ドコモ、コマツらの新プラットフォーム「LANDLOG」は建設業をどう変えるか

ドコモ、コマツらの新プラットフォーム「LANDLOG」は建設業をどう変えるか

2017.08.04

コマツ、NTTドコモ、SAPジャパン、オプティムは4社共同で、建設業務における生産プロセスに関わるあらゆるモノをつなぐ新プラットフォーム「LANDLOG」を2017年10月から提供開始することを目指す。建設業務はどう変わるのか。

「モノ」から「コト」をつなぐプラットフォームへ

建設業界では現在、高齢化等による労働力不足が大きな課題となっている。各企業とも、こうした人手不足をICT化による生産性の向上でカバーしようとしており、国土交通省は建設技術のICT化を進めるべく、技能労働者一人あたりの生産性を5割アップさせることを目標とする「i-Construction」を2016年から推進。政府も「未来投資戦略2017」において、建設現場の生産性を2025年までに20%向上させることを目標に定めている。

政府の肝煎りなだけに、各社とも建設現場のICT化への準備を急いでいるが、現場レベルではまだまだこれから、というのが実情だ

コマツにおいてはこれまで2013年度から「SMART CONSTRUCTION」と名付けて建設の各工程をICT化するソリューション事業を進めてきており、建設機械による施工プロセスを中心としたプラットフォーム「KomConnect」を展開してきたが、さらに建設生産プロセス全体を対象として一元管理し、最適化するためのプラットフォームとして、新たに「LANDLOG」を開発することにしたという。

既存のKomConnectはコマツ内だけのクローズドプラットフォームだったが、これをオープンな規格で再編成したものがLANDLOGということになる。一部の仕様はそのまま流用される模様
LANDLOGは県せtプロセスのあらゆる段階を3Dデータを通じて繋げるという野心的な試みだ

LANDLOGにおいては、建設現場全体をドローンや3Dスキャナ、建設機器に装着されたコマツ製のステレオカメラ「KomCamm」などを使って撮影し、3Dデータとして記録する。さらにショベルカーのバケットに重量センサーを付けて掘削した土の重さを正確に測るなど、施工に関わるすべての建設機器にセンサーを付け、データを集める。こうした計測は現場に置かれたエッジサーバーで処理され、毎日の変化が3Dデータとして残されることになる。

ここまでは従来のプラットフォームでも行われているが、LANDLOGでは個々のIoTで入手したデータ単体ではなく、それらを組み合わせ、作業量であれば土砂の体積や平米、重さ、施工であれば建機の台数や作業員の人工といった、意味のある「コト」として可視化するレベルにまで達する。ここでもデータは3Dデータとして記録され、各プロセスの間は3Dデータで繋がれることになる。

さらに、2020年ごろを目標として、建設現場の最適化を目標としている。たとえばショベルカーですくった盛り土の正確な重さがわかるため、その土を搭載するダンプカーは過搭載になる可能性が非常に低くなる。また、どこにどれだけの盛り土があり、それをどこにどれだけ運ぶか、そのためにはダンプカーが何台必要で、どこにどのダンプを配車すれば最も燃費がいいか、といったナビゲーションまで行えるようになる。最終的には施工後の検査や維持保守といったレベルに至るまでを自動化できるようになるはずだ。

オープンプラットフォームにおける各社の役割は?

前述したように、コマツではすでに「KomConnect」というプラットフォームを持っていたが、これらはコマツ製の建機に限られるなど、クローズドプラットフォームが持つ閉鎖性故の限界もあった。そこでKomConnectの昨日の一部を発展的に移譲し、機器の種類を問わずデータの収取・蓄積を可能とするオープンプラットフォームにしたのが「LANDLOG」というわけだ。

LANDLOGにおいて、コマツは自社でも計測機器を提供するほか、3次元測量に関するノウハウの提供、建設生産プロセスへの投下資本の可視化に関するノウハウを提供する。NTTドコモはLTE、LPWA、5Gといった無線通信に関するノウハウやサービスの提供と、IoT等のソリューション構築とデータ収集、可視化・分析に関するノウハウの提供を担当する。SAPジャパンはデザインシンキングと「SAP Leonardo」による新プラットフォームビジネスの支援を担当。オプティムは「AI、IoTおよびCloud IoT OS活用等に関するノウハウの提供」となっている。

今回のJVではコマツが中心となり、3社がそれぞれコマツが不得意とする分野をカバーする形になる

LANDLOG自体は2017年10月のリリース予定だが、上記の4社はこれに合わせてジョイントベンチャー(JV)を設立して運営・開発に当たるという。ただし現時点では共同企画・運用に向けた合意のみが成立した段階で、各社の出資比率や売り上げの目標はまだ立っていないという。

建設業界における革命となるか

すでにコマツは「SMART CONSTRUCTION」を展開しており、今年6月末までの段階で採用された工事は3303件に上るという。すでに実績が構築されており、4社によるJV体制でオープン化された後も、着実に採用は増えていくだろう。あらゆる建築関連のデータを3D化して繋いでいくという発想は、単に開発中の効率アップだけでなく、再開発時や災害時、修復時などにも役立つはず。政府の肝煎りもあり、建設業界全体がこうした流れに向かうのはもはや確実と言えるだろう。

問題は、オープン化によって4社以外にどれだけの企業が参入してくるか、だろう。たとえば用途などは違うとはいえ、ステレオカメラによる実地形の3Dデータ化は、たとえばグーグルなどがすでに着手している。機材メーカーとしては、同じような技術が複数あっても、結局生き残るのはそのうちの1つか2つになることが多いため、投資先として考えるとライバルが多いのは不安が残る。

そしてユーザー側の問題は、予算が限られる中・小規模な業者の多い土木・建築業で、どこまでこうした設備が浸透するかだ。たとえばステレオカメラなどが建機やダンプカーの標準装備になれば、ある程度の時間はかかるものの、データ化への道筋は立てやすい。しかし追加投資が必要になるとすれば、零細企業の場合はそこまで手を出せない、というケースも多い。大きな工事であれば一次請負がレンタルするなどの手段もあるだろうが、いずれにしてもコスト面の問題は残る。

工事のあらゆる状況をデータ化するというLANDLOGの目標は大いに注目されるものだが、国際標準などの動向も踏まえつつ、まずは日本でのいち早い普及が望まれる。4社連合がどのような普及戦略をとってくるのかが興味深い。

新AQUOSは“片手ポケット族”狙う iPhone不在の「小型スマホ」市場に勝機

新AQUOSは“片手ポケット族”狙う iPhone不在の「小型スマホ」市場に勝機

2018.11.16

シャープが新スマホ「AQUOS R2 compact」を発表

大画面化の波に逆らい、「片手ポケット族」が増加傾向に

iPhone不在の「小型スマホ」市場を狙う

11月15日、シャープがAndroidスマートフォンの新製品「AQUOS R2 compact」を発表した。名前に「compact」と付いている通り、最近のスマホ市場では選択肢が減っている小型モデルであることが特徴だ。

小型スマホの需要を取り込む「AQUOS R2 compact」

コンパクトな見た目とは裏腹に、中身にはハイエンドである「AQUOS R」シリーズのスペックを詰め込んでいる。世界的にスマホの大画面化がトレンドとなっている中で、あえて時代に逆行するシャープの狙いはどこにあるのだろうか。

スマホを片手で持ち、ポケットに入れて使う人が増加

世界のスマホ市場では、6.5インチの「iPhone XS Max」に代表される大画面モデルが人気を博している。だが、日本では通勤電車などの利用シーンにおいて、片手で使う人が多いといわれている。シャープによれば、スマホを片手で持つ人は64% 、服のポケットに入れて持ち運ぶ人は49% に達しており、その割合は上昇傾向にあるという。

片手で持ち、ポケットに入れて持ち歩く「片手ポケット族」が多いという

その背景として、シャープはスマホの「インフラ化」を指摘する。SNSやコンテンツを楽しむだけでなく、サービスの利用やモバイル決済にスマホは欠かせない存在になっており、日常生活でスマホを取り出す場面が増えている。

AQUOS R2 compactは、日本人の手のサイズを念頭に置いた「横幅64mm」のボディに、できるだけ高性能な部品を詰め込んだハイエンドコンパクト機になっている。プロセッサは最新のSnapdragon 845、メモリは4GBを搭載しているが、これは大画面モデルのAQUOS R2と同等だ。

ポケットに入れやすいサイズに高性能を詰め込んだ

スマホ本体を小型化する一方、画面は前モデルの「AQUOS R compact」より大型化した。このためにシャープは画面の上下に切り欠き(ノッチ)を持つIGZOディスプレイを開発。インカメラと指紋センサを搭載しつつ、表示領域を上下に広げてきた。

前モデル(左)と比べて新モデル(右)は表示領域が広がった

「iPhone不在」の小型スマホ市場を直撃

シャープによれば、小型スマホを求める人は全体の3割程度という。スマホ市場では残りの7割に向けた大画面モデルが幅を利かせており、最新のiPhoneでは6.5インチのXS Maxに加え、一般向けモデルの「iPhone XR」も6.1インチとなっている。

一方、小型モデルとして根強い人気のあった「iPhone SE」は、後継モデルが出ないまま販売が終了。中古市場では価格が上昇する騒ぎもあった。

日本で最大シェアを誇るiPhoneだが、小型スマホ市場では存在感が薄れつつある。ソニーモバイルはXperiaシリーズのコンパクト機を投入しているが、2018年夏モデルの「Xperia XZ2 Compact」と比較して、シャープ機は画面の大きさ、薄さ、軽さの面で圧倒している。

中国メーカーとして日本でも勢いを伸ばすファーウェイ、OPPOも世界市場において大画面化競争を繰り広げており、小型モデルに積極的な動きは見せていない。この点もシャープにとって有利に働いている状況だ。

また、AQUOS R2 compactは顔認証と指紋認証の両方に対応しているのも特徴。これは、iPhoneにもXperiaにもない機能だ。スマホをポケットから取り出し、顔の前に持ち上げるだけでロックを解除できる顔認証だが、卓上に置いている場合は使いにくい。だが指紋センサがあれば、指を置くだけで済む。

顔認証に加えて指紋認証にも対応

スマホの端末メーカーの多くはグローバル市場に目を向け、大画面化のトレンドを追いがちだ。だが、シャープは国内の需要をしっかりとらえた上で、日本のユーザーに刺さる製品作りを続けている。

依然としてiPhone人気が続いている中で、限られた市場であっても「不在」のチャンスをタイムリーに活かし、ユーザーを奪還する。国内に目配りできるシャープならではの戦い方に注目したい。

大画面化するスマートフォン 使いやすさの試行錯誤は縦長から折り畳みへ

知って納得、ケータイ業界の"なぜ" 第23回

大画面化するスマートフォン 使いやすさの試行錯誤は縦長から折り畳みへ

2018.11.16

海外メーカーの台頭で日本にも大画面化の波が到来

大画面化と使いやすさの両立、各社の工夫の歴史

縦長スマホにとって代わるのは「折り畳み」スマホか

スマートフォンのディスプレイは年々大型化が進んでおり、かつては「大きすぎる」と言われた5インチディスプレイが、今や小さい部類に入ってしまうほどだ。一方で使いやすさを維持しながらディスプレイの大画面化を実現するため、メーカー各社はさまざまな工夫を重ねている。スマートフォンのディスプレイサイズはなぜ大きくなり、今後はどのように変化していくのだろうか。

海外メーカーの台頭で日本でも大画面化に拍車

スマートフォンにとってディスプレイは、単に情報を表示するだけでなく、タッチして操作するインタフェースも兼ねている非常に重要な存在だ。そのスマートフォンのディスプレイが、ここ10年ほどで最も大きく変化した要素が「サイズ」である。

どれくらい大きくなったのかというのは、新旧のスマートフォンのディスプレイサイズを比べてみれば一目瞭然だ。日本で最初に発売されたiPhoneである「iPhone 3G」のディスプレイサイズは3.5インチだった。一方、「iPhone X」や「iPhone XS」、「iPhone XR」といった最近のiPhoneのディスプレイサイズは6インチ級があたりまえ。1.7倍に以上に拡大しているのだ。

今やスマートフォンのディスプレイサイズは5インチ以上が一般的で、6インチも珍しくなくなった。画像の「iPhone X」のディスプレイサイズは5.85インチだ

さらに「iPhone XS Max」は6.5インチもあるし、他の大手メーカーでもサムスン電子の「Galaxy S9+」やファーウェイの「HUAWEI P20 Pro」のように、6インチを超えるディスプレイを採用した機種は増えている。なぜ、これほどまでにディスプレイサイズが大きくなったのかというと、それは大画面が欲しいというユーザーが多いため。スマートフォンの性能向上によって動画やコミック、ゲームなどのコンテンツを楽しむ人が増えていることから、ユーザーのニーズに応えるかたちで、大画面が求められるようになったといえよう。

だが日本国内の事情に目を向けてみると、公共交通機関での通勤・通学が多いのに加え、片手で文字入力ができる「フリック入力」が広く普及したこともあり、片手でスマートフォンを操作する傾向が強く、実は大画面に対するニーズはそこまで大きい訳ではない。実際日本では、4インチディスプレイの「iPhone SE」が人気を保っていたし、シャープの「AQUOS R Compact」やソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia XZ2 Compact」などのように、4インチ台のディスプレイを採用したコンパクトなスマートフォンも投入されている。

2018年の夏モデルとして販売されている「Xperia XZ2 Compact」は4.9インチと、最近では珍しくなった4インチ台のディスプレイを採用したコンパクトモデルだ

にもかかわらず、日本でも大画面のスマートフォンが増えているのはなぜか。まずは国内のスマートフォンメーカーが減少したことで、市場に海外メーカー製のスマートフォンが増えているためだ。海外では移動手段の違いに加え、文字入力システムの違いからスマートフォンを両手で持って操作する機会も多く、片手操作に対するこだわりが弱いのだ。

新興国などでも、ディスプレイサイズが大きいほど人気が出る傾向が目立ち、大画面に対するニーズが強いのである。海外製スマートフォンが日本市場に入り込みやすくなったことが、日本国内においてもスマートフォンの大画面化を進めたといえる。

縦長スマホの元祖はアップルだった?

とはいえ、スマートフォンが大画面化するに従って、本体の横幅がひろがり、さすがに海外のユーザーからも「持ちづらい」という声が増えてきたようだ。そこで近年急速に増えているのが、従来の16:9比率ではなく、18:9や19:9といった縦長比率のディスプレイの採用である。

持ちづらさに影響する横幅をこれ以上広げることなく、ディスプレイを縦に伸ばすことで大画面化しようとしたのだ。この流れをけん引したのは韓国メーカーで、2017年にはLGエレクトロニクスが「LG G6」(日本未発売)、サムスン電子が「Galaxy S8/S8+」といったように、縦長比率のディスプレイを採用した機種を積極的に投入した。

2017年発売の「Galaxy S8」「Galaxy S8+」は、18.9:9と縦長比率の有機ELディスプレイ「インフィニティディスプレイ」を採用したことで大きな話題となった

この韓国の両メーカーとも、グループ内にディスプレイデバイスを開発する企業を持っている。それゆえ縦長比率のディスプレイが生み出されたのには、実は大画面化だけが目的ではない。自社のスマートフォンに新しいディスプレイをいち早く搭載し、トレンドを作り上げることで、グループ企業のディスプレイデバイス販売拡大につなげる狙いもあったといえる。

だが、縦長ディスプレイで大画面化するというアイデアを真っ先に実践したのは、実はアップルである。アップルはかつてディスプレイの大画面化に消極的で、2011年発売の「iPhone 4s」までは3.5インチのサイズにこだわっていた。だが大画面化を求めるユーザーの声を受け、2012年発売の「iPhone 5」でディスプレイサイズを4インチに拡大した際に、ディスプレイの横幅はそのままに、縦に長くするという手法をとったのである。ある意味、アップルは5年前に現在のトレンドを先取りしていた、といえるかもしれない。

スマートフォンのディスプレイを縦に伸ばして大画面化するというアイデアをいち早く実践したのは、アップルの「iPhone 5」だった

しかしながら、ディスプレイを縦に伸ばして画面サイズを大きくする工夫にも、いずれ物理的な限界が来ることは目に見えている。そこで、さらなる大画面化の追求で、いま注目されているのが折り畳み式ディスプレイだ。このアイデア自体は、NTTドコモが2013年の「MEDIAS W」(NECカシオ モバイルコミュニケーションズ製)、2018年の「M」(ZTE製)で既に実現しているものだが、いずれも2枚のディスプレイを用いていたため、どうしても画面の折り目に継ぎ目が発生してしまう弱みを抱えている。

折り畳みスマートフォンとして注目されたNTTドコモの「M」は、2枚のディスプレイを用いるスタイルであるため折り畳み部分に継ぎ目が発生してしまう

だが有機ELを用いれば、ディスプレイを折り曲げられる“真の”折り畳みスマートフォンが開発できると言われており、大手スマートフォンメーカーがその開発を進めているとの観測報道も幾度となくなされている。

これは折り畳みできるという意味の「フォルダブル」スマホなどと呼ばれ、先ごろはサムスン電子が、来年発表するというフォルダブルスマホ「Galaxy F」のプロトタイプを開発者向けに見せはじめたりしている。2019年は各社から製品が登場するのではないか? との声もあるようだが、いま確実に言えることは、真の折り畳みスマートフォンがいつ、どのメーカーが、どのような形で投入するのかが、大いに注目されているということだけである。