとめたウェブサイト「Huawei Facts」は、わざわざ日本語版も用意している。

2018年末から続く米中対立を巡る報道は、ファーウェイの業績にどのような影響を与えたのか。MWC19でインタビューに応じたファーウェイ・ジャパンの呉波氏は、「一部の消費者は影響を受けたが、2019年に入ってから売上は大幅に伸びている」と語った。

ファーウェイ デバイス 日本・韓国リージョン プレジデントの呉波(ゴ・ハ)氏

話題の「折りたたみスマホ」でもファーウェイは先行する。

ファーウェイに先立って折り畳みスマホを発表したサムスンだが、こちらはMWCではガラスケース内での「展示」のみにとどまったのに対し、ファーウェイは「Mate X」の実機を用いて報道関係者に折り曲げを試させるなど、製品化で一歩先を行っていることをアピールした。

ファーウェイの折りたたみスマホ「Mate X」。報道陣には手に取って折り曲げてみる機会も用意された

Mate Xは次世代移動通信の「5G」にも対応しており、日本では5Gサービスの開始を待って投入時期を見極める方針だという。

ちなみに3月26日に発表予定のフラグシップ機「HUAWEI P30」シリーズは、例年通りのタイミングで日本市場に投入するようだ。SIMフリーでの発売だけでなく、ドコモが採用した「HUAWEI P20 Pro」のように大手キャリアによる採用があるかどうかも注目したい。

分離プランを「歴史的チャンス」と捉えるワケ

一方、2019年の国内モバイル市場で話題となっているのが携帯料金における「分離プラン」の導入だ。KDDIとソフトバンクはすでに導入済みだが、NTTドコモは4月に発表する新料金プランから本格導入するとみられている。

分離プランの特徴は、NTTドコモの「月々サポート」のように回線契約と紐付けた端末の割引が禁止される点だ。端末の割引自体が禁止されるわけではないというものの、大幅な割引は難しくなる。その結果、10万円を超えるようなハイエンド機ではなく、3〜4万円で一括購入しやすいミッドレンジ機の需要が高まるとの見方が有力だ。

この動きをファーウェイはどう見ているのか。

呉氏は「非常に重要視している。スマホが登場したときや、SIMフリー市場が始まったときのインパクトに引けを取らない、歴史的な瞬間になる」と興奮気味に語る。

日本のSIMフリー市場でベストセラーとなった「HUAWEI P20 lite」を始め、ファーウェイのミッドレンジ機のラインアップは厚い。モデルによってはフラグシップと同じCPUでミッドハイの価格を実現するなど、コスパの高さも特徴だ。大手キャリア向けにさまざまな提案ができる体制といえる。

フラグシップと同じ「Kirin 980」搭載でミッドハイ価格の「HONOR View 20」

また、5G対応も順調だ。

モバイルWi-Fiルーターに強みを持つファーウェイは、MWC19でも5G対応ルーターを多く出展していた。日本ではまだ周波数の割り当てが終わっていないものの、国内大手キャリアは2019年内にもプレサービスを始める動きがある。5Gスマホが普及するまでの間、5Gルーターの需要は高まる可能性がある。

5G対応のモバイルWi-Fiルーターも出展していた

ミッドレンジ市場の拡大を狙って、今年はシャープやサムスン以外にも、ソニーモバイルの参入も予想されている。

この価格帯が激戦区になることは間違いないが、ファーウェイはその中で高コスパの製品ラインアップや、国内での地道な販促活動やブランドメッセージの打ち出しによって対抗していく構えだ。

ヨドバシカメラ梅田店での販促イベントの様子
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Googleが新しいゲームプラットフォームを発表

配信方式でゲーム機不要、「ゲーム機」の時代の終焉?

2019年内にローンチ、性能はプレステやXbox以上か

3月19日、米国で開催中のゲーム開発者会議「GDC 2019」の会場で、Googleがクラウドベースのゲーミングプラットフォーム「STADIA」を発表した。特定のゲーム機に縛られず、ネットに接続したスマホやパソコン、テレビを通してストリーミング(配信)形式でゲームをプレイできる。

この事業を担当するバイスプレジデントとして、STADIAを発表するフィル・ハリソン(Phil Harrison)氏。そもそも彼からして、元はソニーのプレイステーション立ち上げの主要メンバーで、その後Microsoftに移りXboxを担当したという経歴の持ち主

かねてより、MicrosoftのXbox事業のトップマネージャーを引き抜いた、ソニーでPlayStationのハード開発にかかわったエンジニアが転職したといった噂が頻繁に流れており、「Googleがゲーム市場に本格参入する」という憶測は強まっていた。実際に2018年には、Googleは「Project Stream」と呼ばれるストリーミング形式のゲーム基盤の計画を発表し、米国内でベータテスターを募って技術テストを行っていた。

STADIAは、Project Streamの延長線上にあるサービスと見られる。ユーザーは特定のゲーム機を持っている必要がなく、従来のゲーム機の役割をするのはGoogleの設置するデータセンターだ。簡単に言えばクラウドサービスのように、実際にゲームタイトルが動作しているのはデータセンター側で、ユーザーはインターネットを介してゲームを遠隔でプレイする。

STADIAのデータセンターから配信されたゲームをパソコンでプレイしている様子
パソコンで遊んでいたのと同じゲームを、タブレットやテレビでも同じように遊ぶことができる

このプラットフォームの特徴によって、例えばYouTubeで新作ゲームのトレーラー動画を見ていて気に入ったときには、そのページ内の「プレイする」ボタンを押すだけで、インストールすら不要で、動画を再生するかのようにそのゲームをプレイできるようになる。

そして、STADIAのデータセンターが持つゲーム機としてスペックは、サービス開始時のものとして、GPUの演算性能は10.7テラFlopsに達するといい、これはPlayStation 4 Proの4.2テラFlopsや、Xbox One Xの6.0テラFlopsを大きく上回る。映像品質も4K/60fpsのストリーミングに対応し、将来は8K/120fps対応も予定しているという。

STADIA用の「STADIAコントローラー」も販売する。SNSアップ用のボタンや、Googleアシスタントボタンが備わっている

Googleは2019年中にSTADIAをローンチする予定で、まずは米国、カナダ、欧州でサービスを開始すると説明している。発表を受けた翌20日の東京株式市場では、任天堂とソニーの株価が揃って大きく下落した。投資家たちが、GoogleのSTADIAによって、Nintendo SwitchやPlayStationのビジネスが脅かされると考えたからだ。

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