トーンモバイルがシニア層にターゲット、「格安」と「安心」を両立できるか

トーンモバイルがシニア層にターゲット、「格安」と「安心」を両立できるか

2017.09.19

「TSUTAYAのスマホ」として格安スマホ事業を展開するトーンモバイルが、9月15日にシニア向けサービスの強化を発表した。これまで子ども向けスマホに取り組んできた同社が次に狙うのが、約6000万人のシニア市場だ。

トーンモバイルが狙う約6000万人のシニア市場

だが大手キャリアや国産メーカーを中心に、シニア向けスマホに取り組む事業者は多い。トーンモバイルに勝算はあるのだろうか。

シニアを狙う特殊詐欺に対策、電話アプリに工夫

トーンモバイルが新たに発表したのが、「あんしん電話」サービスだ。振り込み詐欺や架空請求など、危険な電話番号からの着信時に画面上で注意を喚起する。規約に同意した全ユーザーに向けて、無料で提供するとした。

子ども向けの次は「シニア向け」に取り組むと宣言した、石田宏樹社長

導入の背景には「怒りがある」と、トーンモバイル代表取締役社長の石田宏樹氏は語る。「特殊詐欺には電話やインターネットが多用されている。これまで通信インフラを発展させてきた人間として、こうした詐欺に使われることに怒りを覚える」という。

特殊詐欺は増加の一途をたどる。被害の8割はシニア層

では、どうやって電話番号を見分けているのか。詐欺に使われた電話番号を記録した外部のデータベースに、トーンモバイルのIP電話や090電話のシステムを接続。さらに既知の番号だけでなく、様々なパラメーターから機械学習により危険を知らせる人工知能(AI)を組み合わせたという。

危険性のある電話番号から着信した様子

インターネットを利用したフィッシングなどの詐欺対策としては、Webフィルタリングと専用ブラウザーを「あんしんインターネットLite」として無料提供する。

格安スマホでも「安心」が欠かせない要素に

このようにトーンモバイルは、格安スマホでありながら単に料金が安いだけでなく、独自のサービスを加えることで差別化を図っている。Androidのホーム画面を使いやすくしたり、位置情報を利用した見守りサービスを開発したりと、ソフトウェア面での工夫が目立つ。

子ども向けスマホでは、ママ世代を読者に持つ女性誌「VERY」とともに、「小学生のスマホ利用を夜10時まで」と宣言。スマホ会社が「スマホを使えなくする」 機能を打ち出したことが、話題を呼んだ。

開発したソフトウェアの横展開も進める。たとえば、子ども向けには親子でスマホの使い方を決め、専用の用紙に記入し、アプリ撮影するとその通りに設定される機能を提供した。これをシニア向けには初期設定用の機能として打ち出した。

専用の用紙をアプリで撮影すると、スマホの設定に反映される

ママ世代の信頼を得たトーンモバイルが提案するのが、子どもやシニアにスマホを渡す「贈りスマホ」だ。携帯電話の契約は複雑で、販売店によっては高齢者に不要なオプションを契約させるなどの問題も起きている。だがトーンモバイルは月額1000円と分かりやすい。

ママ世代から子ども、シニア層にスマホを「贈る」

ハードウェア面では、最新端末の「TONE m17」が富士通製であることも強みになりそうだ。シニア向けスマホの代名詞といえばドコモの「らくらくホン」シリーズだが、主に端末を作っているのは富士通なのだ。耐久性などの特徴を受け継いでいるのはもちろん、誰もが知っている安心の国産ブランドでもある。

まだまだ格安スマホには、大手キャリアのような手厚いサポートがない代わりに料金が安いというイメージが強い。だが一般層にも急速に普及するいま、格安スマホにも安心感は求められる。一見すると相反する「格安」と「安心」だが、独自技術でそれを両立させるのがトーンモバイルの狙いだ。

打倒iQOSに挑むプルーム・テックの戦い、世界市場も見据えたJTの新製品

打倒iQOSに挑むプルーム・テックの戦い、世界市場も見据えたJTの新製品

2019.01.22

低温加熱式のJTがライバルと直接競合する高温加熱式に参入

専用リフィルも異なる3種類の製品で広範に網を張るプルーム・テック

海外市場でも兆し見えた加熱式たばこ、日本での成功がより重要に

日本たばこ産業(JT)が加熱式たばこの新製品、「プルーム・テック・プラス (Ploom TECH+)」「プルーム・エス (Ploom S)」の2製品を発表した。シェアトップのiQOSを追撃したいJTだが、ライバルに先行を許している今、どのような戦略を描いているのか。

JTが発表した加熱式たばこの新製品、プルーム・テック・プラス(左)とプルーム・エス

新たに高温加熱式に参入、ライバルと直接競合へ

新製品は、従来のプルーム・テックを改良したプルーム・テック・プラスと、シェアを争う「iQOS」(フィリップ・モリス)や「glo」(BAT)と同様の加熱方式を採用したプルーム・エスの2つ。iQOSとgloが高温加熱式であるのに対し、もともとプルーム・テックは低温加熱式と呼ばれる方式をとっていた。30度という低温で発生させた蒸気をたばこカプセルを通して吸うため、においが少ない一方、吸いごたえに乏しいともいわれていた。

低温加熱式で吸いごたえを追加したプルーム・テック・プラスと、高温加熱式のシェア奪取を狙ったプルーム・エスを投入

そこで、たばこ葉を増やすなどして吸いごたえを高めたのがプルーム・テック・プラスだ。その結果、本体が太く大きくなり、加熱温度も40度と少しだけ高くなったが、においの少なさはそのままに、吸いごたえをアップさせたことをアピールする。

プルーム・エスは高温加熱式を採用し、iQOSやgloと同様の吸いごたえを目指した。こうした高温加熱式は、たばこ葉を高温で蒸すことで蒸気を発生させるため、従来のたばことも異なる独特のにおいを発生させる。

JT副社長・たばこ事業本部長の岩井睦雄氏は、この独特の「におい」のせいでたばこの味わいに違和感を覚える喫煙者が多かったと話す。そのため、「満足度を高めるのは味わい」として、このにおいの低減に取り組んだという。

プルーム・エスでは、たばこ葉を熱する温度を200度に抑えた。これはiQOSの300度、gloの240度に比べて低く、これによって特有のにおいを抑えたという。

吸いごたえや加熱方式が異なる3製品をそろえる意味

JTは新製品投入後も既存製品の取り扱いを継続する。つまり、プルーム・テックのラインアップは3種類となる。iQOSも複数の製品があるが、こちらは機能の違いによって3種類に分けられており、プルーム・テックはそれに対して、吸いごたえや加熱方式によって異なる製品を用意したかっこうだ。

3つの製品を投入することで、選択肢を提供する

岩井副社長は「温度で選ぶ時代」と表現し、低温のプルーム・テック/プルーム・テック・プラスと、高温のプルーム・エスという選択肢によって「好みや生活環境、ライフステージの変化に合わせて、いつでも最適な選択ができる」ことを狙ったとしている。

たばこ事業本部長の岩井睦雄副社長

たばこ部分に互換性がないという問題はありそうだが、現在でも、においの少なさを重視して自宅ではプルーム・テックを吸いつつ、味わいを求めて喫煙所では高温加熱式の加熱式たばこ、と双方を使い分けている人が少なくない。そうしたユーザーに対して、「それぞれで求められるニーズを高いレベルで満たし、両方を提供するのが顧客満足度の最大化に繋がる」(岩井副社長)と判断し、製品開発に取り組んだ。

加熱式たばこ最大市場の日本から、海外市場を見据える

岩井副社長は新製品でiQOSからシェアを奪取し、「中長期的にはRRPカテゴリでもシェアナンバーワンを目指す」と意気込みを語る。

「RRP」とは「リスク低減製品」のこと。「喫煙にともなう健康へのリスクを低減させる可能性がある」と位置づけられる製品だ。

日本では法律上、液体にニコチンを含ませて販売することはできない。電子たばこは、このニコチンを含む液体を蒸気化させるため日本で販売できず、結果、加熱式たばこが普及したという背景もある。加熱式たばこの市場規模では日本が世界最大だが、iQOSが韓国や欧州の一部で販売を強化しており、グローバルでの市場拡大を狙っている。

JTは海外ではlogicブランドで電子たばこを販売している。海外での電子たばこ事業はありつつも、まずは製品の国内ラインナップを拡大して加熱式たばこのシェア拡大を図るとともに、紙巻きたばこを含むすべての製品の価値を向上させることで、市場の拡大に繋げたい考えだ。「日本での成功がグローバルでの成功につながる」と岩井副社長は強調する。

紙巻きたばことRRP製品の双方を拡充する
日本では加熱式、海外では電子たばこを提供中

紙巻きからの移行、数年以内に大きな山場

2018年は加熱式たばこが踊り場を迎えたと言われた。日本ではここ数年で急激に加熱式たばこの普及が進んだが、市場シェアが20%を越えたところでユーザー需要は一巡したとみられる。

ただ、プルーム・テックの全国販売の開始や、他社では直近のiQOSの新モデル投入などを経て、その動向から、需要の伸びは「足踏みしていたが、止まったわけではない」(岩井副社長)との認識にあるという。加えて、紙巻きたばこによる健康懸念の高まりや、オリンピックによる喫煙場所の規制といった外的要因もあり、「必ずシガレット(紙巻きたばこ)からRRPに移ってくる」(同)という見通しだ。

課題は、紙巻きたばことは異なり、デバイスを購入しなければならないというハードルの高さだ。一度購入した後、他社のデバイスへ移行しづらいという難題につながる。

他社の後追いとなった高温加熱式では、「差別化のポイントをしっかりと伝えていく」ことで買い替えを促進する。JTが主導する低温加熱式では、「若干下方修正したが、手応えも感じている」と岩井副社長は説明する。今後は製品の良さをアピールするために、喫煙者に直接説明をする営業スタイルを重視していく方針をとるそうだ。

JTは日本市場で紙巻き、加熱式のいずれでもシェアトップを目指す

JTは1社で複数の選択肢の製品を用意することで、消費者のニーズの受け皿を最大化しようと目論んでいる。この先にグローバルで展開する上で、ユーザーからどのような示唆が得られるのかを検証していき、海外での加熱式たばこの市場拡大にも乗り出していきたいと考えているようだ。

加熱式たばこは間もなく、国内市場シェアだけでなく、海外市場の争奪戦の行方も左右する正念場を迎える。

メルカリ出し抜くラクマ、売上金の「楽天キャッシュ」チャージ額が5億円を突破

メルカリ出し抜くラクマ、売上金の「楽天キャッシュ」チャージ額が5億円を突破

2019.01.22

ラクマ売上金の「楽天キャッシュ」チャージ額が累計5億円に

同様のサービスを構想しているメルカリを先行する形に

楽天は1月21日、フリマアプリ「ラクマ」において、取引で発生した売上金のうちオンライン電子マネー「楽天キャッシュ」へチャージした累計額が2018年12月末に5億円を突破したと発表した。

ラクマでの売上金を楽天キャッシュへチャージする機能は、2018年7月より提供開始されている。チャージした電子マネーは、楽天会員向けのグループ各種サービスで利用できるほか、ローソンやファミリーマートなど「楽天ペイ」対応店舗での決済でも利用可能だ。

2017年8月1日から開始されたローソンでの支払いに続いて、2018年12月4日からはファミリーマートでも楽天ペイが使用できるようになった

同じくフリマアプリを展開するメルカリは、100%子会社の「メルペイ」で同様のサービスを構想している段階であり、この分野においてはラクマが1歩先行する形になった。

現状、メルカリで得た売上金をメルカリ以外で使う場合は、一度口座に振り込む必要がある。また、売上金には180日という「振込申請期間」が設定されており、その期間中に「口座に振り込む」か、メルカリ内で使える「ポイントを購入」するか、選ばなければならない。ただし振込の場合、1万円未満だと210円の手数料が発生する(2018年1月21日時点)。ラクマの売上金チャージ機能と比較すると、どうしても見劣りしてしまうだろう。

ちなみに筆者もメルカリユーザー。現状、売上金が合計1万円に満たないため、振込手数料を発生させずに現金に換えるためには、あと1540円分の売り上げが必要になる (画像はメルカリアプリより)

しかし、少し古いデータではあるが、2018年5月31日のニールセン デジタルの発表によると、スマートフォンからの利用率の高いオークション/フリマサービスは、1位がYahoo! オークションで25%、2位がメルカリで23%、3位がラクマで11%であることがわかっており、同じフリマサービスであっても、ラクマの利用率はメルカリの半分であるのが現状だ。

メルカリのダウンロード数は2018年11月14日時点で7500万、ラクマが同年10月時点で1500万と、両サービスの普及率にも差があることからも、日本におけるフリマ市場のバランスがすぐにひっくり返ることはないだろう。

だが、ラクマが売上金をさまざまなサービスに使えるという実用性で、メルカリとの新たな差別化ポイントを生み出したことは、新規ユーザーの獲得に少なからず貢献しそうだ。

ラクマ売上金のチャージ額が5億円突破したことは、ユーザーの「アプリ内の売上金を別の場所で使いたい」というニーズの強さの証明ともいえよう。こうしたユーザー視点に立った機能の追加による消費体験の向上が、フリマ市場にどのような影響をもたらすのか、キャッシュレス決済市場への参入が期待される、メルカリの動向と合わせて注目したい。

(追記:1/22 19:15)

メルカリは1月22日、2月1日よりフリマサービスの売上等の管理をメルペイに移管すると告知した。

メルカリアプリ内での告知

これによって、従来メルカリが行っていた売上金の受領・管理、後払いサービス「月イチ払い」の提供、メルカリポイントの発行・管理などをメルペイが代わりに行うことになる。

メルペイのサービス開始時期については不明だが、メルカリの流通額は1日10億円を突破(2017年2月1日時点)していることから、その内の何割かがスマホ決済に充てられる可能性を考えると、PayPayやLINE Payなどの既存のスマホ決済サービスを脅かす存在になりそうだ。