なぜ、スシローは都心に進出したのか

なぜ、スシローは都心に進出したのか

2017.08.09

大手回転寿司チェーンのあきんどスシロー。スシローは昨年9月に初となる都心型店舗を東京・池袋に開業した。今年5月下旬には東京・五反田に2店舗目もオープン。今後も都心型を増やしていくという。今になってなぜ、都心型店を増やすのか。スシローグローバルホールディングスの水留浩一社長に聞いた。

スシローグローバルホールディングスの水留浩一社長

人の集まるところにビジネスチャンスあり

スシローは全国に469店舗(2017年8月8日現在)を構える大手回転寿司チェーンだ。ロードサイドへの出店を重点的に行っているのは今も同じだが、1年ほど前から変わり始めたのは、都心型店に取り組み始めたことだ。その理由はシンプルだ。「人の集まるところにビジネスチャンスがある。都心をどうビジネスに変えていくか。都心は大きなテーマとして取り組みたい」(水留社長、以下発言同氏)。

スシローは2016年9月、東京・池袋に初の都心型店「SUSHIRO南池袋店」を出した。今まで出さなかったのは、回転寿司のビジネスモデル上、難しかったからだ。

SUSHIRO南池袋店

一般的に回転寿司屋の原価率は高い。そのため、売上を増やし、販売管理費の割合を減らして利益を出すビジネスモデルだ。さらに、都心は郊外よりも不動産賃貸料が高くなる。このため、従来のやり方では採算が合わないのだ。

とりわけ、スシローの場合、原価率は業界最高水準の約50%とひときわ高い。それは「うまいすしを、腹一杯。うまいすしで、心も一杯。」という企業理念に従い、ネタにこだわったからに過ぎないが、それによって、都心進出のハードルも上がってしまった。

とはいえ、都心部はスシローにとって空白地帯であり、そこにはビジネスの旨みもあるところ。そこで、スシローは課題克服の手立てを考えた。オートウェイターとセルフレジといった新機材を導入し、オペレーションを見直し、コスト削減を図ったのだ。

オートウェイターは、タッチパネルで受けた注文をスピーディーに届ける専用レーンのこと。セルフレジはお客が自分自身で、支払い決済を済ませるシステムだ。機材導入に合わせて、キッチンのレイアウトや工数の見直しを行い、効率的に寿司をお客に届ける方法を研究し、人手をかけない運営方法を編み出した。

セルフレジ。会計札を入れて簡単な操作で支払いが済む。リピーターが多く使うという
オートウェイター。試しに高さがあり不安定なラーメンやパフェなどを注文してみたがラーメンの汁はこぼれずパフェも受け皿にくぼみがあるなど工夫が見られた

それだけでは足りず、値上げも行った。本来、一皿100円のところを都心型店では120円にせざるを得なかったが、その代わり都心型店のみで販売するメニューも提供することにした。

都心型店の限定メニュー

一連の取り組みの結果、都心部でも経営が成り立つことが立証できたのだ。「数%ポイント、人件費をダウンできた。うちの郊外店は家賃比率が5%程度、都心だと10%近くになってしまう。その開きを人件費のダウンと、価格アップで吸収して、郊外店と同じくらいの利益が出せるようになった」。

都心型1号店は実験店舗

SUSHIRO南池袋店の成功は、非常に大きな意味を持つ。池袋は回転寿司の激戦区。そこで成功できれば、どこでもやっていけるからだ。1号店の位置づけも、アンテナショップではなく、あくまで「多店舗展開できるモデルにするため」と話す。いわば、実験店的な位置づけであり、多くのことが試されてきたわけだ。

実際、歩いてすぐの場所に、無添くら寿司があり、さらに少し歩けば、すしざんまいもある。「先方(くら寿司のこと)は100円で提供している。うちは120円で出している。それでも商売として成り立つくらい、来店いただいている。ここでできたら、どこでもできる」と自信を表す。

SUSHIRO南池袋店のスタートからそろそろ1年を迎える。アイドルタイムでも多数の来客があることなど、都心店ならではの傾向も掴んだ。SUSHIRO南池袋店は想定よりもいい結果が出ているとし、今年5月下旬にオープンした都心型2号店の「SUSHIRO五反田店」はさらに良好な結果が出ているという。

7月某日午後2時過ぎのSUSHIRO南池袋店の店内。アイドルタイムでもお客は絶えない

今より身近になるスシロー

2号店まで成功した都心型店舗。気になるのは、今後だが、どういったエリアにどの程度増えていくのだろう。水留社長は「大阪、名古屋、福岡、札幌など人が集まるエリアは東京だけではない。都心型店は全国規模で考えていきたい」とする。計画では、来期3-5店舗を構想しており、さらに8-9年後のイメージとして、都心型店を100店舗まで増加させたい考えだ。

都心型ならではの課題を克服し、多店舗展開が可能になった今、都心型が将来100店舗まで増えれば、スシローのイメージが大きく変わりそうだ。週末に家族と行く回転寿司屋から、平日でも毎日、気軽に楽しめる回転寿司屋に変わる。今よりぐっと身近な存在になりそうだ。

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

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○ゲームとともに振り返る“平成”という時代
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○知って納得、ケータイ業界の"なぜ"
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○カレー沢薫の時流漂流
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最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu