JALとハワイアン航空が提携、そのウラに見えるANAの「A380」

JALとハワイアン航空が提携、そのウラに見えるANAの「A380」

2017.09.28

年間150万人の日本人が利用する航空機のハワイ路線で、競争が激化しそうだ。日本航空(JAL)とハワイアン航空は9月26日、包括的業務提携を発表。2018年3月よりコードシェア便の運航やマイレージプログラムの連携を始めることを明らかにした。

日本航空(JAL)とハワイアン航空が包括的業務提携を発表。ハワイアンはANAからJALに"乗り換え"

背景には、全日本空輸(ANA)が2019年春に導入予定の超大型機「A380」への対抗という狙いがある。ハワイアンが提携先をANAからJALへと切り替えたことで、勢力図はどう変わるのだろうか。

ハワイへの旅行客を巡る航空会社間の競争が激化している

JALを代表するハワイ線で提携、新たなスタート

記者会見には、日本航空から代表取締役社長の植木 義晴氏、ハワイアン航空からも代表取締役社長兼CEOのマーク・ダンカリー氏が登壇。JALが開設して63年目になるというハワイ線について、植木氏は「JALを代表する路線。ハワイアン航空との提携により、新たなスタートを切る」と宣言した。

日本航空 代表取締役社長の植木 義晴氏
ハワイアン航空 代表取締役社長兼CEOのマーク・ダンカリー氏

具体的には、日本=ハワイ間の路線である成田、羽田、関西、新千歳、中部からのホノルル、コナ直行便のほか、それぞれの便から乗り継ぎ可能な日本国内線、ハワイ州内路線について、両社の便名を付与するコードシェアを開始する。両社のラウンジの相互利用やマイレージの積算、特典航空券の利用も可能にする。成田空港ではターミナルが分かれる両社だが、JALと同じ第2ターミナルにハワイアン航空が移転する見込みだ。

旅行商品としてはJALが販売する海外ツアー「JALPAK」でも、ハワイアン航空便を利用した商品を強化。今後は日米両国で独占禁止法適用除外(ATI)を申請し、アジア路線にもジョイント・ベンチャー(共同事業)を拡大していく構えだ。

ハワイアン航空について植木氏は、「88年の歴史を誇る航空会社。昨日もダンカリー社長と食事したが、ハワイアンは米国で13年間も定時到着率がトップ、JALも米FlightStats社の調査で5回トップになるなど、航空会社のCEOとして目指すところが似ている」と興奮気味に語った。

一方、ハワイアン航空は2010年に羽田=ホノルル便を就航。現在では東京から1日3便、大阪から1日1便、札幌から週3便を運航する。CEOのダンカリー氏もJALとの提携を歓迎し、「JALとハワイアンは多くの点でパートナーだ。搭乗した瞬間からバケーションの始まりを感じていただけるよう、温かいハワイのおもてなし精神を大事にしている」と語った。

こうして提携を発表した両社だが、実は以前にも提携の話があったことを植木氏は明かす。2010年、日本に就航したハワイアン航空が最初に声をかけたのがJALだったという。だが、折しもJALは2010年1月に会社更生法の適用を申請、経営破綻の渦中にあったことで提携を断念。ハワイアンは2012年からANAと提携するに至った。

2010年にはJALの経営破綻により流れた提携話が改めて実を結んだ

それではなぜ、ハワイアンは改めてJALと提携するのか。その理由としてダンカリー氏は、ANAが加盟するスターアライアンスのパートナーであるユナイテッド航空の存在を挙げ、「ANAはユナイテッドとの共同事業があり、ハワイアンは思うほど近づけなかった」と振り返る。

JALもワンワールドに加盟しており、アメリカン航空と共同事業を展開している。しかし日本=ハワイ路線においてはパートナーシップがない。既存のアライアンスには加盟していないハワイアンとしては、ハワイ路線でJALと組める状況、ひいては高い競争力に繋がるという判断を下したわけだ。なお、ANAと航空の提携は、2018年3月に解消する予定となっている。

こうして提携に至ったJAL・ハワイアン連合だが、当面はそのANAへの対抗が課題となる。ANAは2019年春に、総2階建ての超大型機「A380」を東京=ホノルル線へ3機投入する。座席数は500席以上で、ファーストクラスも設定する。ウミガメの特別塗装も公募で決めた。

A380の導入は日本の航空会社として初めてで、「ハワイ旅行でA380に乗ってみたい」という旅行客へのアピール効果は絶大だろう。直接的な対抗について、両社は「A380を購入する検討はまったくしていない」(植木氏)、「次世代ワイドボディも検討しているが、A330が最適な機体だと考えている」(ダンカリー氏)と否定する。

JAL・ハワイアン航空ともにA380の導入は明確に否定した

輸送力そのものは、両社の合算で座席数が上回るとみられるほか、機材の優位性についても「日本=ハワイ間の1日7便すべてを、SKY SUITE仕様の機材で運航する。年末年始には成田=ホノルル便にファーストクラスもあるフラグシップの777-300ERを投入する」(植木氏)、「すべての路線にA330-200を配備した。フルフラットは18席、エクストラ・コンフォート席も多数ある。機内食は有名シェフとコラボした」(ダンカリー氏)と強調する。

日本だけでなくアジア路線を含めた共同事業も検討する

今後は日本=ハワイ間だけでなく、その先にJALとハワイアン航空が見据える、アジア=ハワイ間での共同事業との相乗効果にも注目したい。

打倒iQOSに挑むプルーム・テックの戦い、世界市場も見据えたJTの新製品

打倒iQOSに挑むプルーム・テックの戦い、世界市場も見据えたJTの新製品

2019.01.22

低温加熱式のJTがライバルと直接競合する高温加熱式に参入

専用リフィルも異なる3種類の製品で広範に網を張るプルーム・テック

海外市場でも兆し見えた加熱式たばこ、日本での成功がより重要に

日本たばこ産業(JT)が加熱式たばこの新製品、「プルーム・テック・プラス (Ploom TECH+)」「プルーム・エス (Ploom S)」の2製品を発表した。シェアトップのiQOSを追撃したいJTだが、ライバルに先行を許している今、どのような戦略を描いているのか。

JTが発表した加熱式たばこの新製品、プルーム・テック・プラス(左)とプルーム・エス

新たに高温加熱式に参入、ライバルと直接競合へ

新製品は、従来のプルーム・テックを改良したプルーム・テック・プラスと、シェアを争う「iQOS」(フィリップ・モリス)や「glo」(BAT)と同様の加熱方式を採用したプルーム・エスの2つ。iQOSとgloが高温加熱式であるのに対し、もともとプルーム・テックは低温加熱式と呼ばれる方式をとっていた。30度という低温で発生させた蒸気をたばこカプセルを通して吸うため、においが少ない一方、吸いごたえに乏しいともいわれていた。

低温加熱式で吸いごたえを追加したプルーム・テック・プラスと、高温加熱式のシェア奪取を狙ったプルーム・エスを投入

そこで、たばこ葉を増やすなどして吸いごたえを高めたのがプルーム・テック・プラスだ。その結果、本体が太く大きくなり、加熱温度も40度と少しだけ高くなったが、においの少なさはそのままに、吸いごたえをアップさせたことをアピールする。

プルーム・エスは高温加熱式を採用し、iQOSやgloと同様の吸いごたえを目指した。こうした高温加熱式は、たばこ葉を高温で蒸すことで蒸気を発生させるため、従来のたばことも異なる独特のにおいを発生させる。

JT副社長・たばこ事業本部長の岩井睦雄氏は、この独特の「におい」のせいでたばこの味わいに違和感を覚える喫煙者が多かったと話す。そのため、「満足度を高めるのは味わい」として、このにおいの低減に取り組んだという。

プルーム・エスでは、たばこ葉を熱する温度を200度に抑えた。これはiQOSの300度、gloの240度に比べて低く、これによって特有のにおいを抑えたという。

吸いごたえや加熱方式が異なる3製品をそろえる意味

JTは新製品投入後も既存製品の取り扱いを継続する。つまり、プルーム・テックのラインアップは3種類となる。iQOSも複数の製品があるが、こちらは機能の違いによって3種類に分けられており、プルーム・テックはそれに対して、吸いごたえや加熱方式によって異なる製品を用意したかっこうだ。

3つの製品を投入することで、選択肢を提供する

岩井副社長は「温度で選ぶ時代」と表現し、低温のプルーム・テック/プルーム・テック・プラスと、高温のプルーム・エスという選択肢によって「好みや生活環境、ライフステージの変化に合わせて、いつでも最適な選択ができる」ことを狙ったとしている。

たばこ事業本部長の岩井睦雄副社長

たばこ部分に互換性がないという問題はありそうだが、現在でも、においの少なさを重視して自宅ではプルーム・テックを吸いつつ、味わいを求めて喫煙所では高温加熱式の加熱式たばこ、と双方を使い分けている人が少なくない。そうしたユーザーに対して、「それぞれで求められるニーズを高いレベルで満たし、両方を提供するのが顧客満足度の最大化に繋がる」(岩井副社長)と判断し、製品開発に取り組んだ。

加熱式たばこ最大市場の日本から、海外市場を見据える

岩井副社長は新製品でiQOSからシェアを奪取し、「中長期的にはRRPカテゴリでもシェアナンバーワンを目指す」と意気込みを語る。

「RRP」とは「リスク低減製品」のこと。「喫煙にともなう健康へのリスクを低減させる可能性がある」と位置づけられる製品だ。

日本では法律上、液体にニコチンを含ませて販売することはできない。電子たばこは、このニコチンを含む液体を蒸気化させるため日本で販売できず、結果、加熱式たばこが普及したという背景もある。加熱式たばこの市場規模では日本が世界最大だが、iQOSが韓国や欧州の一部で販売を強化しており、グローバルでの市場拡大を狙っている。

JTは海外ではlogicブランドで電子たばこを販売している。海外での電子たばこ事業はありつつも、まずは製品の国内ラインナップを拡大して加熱式たばこのシェア拡大を図るとともに、紙巻きたばこを含むすべての製品の価値を向上させることで、市場の拡大に繋げたい考えだ。「日本での成功がグローバルでの成功につながる」と岩井副社長は強調する。

紙巻きたばことRRP製品の双方を拡充する
日本では加熱式、海外では電子たばこを提供中

紙巻きからの移行、数年以内に大きな山場

2018年は加熱式たばこが踊り場を迎えたと言われた。日本ではここ数年で急激に加熱式たばこの普及が進んだが、市場シェアが20%を越えたところでユーザー需要は一巡したとみられる。

ただ、プルーム・テックの全国販売の開始や、他社では直近のiQOSの新モデル投入などを経て、その動向から、需要の伸びは「足踏みしていたが、止まったわけではない」(岩井副社長)との認識にあるという。加えて、紙巻きたばこによる健康懸念の高まりや、オリンピックによる喫煙場所の規制といった外的要因もあり、「必ずシガレット(紙巻きたばこ)からRRPに移ってくる」(同)という見通しだ。

課題は、紙巻きたばことは異なり、デバイスを購入しなければならないというハードルの高さだ。一度購入した後、他社のデバイスへ移行しづらいという難題につながる。

他社の後追いとなった高温加熱式では、「差別化のポイントをしっかりと伝えていく」ことで買い替えを促進する。JTが主導する低温加熱式では、「若干下方修正したが、手応えも感じている」と岩井副社長は説明する。今後は製品の良さをアピールするために、喫煙者に直接説明をする営業スタイルを重視していく方針をとるそうだ。

JTは日本市場で紙巻き、加熱式のいずれでもシェアトップを目指す

JTは1社で複数の選択肢の製品を用意することで、消費者のニーズの受け皿を最大化しようと目論んでいる。この先にグローバルで展開する上で、ユーザーからどのような示唆が得られるのかを検証していき、海外での加熱式たばこの市場拡大にも乗り出していきたいと考えているようだ。

加熱式たばこは間もなく、国内市場シェアだけでなく、海外市場の争奪戦の行方も左右する正念場を迎える。

大手コンビニ3社、成人誌の販売中止を相次ぎ決定

大手コンビニ3社、成人誌の販売中止を相次ぎ決定

2019.01.22

セブン、ローソンに続きファミマも成人誌を販売中止

インバウンドの増加、オリンピックの開催も影響か

コンビニ最大手のセブン-イレブンと業界3位のローソンが成人向け雑誌の販売中止を発表したのに続き、業界2位のファミリーマートも同様の方針を打ち出した。大手3社の足並みがそろい、日本国内のほとんどのコンビニ店頭から成人誌が消える。

国内のセブン-イレブン店舗数は2万店を超え、ローソンとファミマが1万5,000店前後でこれに続く。それぞれ今年の8月末までに取り扱いを原則中止するという。これまで一部店舗で成人誌の販売を中止していた例はあったが、今回は各社全店舗で取り扱いを中止する。業界では昨年1月から、ミニストップが他社に先駆けて全店で取り扱いを中止していた。

もともと諸外国にくらべ、女性や子どもの目につきやすいコンビニ店頭などに成人誌が置かれている日本のゾーニングの現状は特殊であるとの批判があった。また、インバウンドで訪日外国人が増え、この論調に拍車がかかっていたほか、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控え、イメージ低下を防ぐ要請が強まっていたという背景がある。

コンビニでの成人誌の購買層は近年、高齢男性に偏るとともに売り上げの減少も顕著であったといい、ゾーニングの問題が取り扱い中止の大義名分になったという見方もある。ある出版関係者は、「一部では電子版などネット展開を強化している流れはあるが、今でもコンビニは重要な販路なので、相当な混乱があるだろう」と話す。どちらにせよ、日本の成人誌は岐路に立たされることになる。