「FULL ACTIVE」で再生の道へ、ジャパンディスプレイが新体制を発表

「FULL ACTIVE」で再生の道へ、ジャパンディスプレイが新体制を発表

2017.09.28

経営再建中のジャパンディスプレイ(JDI)は、「第二の創業」と位置づけた構造改革における新たな組織体制を発表。また、戦略的製品のスマートフォン向け液晶ディスプレイ「FULL ACTIVE」を報道陣に公開した。

2017年度に構造改革をやり終え、企業体質を"稼げる筋肉質"に変える方針を示しているJDI。2018年~2019年度には、FULL ACTIVEと車載を柱とした収益構造を確立し、有機ELは2019年度には量産する予定だ。有機ELのリーディングカンパニーを目指すだけでなく、2019年度に営業利益400億円以上、営業利益率5%、フリーキャッシュフローで300億円以上を目指す。

(左から)ジャパンディスプレイ 上席執行役員 モバイルカンパニー社長の永岡 一孝氏、ジャパンディスプレイ 代表取締役会長兼CEOの東入來 信博氏、ジャパンディスプレイ 執行役員 チーフマーケティングオフィサーの伊藤 嘉明氏

アクア前社長の伊藤氏が参画

今回の発表では、「カンパニー制の導入」と「マーケティング&イノベーション担当」の新設を明らかにした。カンパニー制では10月1日より、属性が異なる顧客をカテゴリー分けするとともに、権限を大幅に委譲。収益責任の明確化を図るとともに、意志決定を迅速にすることで経営のスピード化を目指す。

具体的には、2400人で構成するモバイルカンパニー、車載インダストリカンパニー、ディスプレイソリューションズカンパニーの3カンパニー体制としたほか、COO(業務執行役員)直下にOLED事業開発統括部を設置。蒸着方式の有機ELパネルの事業を展開し、将来的にはモバイルカンパニーに組み込む構想だ。

「5000人いる会社であり、新たな体制に移行するには、時間がかかる。ひとつのコーポレート、3つのカンパニーに再編するとともに、420のポジションを280に削減し、組織のスリム化を行う」(ジャパン ディスプレイ 代表取締役会長 兼 CEO 東入來 信博氏)

マーケティング&イノベーション担当の新設では、チーフマーケティングオフィサー(CMO)を新設。三洋電機の冷蔵庫事業や洗濯機事業が中心となって中国ハイアール傘下で設立された「アクア」の前社長である伊藤 嘉明氏が、10月1日付けで就任する。

伊藤氏は、「第二の創業を担うスピード改革、モノづくりだけではないコトづくり、顔が見える企業コミュニケーションの3つが私の役割である」とし、「第二の創業で掲げた『破壊と創造』のうち、創造を受け持つことになる」と語る。

また、「モノづくりに留まらず、コトづくりが、JDIのこれからの新たな方向性となる」と語り、これまでは部品として作ったモノを完成品として納めてきたが、「コト」による新たなビジネスモデルに転換することを目指す。

ただ、「部品で完成品メーカーに納めるのは、シーズベースであり、ニーズベースだが、これからはウォンツベースで『何かできないのか』を考えていく必要がある」と語り、一朝一夕では実現できないと慎重な見解を崩さない。その上で、「パートナー企業からのリクエストだけでなく、自らこんなことができるのかということを提案し、中長期のビジネスにつながるようにしたい」と伊藤氏は述べた。

一方でJDIの成長戦略の一端を担うスマートフォン向け「FULL ACTIVE」は、4辺のベゼルデザインをスリム化することで、画面アスペクト比18 : 9を実現した6型液晶ディスプレイ。高密度な配線レイアウトや加工、実装の技術を追求しており、従来は幅広であった画面下部のベゼルを大幅に縮小することに成功した。

FULL ACTIVE 6.0型液晶ディスプレイ(アスペクト比18 : 9)

このモジュール構造により、表示画面とほぼ同じベゼルレスな商品デザインが可能となるため、ユーザーインタフェースの自由度を拡げ、新たな商品価値の創造に貢献できると、同社は自信をみせる。独自技術によって、タッチセンサー機能をディスプレイに内蔵した第2世代Pixel Eyes製品でもあり、狭額縁化の進展や黒の表現力向上、濡れた手で触れても誤動作しにくいという特徴も持つ。

カンパニー制の導入とともに、10月1日付けで、モバイルカンパニー社長に就任するジャパンディスプレイ 上席執行役員の永岡 一孝氏は、「FULL ACTIVEは、様々な分野に応用することができるものであり、長期間に渡る重要なデバイスになる」とし、「2018年には、7~8割がFULL ACTIVEになる」と見通しを示した。

また、「スマホのディスプレイは、約3年ごとに技術進化が進んでおり、2017年は節目にあたる。そこにおいて、FULL ACTIVEを投入することができる」(永岡氏)とし、すでに小米(シャオミ)がMi MIX2に、18:9のFULL ACTIVEを採用したと説明。その他の中国メーカー、スマホメーカーからもFULL ACTIVEの引き合いがあるとした上で、今年度第4四半期から来年度第1四半期にかけて、FULL ACTIVEを搭載したスマホが登場すると語った。

18:9ディスプレイは、正方形の画面サイズを2つ同時に表示できるアスペクト比であり、人気SNS「Instagram」の写真フォーマットにも適していると永岡氏。AppleやSamsungがすでに採用し始めている18 : 9だけでなく、「今後は19 : 9や20 : 9といったことも考えたい」(永岡氏)としており、車載メーカーからも額縁が狭い車載用ディスプレイとしてFULL ACTIVEの技術を採用したいというニーズがあることも明かした。

新体制の構築と新たな血を入れた構造改革、そして今後数年を占う新製品の投入によって、再生への道を踏み出したジャパンディスプレイのスピード感と実行力が試される。

メディア露出多数、高まる「N高出身」への期待値

メディア露出多数、高まる「N高出身」への期待値

2019.03.22

ネットの学校「N高」の卒業式に潜入

開校時に入学したN高1期生が卒業した

世間の注目を浴び続けた生徒は、何を想う?

3月、角川ドワンゴ学園「N高等学校」の卒業式が東京・お台場にて開催された。

「ネットの高校」として、3年前に設立したN高。この日、2016年の開校時に入学した第1期生と、途中転入・編入した生徒をあわせ、計1593名が卒業した。3年前、『VR入学式』で世間を賑わせたこの学校を巣立つ卒業生たちは、N高での日々をどう捉え、今後はどのようなキャリアを描いていくのだろうか。

卒業式は2019年3月20日、お台場にて行われた

卒業式を彩る最新テクノロジー

N高は、ドワンゴとKADOKAWAの経営統合で誕生したカドカワが設立母体となり、2016年4月に開校された通信制高校だ。同校は開校後、2年次編入なども受け入れてきたため、これまでも卒業生を排出してきてはいたが、「1年生~3年生をN高で過ごした生徒」が卒業するのは、初めてのことだ。

卒業式には多くの報道陣も参加した。生徒にとって、「卒業式に記者がいる」「自分たちが卒業する様子がテレビやWebで取り上げられる」というのは不思議な感覚だろう。とはいえ、もう「VR入学式」に「ニコニコ超会議」へのブース出展(N高ではそれを「文化祭」と表現)などの経験を経て、メディアへの露出には慣れてしまっているのかもしれない。

そして、今回の卒業式も例によって独特だった。

卒業式は任意参加で、会場には袴や制服に身を包んだ生徒が集まる一方、その様子をライブ配信することで、会場に来られない生徒生徒も参加できる仕組みになっていた。会場のスクリーン上にはニコニコ生放送さながら、リアルタイムでコメントが表示されており、こうした演出は「N高らしい」といった印象を受けた。

卒業式の様子。オンライン参加者のコメントがスクリーンを流れる

中でも印象深かったのは、当日来られなかった生徒を代表して、米シリコンバレーに留学中の佐々木雅斗さんが「ロボット」に自分の顔を映して卒業証書を受け取ったシーンだ。

使用したのは、ANAが“未来の移動手段”として開発する、視覚・聴覚・触覚などを備えた、ユーザーの分身となるロボット「ANA AVATAR」。同校ではこのロボットを試験的に授業にも導入しているそうで、こういった最新のテクノロジーを使うあたりもN高らしい。

遠隔操作ロボット「ANA AVATAR(Beam Pro)」を用いて卒業証書を受け取った佐々木さん

と、テクノロジーにばかり目が行きがちではあるが、そもそも「高校生がシリコンバレーに留学している」という事実も驚くべき点だ。高校に通いながらも、シリコンバレーでビジネスを学ぶ――、というキャリアを選べるのは、学校という場所の制約を受けない、ネットの高校のメリットと言えるだろう。

卒業式にはほかにも「異色のキャリア」を持つ生徒たちが集まり、特に活躍した卒業生に対する特別表彰も行われた。

表彰を受けたのは、東京から鹿児島県に移住し、農業や水産業を手伝い地域活性化に貢献する白鳥優季さん、第18回アジア競技大会ジャカルタ・パレンバン「ウイニングイレブン 2018」eスポーツ 金メダリストの相原翼さん、N高のプログラムを最大限に活用し、スタンフォード大学やオックスフォード大学のサマープログラムに参加した冨樫真凜さんなど。その活躍の幅は広い。

さまざまな分野で活躍したN高生に対しては、特別表彰が行われ、記念品としてクリスタルトロフィーが贈呈された

メディア露出が多いがゆえに高まる期待値

N高を卒業した個性豊かな面々は、今後は大学進学、就職とさまざまなキャリアを歩む。

日本初で唯一N高にのみ実在するという「起業部」に所属し、かつ起業第一号として「Easy Go」という会社を創業している、鈴木颯人さんと山田陽大さんから「N高で過ごした時間」についてコメントをもらった。

「元々は地元の進学校に通っていたのですが、『自分が好きなことをしたい』『起業したい』という想いがあり、N高に入学しました。年齢や場所に縛られず、多くの人とコミュニケーションを取れ、充実した3年を過ごせました」(鈴木さん)

「以前通っていた学校が自分と合わず、ネットで見つけたN高で『ここだったら新しいことができるかも』と入学を決意しました。今振り返ってみて、やはり『この学校に来てよかった』と思います」(山田さん)

Easy Go代表取締役の鈴木颯人さん(左)と取締役の山田陽大さん(右)

2人に限らず、卒業生のコメントを聞いていくと「この場所で挑戦してみたい」という想いの元、N高を選んでいる生徒が多い印象だ。

普通の高校とは違い、メディアに露出する機会の多いN高での生活は、良くも悪くも、世間からの注目を浴びる。まだ高校生の彼らにとっては、その視線が時に辛く感じることもあっただろう。ただ、その一方で鈴木さんは「初めて会う方とお話しする際、『N高出身です』と言うだけで、会話が広がることがよくあります」とその知名度を好意的に捉えている。

若くして、覚悟を持ってN高という環境に飛び込んだ生徒たちは、周囲の視線を浴びつつ、たくましく成長してきたことだろう。「N高出身」というキャリアは、彼らにとって1つの大きな武器になりそうだ。

カドカワは新たに2019年4月から、「N中等部」も開校する予定だ。「ネットの学校」という、世間の注目が集まる新しいコンセプトの学校だからこそ、在校生・卒業生の動向は、今後もしばらくは注目され続けそうだ。

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スマホは「望遠」でデジカメに追い打ち? OPPOの10倍ズーム技術が面白い

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2019.03.22

中国スマホメーカーのOPPOが独自のカメラ技術を説明

開発競争が続くスマホカメラ、トレンドは「望遠」へ

高倍率ズームスマホの登場で、デジカメの優位性に危機?

中国のスマホメーカーとしてシェアを急拡大するOPPOが独自に新開発したカメラ技術、「10倍ハイブリッドズーム」が面白い。実際に2019年の新機種からスマホへの搭載を進め、日本市場へも製品を投入するという。

OPPOが「10倍ハイブリッドズーム」技術を紹介

メーカー間の開発競争が続くスマホカメラだが、「望遠」が次のトレンドになりつつある。デジタルカメラに匹敵する10倍もの高倍率ズームを、OPPOはどのように実現したのだろうか。

1年で7機種を投入、気付いた「日本市場の難しさ」

OPPOは世界のスマホ市場で熾烈な4位争いを繰り広げている。サムスン、アップル、ファーウェイのトップ3社に続く集団の中で、2018年は中国Xiaomiに僅差で迫る5位になった(IDC調べ)。

OPPOは2018年、日本市場で7機種のスマホを発売した。OPPO日本法人の鄧宇辰社長は、これまでに国内販売チャネルを12に拡大し、あわせて認定修理店を全国に展開したことを挙げ、「日本のSIMフリー市場でいち早く成長するブランドになった」と振り返る。

オッポジャパン 代表取締役社長の鄧宇辰氏
2018年の1年間にスマホを7機種投入

2019年は国内展開をさらに加速する。日本の消費者に向けたコミットメントとして、件の「10倍ハイブリッドズーム」機能を備えたスマホや、FeliCa・防水対応のスマホ、新たに立ち上げたブランド「Reno」シリーズの市場投入を約束する。

また、話題の「5Gスマホ」の市場投入も急ぐ。日本では5Gの周波数がまだキャリアに割り当てられていないものの、ドコモ、KDDI、ソフトバンクを含む世界の事業者と標準化に向けて連携しており、準備を整えていることを強調する。

MWC19のQualcommブースではOPPOが5Gスマホを実演

一方で鄧社長は、日本市場の難しさについて、「1年の経験を通して、日本市場は他の国と違うことに気付いた。消費の習慣や求めるレベルも高い。グローバルのやり方を日本に持ってきても通用しない」とも述べている。日本市場における品質やサービスの要求水準の高さは、多くのメーカーが直面してきた課題だが、OPPOも同じ壁にぶつかったといえそうだ。

スマホカメラ、次のトレンドは「望遠」に

そのOPPOが市場攻略にあたり、特に注力をしはじめたのが「カメラ」だ。その中でも、業界では次の進化ポイントとして「望遠」技術に注目が集まっている。

そもそもスマホはデジカメと違い本体が薄いため、搭載できるレンズに物理的な制約がある。このレンズの制約から、スマホのカメラはどうしても焦点距離の狭さが弱点になってしまっていた。そこで最近はスマホに複数のカメラを内蔵し、それぞれで広角や望遠を使い分けることで、この弱点を克服しようと進化している。

OPPOの「10倍ハイブリッドズーム」技術は、この弱点に対し異なるアプローチで挑む。プリズムを使って光を屈曲させるペリスコープ(屈曲光学)構造をカメラモジュールに採用することで、レンズを従来の垂直方向ではなく水平に配置できるようにした。これにより、薄型のスマホであっても、光学レンズでは従来不可能だった高倍率ズームが搭載できる。

光を曲げるペリスコープ構造を採用

ただ、35mm換算での焦点距離は16~160mmの10倍となっており、一般的なコンデジの感覚では5倍ズーム程度の性能だ。8.1倍以上はデジタル処理を組み合わせた「ハイブリッドズーム」としているなど、いくつか注意点はある。とは言え、これまでにない望遠レンズをスマホで扱えるのは面白い。

10倍ハイブリッドズームによる画角の違い

OPPOは既に報道陣に向けて、この10倍ハイブリッドズーム技術を搭載するスマホの開発デモ機を公開している。2019年の第2四半期には製品化する計画で、日本市場へも2019年中に投入する見込みだ。

10倍ハイブリッドズームのデモ機。5Gにも対応できるという

特にカジュアルなカメラ需要の受け皿としてスマホに押されがちなデジタルカメラだが、高倍率ズームはスマホには無い、デジカメに残された得意分野のひとつだった。だが望遠もスマホで十分撮れるとなれば、いよいよその優位性も危うくなる。今回のズーム技術は、デジカメ市場をもう一段縮小させてしまう可能性を秘めているのだ。

最大のライバルであるファーウェイも「HUAWEI P30」シリーズで望遠カメラを搭載するとみられており、今後は各メーカーが高倍率ズームで競い合うことは間違いなさそうだ。

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