ついに日本上陸するWeWork、日本人の働き方を変えるか

ついに日本上陸するWeWork、日本人の働き方を変えるか

2017.08.08

世界各国にコワーキングスペースを展開する「WeWork」が、ソフトバンクとの合弁で日本市場に上陸する。2018年には東京でサービスを開始し、年内には拠点を数十カ所に拡大する計画だという。

だが、すでに日本では政府が推進する「働き方改革」に合わせて、多くのコワーキングスペースがオープンしている。果たして後発となるWeWorkがこのタイミングで日本に上陸する狙いはどこにあるのだろうか。

注目すべきは「コミュニティ」の存在

ニューヨーク発の企業であるWeWorkは、米国を中心に世界15か国・49都市に156の拠点を展開する。3月にはソフトバンクが3億ドルを出資し、7月時点では未上場ながら企業価値は200億ドルと評価され、UberやAirbnbと並ぶユニコーン企業としても名高い。

2017年中に世界49都市に156拠点を展開する

料金は拠点の立地や利用形態によって異なり、空きデスクを利用できるプランはニューヨークで月に400ドル程度。専用デスクや個室はさらに高額になる。だが会議室やプリンター、ドリンクや清掃といったサービスも含まれており、一般的な事務所を構えるよりもコストは25%安くなるという。

同じ都市に複数の拠点を展開することも特徴だ。ニューヨーク市内だけで40の拠点を構えており、契約者は海外を含む他の拠点も利用できる。海外出張時など、街中のスターバックスよりも安心して仕事ができる場所を確保できるのはありがたい。

日本での立ち上げは、ソフトバンクが後押しする。WeWorkの日本法人にはソフトバンクとWeWorkが50:50の比率で出資した。7月には法人向けイベント「SoftBank World 2017」に共同創業者のミゲル・マケルビー氏が登壇し、8月7日にはソフトバンクの決算発表会でも新規事業として大きく扱われた。

WeWork共同創業者でチーフ・クリエイティブ・オフィサーのミゲル・マケルビー氏。かつて日本で起業した経験もあるという

だが、WeWorkを単なる貸しオフィス業と見ていては、2兆円を超える評価額はとても説明が付かない。WeWorkの真の価値は事務所そのものではなく、そこで働く人たちのコミュニティにありそうだ。

WeWorkはオフィスを貸すだけでなく、セミナーや交流イベントを開催することでメンバー同士のコミュニケーションを促進している。スタートアップや個人事業主には後ろ盾がなく不安がつきものだが、仕事の融通や人の紹介ができるコミュニティがあることで、安心してビジネスに打ち込めるというわけだ。

企業のコワーキング利用は加速するか

日本法人である「WeWork Japan」は、まだ設立直後の状態で従業員も少ないものの、2018年には東京を皮切りに数十の拠点展開を目指すという。

2018年にまずは東京から展開する

だが、日本においてWeWorkは後発の存在だ。すでに国内では多数の事業者がコワーキングスペースやシェアオフィスを展開している。そこでWeWorkは日本上陸の前に、1年間に渡って日本市場の研究に時間を費やしたという。

そこでWeWorkが注目したのは、スタートアップや個人事業主だけでなく、企業もまたコワーキングスペースの利用に関心を持っているという点だ。

その狙いは2つある。1つは、外回りなど固定席を必要としない従業員にサテライトオフィスとして利用させることで、事務所のコストや通勤時間を削減するというものだ。

それに加えて、2つ目に鍵になるのが先に挙げた「コミュニティ」の存在だ。これまで接点のなかったスタートアップや個人事業主とのつながりができることで、通常の企業活動では不可能だったコラボレーションが実現する。いま、流行語にもなっている「共創」が期待できるというわけだ。

2018年には、これまで及び腰だった大企業が一斉に働き方改革を採り入れ、コワーキングスペースの需要も急増する可能性が高い。この動きを見据え、日本市場に最高のタイミングで上陸することがWeWorkの狙いといえる。

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

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放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu