アップル、グーグル強し! この2社のブランド力を脅かす企業は現れるか?

アップル、グーグル強し! この2社のブランド力を脅かす企業は現れるか?

2017.09.26

都内で開かれた「Best Global Brands 2017」の発表会

世界最大のブランディング会社、インターブランドが、グローバルにおけるブランド価値評価ランキング「Best Global Brands 2017」を発表した。それによると、ブランド力1位はアップル、2位はグーグルで、このワンツーフィニッシュは5年連続となる。

このランキングは、インターブランドが財務力、ブランドが購買意志決定に与える影響力、ブランドによる将来の利益の確実性などから各企業を分析・評価。その結果からランキングするもので、今年で18回目の発表となる。

AIテクノロジーがブランド価値を高める

1位に輝いたアップルのブランド価値は、前年比3%増の1,842億ドルとなった。“世界を変える製品を開発する”という姿勢を堅持し、米国内の先端製造技術へ10億ドルもの投資を発表しながら、「Siri」「AI」「自律システム」などへの投資を進めるといった姿勢が評価された。

2位のグーグルのブランド価値は、前年比6%増の1,417億ドル。幅広いセグメントにおいて柔軟に対応していることが評価された。インターブランドでは「Google Home」や「AlPhaGO」といった、AIテクノロジーをその象徴と位置づけた。また「Android」「Chrome」といった既存プラットフォームの強さも評価された。

3位にランクインしたのはマイクロソフトで、ブランド価値は前年比10%増の800億ドルとなった。クラウドへの変換が功を奏したこと、そうした戦略を強く打ち出したサティア・ナデラ CEOへの社内での信頼が高まっていることもポイントとした。なお、マイクロソフトは前年4位からのトップ3入りだ。

以下、20位まで表にしたので確認してほしい(ブランド価値の億ドル未満はすべて切り上げ)。また、次項では、ランクインしたブランドロゴの写真を掲載、さらに急激にブランド力を伸ばしたブランドにスポットライトを当てる。

2017年順位 2016年順位 ブランド名 ブランド価値(億ドル)
1 1 アップル 1,842
2 2 グーグル 1,418
3 4 マイクロソフト 800
4 3 コカ・コーラ 698
5 8 アマゾン 648
6 7 サムスン 563
7 5 トヨタ 503
8 15 フェイスブック 482
9 9 メルセデス・ベンツ 479
10 6 IBM 469
11 10 GE 443
12 12 マクドナルド 416
13 11 BMW 416
14 13 ディズニー 408
15 14 インテル 395
16 16 シスコ 320
17 17 オラクル 275
18 18 ナイキ 271
19 19 ルイ・ヴィトン 230
20 21 ホンダ 227

上位20は、順位に多少のアップダウンがみられるが、総じて“常連”ともいえるブランドがランクインした。一方で、価値を大幅に上げたブランドもいくつかみられた。

トップ100入りしたブランドロゴ

急激に価値がアップした5ブランド

インターブランドが着目した急成長ブランドは以下の5つ。フェイスブック、アマゾン、アドビ、アディダス、スターバックスの5ブランドだ。

価値の上がったブランドについて解説するインターブランドジャパン 代表取締役社長 兼 CEO 並木将仁氏

まずフェイスブックのブランド価値だが、前年比48%増の482億ドルとなり、8位につけた。プレイヤーが乱立するSNS市場において、「コネクティビティ」「人工知能」「VR」という3つの戦略分野を発表。長期的な競争優位の源泉を定義したことがブランド価値向上につながったとする。また、「Facebook Stories」といった新機能のように、ユーザーニーズに応え続けた姿勢が評価された。

続いてはアマゾン。ブランド価値は前年比29%増の648億ドルで、トップ5にくい込んだ。「Amazon Prime」のほか、実店舗販売や流通革命といった面で成長戦略を展開。プライベートファッションブランドを立ち上げるなど、ユーザーに新しいブランド体験を提供したのが評価された。

56位にランクインしたアドビのブランド価値は、前年比19%増の90億ドル。デジタルマーケティングのイノベーションへの参加、コンテンツ、データ分析、広告などへの投資がブランド価値向上の理由だという。

アディダスのブランド価値は前年比17%増で92億ドル、順位は55位となった。2020年までのブランド戦略に「Speed」「Key Cities」「Open Source」の3方針を据え、流行の取り込み、市場性の高い都市への注力が功を奏した。

60位にランクインしたスターバックスのブランド価値は、前年比16%増の87億ドル。新CEOのケビン・ジョンソンは顧客体験の向上にフォーカス。新スタイルの店舗や若年層をターゲットにしたドリンクなどで、顧客とブランドの接点を広げた。

また、新たにトップ100にランクインしたブランドが3つある。78位のネットフリックス、84位のセールスフォース・ドットコム、88位のフェラーリだ。フェラーリは2003年以来の返り咲きとなる。となれば、この3ブランドに押し出されたものもある。MTV、ラルフローレン、ゼロックスの3ブランドだ。

では、日本のブランドはどうだろうか。トップ100にランクインしたのは6ブランド。トヨタ、ホンダ、日産、キヤノン、ソニー、パナソニックだ。

日本ブランドで唯一トップ10入りしたトヨタ(写真はイメージ)

トヨタのブランド価値は前年比マイナス6%の503億ドル。日本勢で唯一、トップ10入りの7位となった。ブランド価値はマイナスとなったが、これは北米での販売台数伸び悩みや円高、研究開発のための設備投資などにより、財務状況が低下したことが要因。とはいえ、ブランド価値そのものは低下しておらず、次世代環境車などへの期待は大きい。なによりも、自動車業界でナンバーワンのブランド価値を維持しているのが大きなアドバンテージだ。

ホンダのブランド価値は前年比3%増の227億ドル。SUVや新型シビックが好調で、北米や中国での存在感を強めている。エアバックのリコール問題で騒がれたホンダブランドだが、それが一段落して財務的なリスクが低減したことも、ブランド価値向上につながっている。

日産のブランド価値は前年比4%増の115億ドル。自動運転やEVといったテクノロジーにフォーカスし、競合との優位性の向上、差別化に成功した。ランキングとしては39位だが、日産の上位には、トヨタやホンダを含め7つの自動車ブランドがひしめいている。

コンシューマー向け製品の先行きが不透明なキヤノン

キヤノンのブランド価値は前年比マイナス12%となる98億ドルで、順位は52位。コンシューマー向け光学機器やプリンターの先行きに不透明感があることが大きな理由だ。今後、医療機器やネットワークカメラなど、BtoB領域でいかに存在感を高められるかがカギだ。

ソニーのブランド価値は前年比2%増で85億ドルの61位。事業構造改革に成功し財務体質が改善したこと、メディア事業でのソニー訴求がうまくいったことが挙げられる。一方、パナソニックのブランド価値はマイナス6%で60億ドル、75位となった。BtoB領域でパナソニックブランドが十分な財務成果につながっていないことが影響した。

今回、発表されたランキングではアップルとグーグルが5年連続の強さをみせたが、2000年代前半のランキングでは、アップルは50位前後、グーグルは2005年に初ランクインという状態だった。それが、2000年代後半になるとグイグイとランクアップし、2011年には両ブランドともトップテン入りを果たした。それを考えると、何かのイノベーション次第で、この2強の牙城を崩すブランドが現れるのは、十分に考えられる。

打倒iQOSに挑むプルーム・テックの戦い、世界市場も見据えたJTの新製品

打倒iQOSに挑むプルーム・テックの戦い、世界市場も見据えたJTの新製品

2019.01.22

低温加熱式のJTがライバルと直接競合する高温加熱式に参入

専用リフィルも異なる3種類の製品で広範に網を張るプルーム・テック

海外市場でも兆し見えた加熱式たばこ、日本での成功がより重要に

日本たばこ産業(JT)が加熱式たばこの新製品、「プルーム・テック・プラス (Ploom TECH+)」「プルーム・エス (Ploom S)」の2製品を発表した。シェアトップのiQOSを追撃したいJTだが、ライバルに先行を許している今、どのような戦略を描いているのか。

JTが発表した加熱式たばこの新製品、プルーム・テック・プラス(左)とプルーム・エス

新たに高温加熱式に参入、ライバルと直接競合へ

新製品は、従来のプルーム・テックを改良したプルーム・テック・プラスと、シェアを争う「iQOS」(フィリップ・モリス)や「glo」(BAT)と同様の加熱方式を採用したプルーム・エスの2つ。iQOSとgloが高温加熱式であるのに対し、もともとプルーム・テックは低温加熱式と呼ばれる方式をとっていた。30度という低温で発生させた蒸気をたばこカプセルを通して吸うため、においが少ない一方、吸いごたえに乏しいともいわれていた。

低温加熱式で吸いごたえを追加したプルーム・テック・プラスと、高温加熱式のシェア奪取を狙ったプルーム・エスを投入

そこで、たばこ葉を増やすなどして吸いごたえを高めたのがプルーム・テック・プラスだ。その結果、本体が太く大きくなり、加熱温度も40度と少しだけ高くなったが、においの少なさはそのままに、吸いごたえをアップさせたことをアピールする。

プルーム・エスは高温加熱式を採用し、iQOSやgloと同様の吸いごたえを目指した。こうした高温加熱式は、たばこ葉を高温で蒸すことで蒸気を発生させるため、従来のたばことも異なる独特のにおいを発生させる。

JT副社長・たばこ事業本部長の岩井睦雄氏は、この独特の「におい」のせいでたばこの味わいに違和感を覚える喫煙者が多かったと話す。そのため、「満足度を高めるのは味わい」として、このにおいの低減に取り組んだという。

プルーム・エスでは、たばこ葉を熱する温度を200度に抑えた。これはiQOSの300度、gloの240度に比べて低く、これによって特有のにおいを抑えたという。

吸いごたえや加熱方式が異なる3製品をそろえる意味

JTは新製品投入後も既存製品の取り扱いを継続する。つまり、プルーム・テックのラインアップは3種類となる。iQOSも複数の製品があるが、こちらは機能の違いによって3種類に分けられており、プルーム・テックはそれに対して、吸いごたえや加熱方式によって異なる製品を用意したかっこうだ。

3つの製品を投入することで、選択肢を提供する

岩井副社長は「温度で選ぶ時代」と表現し、低温のプルーム・テック/プルーム・テック・プラスと、高温のプルーム・エスという選択肢によって「好みや生活環境、ライフステージの変化に合わせて、いつでも最適な選択ができる」ことを狙ったとしている。

たばこ事業本部長の岩井睦雄副社長

たばこ部分に互換性がないという問題はありそうだが、現在でも、においの少なさを重視して自宅ではプルーム・テックを吸いつつ、味わいを求めて喫煙所では高温加熱式の加熱式たばこ、と双方を使い分けている人が少なくない。そうしたユーザーに対して、「それぞれで求められるニーズを高いレベルで満たし、両方を提供するのが顧客満足度の最大化に繋がる」(岩井副社長)と判断し、製品開発に取り組んだ。

加熱式たばこ最大市場の日本から、海外市場を見据える

岩井副社長は新製品でiQOSからシェアを奪取し、「中長期的にはRRPカテゴリでもシェアナンバーワンを目指す」と意気込みを語る。

「RRP」とは「リスク低減製品」のこと。「喫煙にともなう健康へのリスクを低減させる可能性がある」と位置づけられる製品だ。

日本では法律上、液体にニコチンを含ませて販売することはできない。電子たばこは、このニコチンを含む液体を蒸気化させるため日本で販売できず、結果、加熱式たばこが普及したという背景もある。加熱式たばこの市場規模では日本が世界最大だが、iQOSが韓国や欧州の一部で販売を強化しており、グローバルでの市場拡大を狙っている。

JTは海外ではlogicブランドで電子たばこを販売している。海外での電子たばこ事業はありつつも、まずは製品の国内ラインナップを拡大して加熱式たばこのシェア拡大を図るとともに、紙巻きたばこを含むすべての製品の価値を向上させることで、市場の拡大に繋げたい考えだ。「日本での成功がグローバルでの成功につながる」と岩井副社長は強調する。

紙巻きたばことRRP製品の双方を拡充する
日本では加熱式、海外では電子たばこを提供中

紙巻きからの移行、数年以内に大きな山場

2018年は加熱式たばこが踊り場を迎えたと言われた。日本ではここ数年で急激に加熱式たばこの普及が進んだが、市場シェアが20%を越えたところでユーザー需要は一巡したとみられる。

ただ、プルーム・テックの全国販売の開始や、他社では直近のiQOSの新モデル投入などを経て、その動向から、需要の伸びは「足踏みしていたが、止まったわけではない」(岩井副社長)との認識にあるという。加えて、紙巻きたばこによる健康懸念の高まりや、オリンピックによる喫煙場所の規制といった外的要因もあり、「必ずシガレット(紙巻きたばこ)からRRPに移ってくる」(同)という見通しだ。

課題は、紙巻きたばことは異なり、デバイスを購入しなければならないというハードルの高さだ。一度購入した後、他社のデバイスへ移行しづらいという難題につながる。

他社の後追いとなった高温加熱式では、「差別化のポイントをしっかりと伝えていく」ことで買い替えを促進する。JTが主導する低温加熱式では、「若干下方修正したが、手応えも感じている」と岩井副社長は説明する。今後は製品の良さをアピールするために、喫煙者に直接説明をする営業スタイルを重視していく方針をとるそうだ。

JTは日本市場で紙巻き、加熱式のいずれでもシェアトップを目指す

JTは1社で複数の選択肢の製品を用意することで、消費者のニーズの受け皿を最大化しようと目論んでいる。この先にグローバルで展開する上で、ユーザーからどのような示唆が得られるのかを検証していき、海外での加熱式たばこの市場拡大にも乗り出していきたいと考えているようだ。

加熱式たばこは間もなく、国内市場シェアだけでなく、海外市場の争奪戦の行方も左右する正念場を迎える。

大手コンビニ3社、成人誌の販売中止を相次ぎ決定

大手コンビニ3社、成人誌の販売中止を相次ぎ決定

2019.01.22

セブン、ローソンに続きファミマも成人誌を販売中止

インバウンドの増加、オリンピックの開催も影響か

コンビニ最大手のセブン-イレブンと業界3位のローソンが成人向け雑誌の販売中止を発表したのに続き、業界2位のファミリーマートも同様の方針を打ち出した。大手3社の足並みがそろい、日本国内のほとんどのコンビニ店頭から成人誌が消える。

国内のセブン-イレブン店舗数は2万店を超え、ローソンとファミマが1万5,000店前後でこれに続く。それぞれ今年の8月末までに取り扱いを原則中止するという。これまで一部店舗で成人誌の販売を中止していた例はあったが、今回は各社全店舗で取り扱いを中止する。業界では昨年1月から、ミニストップが他社に先駆けて全店で取り扱いを中止していた。

もともと諸外国にくらべ、女性や子どもの目につきやすいコンビニ店頭などに成人誌が置かれている日本のゾーニングの現状は特殊であるとの批判があった。また、インバウンドで訪日外国人が増え、この論調に拍車がかかっていたほか、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控え、イメージ低下を防ぐ要請が強まっていたという背景がある。

コンビニでの成人誌の購買層は近年、高齢男性に偏るとともに売り上げの減少も顕著であったといい、ゾーニングの問題が取り扱い中止の大義名分になったという見方もある。ある出版関係者は、「一部では電子版などネット展開を強化している流れはあるが、今でもコンビニは重要な販路なので、相当な混乱があるだろう」と話す。どちらにせよ、日本の成人誌は岐路に立たされることになる。