拡大するオンライン動画市場、Crevoが目指す「デファクトスタンダード」

拡大するオンライン動画市場、Crevoが目指す「デファクトスタンダード」

2017.09.27

動画制作の受託業務などを行うCrevoが今月から、動画制作プラットフォーム「Collet」をオープン化する。Colletは、Crevoが自社で動画制作する際に利用していた制作進行管理ツール。制作進行管理にあわせて、「ジョブボード」と呼ばれるクリエイターとのマッチング機能も用意することで、発注から動画のファイル共有、修正依頼など、一気通貫で動画制作のオンライン操作が可能になる。

同社の利用実績ベースでは実に制作関連業務にかかる時間が1/5程度にまで圧縮できたという。これまで自社の制作管理にColletを利用していたものの、クリエイターやクライアントからも好評だったことから、社外への開放を決めた。当初は30社の限定公開(クローズドβ版)で、利用料は月額のサブスクリプション契約となる。

またサービスリリースと同時に、伊藤忠テクノロジーベンチャーズなど4社から総額3.1億円の第三者割当増資を実施している。動画制作市場の見通しや同社の戦略など、Crevo 代表取締役の柴田 憲佑氏に話を聞いた。

クリエイティブな動画を誰もが広告に使える時代へ

視聴率の低下などからテレビ動画制作のニーズが伸び悩む一方で、オンライン動画広告市場はスケールし続けている。オンラインビデオ総研/デジタルインファクトの調査によれば、同市場は2016年に842億円であったものが、2022年には2918億円まで拡大する見込みだ。また、Crevoの調査では動画制作市場全体の市場規模がおよそ5000億円であり、テレビCMが1/3、そしてオンライン動画オンライン動画も同等にまで成長する見込みだという。

その一方で、動画制作会社の多くは「自社にクリエイターを抱えており、安定的な動画制作ができる反面、自社人材に閉じてしまうため作り上げる動画表現に限りがある」(柴田氏)。方やCrevoは、約100カ国、3000名のクリエイターが登録しており、「およそ半数が海外のクリエイター」と柴田氏は語る。

「創業当時から『日本を元気にしていきたい』という想いがあるが、その一つに『世界中の人材をどう有効活用していくか』に取り組みたいと考えていた。Colletは当初、国内クリエイター限定だが、将来的には自社受注以外の海外リソースとのマッチングも検討していきたい」(柴田氏)

ジョブボードでは、フリーランスなどのクリエイターを直接、過去の作品データベースなどを閲覧しながら探すこともできる

もちろん、高品質な動画制作には一定のコストがかかる。Web動画コンテンツが多い同社の制作実績ベースでも、安価なもので数十万円、高いもので数百万円となる。ただ柴田氏は、「(Colletで)オペレーションコストを低減すれば、高品質な動画の低価格化、大量制作が可能になる」と自信を見せる。

700社のクライアント実績は大手企業が数多く並ぶが、柴田氏は広告・宣伝費による動画制作ではなく事業部の予算による動画制作が多いと話す。つまり大企業であっても、事業部予算で投下できるコストは限られるため、より中小規模の企業における予算感に近い。そこに動画市場の裾野が拡大する下地があると柴田氏は読む。

「漫画の動画化からブランディング、イベント動画など、限られた予算で高品質な動画を提供してきた。通信環境の変化やデバイスの進化によって、スマートフォンからサイネージまで、さまざまなシーンで動画が求められるようになった。大手プロダクションのハイエンドな動画コンテンツに対して、私たちはミドルレンジの動画を広くカバーできると考えている」(柴田氏)

これまではキャプチャしたシーンに赤入れしていたが、Colletでは動画自体に赤入れできるため、認識の齟齬が起きづらく、なおかつクラウドサービスのメリットを活かした制作スピードの向上が期待できる
ジョブボードはクリエイターが掲載案件に対して応募することも可能。登録クリエイターの競争によって、コストとクオリティをリバランスできる

当初はWeb広告代理店を中心にサービスを広げ、2018年度までに150社程度の契約を目指す。現時点ではWeb版のみで、ディレクターなどが撮影現場などで使いやすいアプリ版の開発などが現状の課題だという。また柴田氏は今後、ジョブボードにおけるクリエイターとのマッチング強化を進め、登録ユーザーの過去作品の見える化、AIによる依頼内容とクリエイターのレコメンデーションを実装したいと話す。

「Webの動画市場は、Webサイト構築の世界が辿ってきた道と似ていると思う。2003年頃に開発会社が乱立し、その後2010年頃にWordpressやDreamweaverなどの制作ツールによって市場環境が整った。ここまで簡単にWebサイトが作れるようになったように、フレームワークが整えば動画制作でも同じことが起こりうると感じている。その市場を、制作管理というポイントでデファクトスタンダードになりたい」(柴田氏)

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

NewsInsightは、諸般の事情により記事更新を終了いたします。

ご愛顧いただいた読者の皆様、また関係者の皆様に、編集部一同、誠に感謝いたします。

なお、NewsInsightに掲載中の記事につきましては、引き続きマイナビニュース(https://news.mynavi.jp)へと掲載場所を移管いたします。

掲載中の連載記事につきましても同様に、マイナビニュースへ移管いたします。各連載記事の新しい掲載URLにつきましては、以下となります。

○安東弘樹のクルマ向上委員会!
https://news.mynavi.jp/series/andy

○森口将之のカーデザイン解体新書
https://news.mynavi.jp/series/cardesign

○清水和夫の自動運転ソシオロジー
https://news.mynavi.jp/series/autonomous_car

○ゲームとともに振り返る“平成”という時代
https://news.mynavi.jp/series/game_heisei

○岡安学の「eスポーツ観戦記」
https://news.mynavi.jp/series/e-Sports_review

○企業戦士に贈る「こむぎのことば」
https://news.mynavi.jp/series/komuginokotoba

○藤田朋宏の必殺仕分け人
https://news.mynavi.jp/series/shiwakenin

○「食べる」をつくる科学と心理
https://news.mynavi.jp/series/food_science

○阿久津良和のITビジネス超前線
https://news.mynavi.jp/series/itbiz

○山下洋一のfilm@11
https://news.mynavi.jp/series/filmat11

○モノのデザイン
https://news.mynavi.jp/series/designofthings

○知って納得、ケータイ業界の"なぜ"
https://news.mynavi.jp/series/mobile_business

○文具ソムリエール・菅未里の「新しいコンパス」
https://news.mynavi.jp/series/bungu

○活字・写植・フォントのデザインの歴史 - 書体設計士・橋本和夫に聞く
https://news.mynavi.jp/series/font-history

○カレー沢薫の時流漂流
https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu

最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu