スシロー、個性打ち出し味にもこだわり 店舗は倍増800店を構想

スシロー、個性打ち出し味にもこだわり 店舗は倍増800店を構想

2017.08.11

スシローグローバルホールディングスは、回転寿司チェーン「スシロー」の出店加速をひとつの目的に、今年3月に東証一部へ上場した。その子会社であり、スシローを運営するあきんどスシローは年30-40の新規出店を計画、将来は国内800店構想を抱く。

8-9年後に国内800店まで増やしたいという

8-9年後に国内800店舗に

スシローグローバルホールディングスの中期経営計画には、スシロー業態の出店は年30-40店舗ペースとある。水留浩一社長は将来、国内800店舗体制にしたいという。中期経営計画のペースで計算すれば、8-9年で達成できる計算だ。現段階において、1店舗あたりの年間売上は3億3,000万円弱ほどとし、800店体制が実現すると、年商は2,600億円超となる。

スシローグローバルホールディングスの水留浩一社長

目標に向け、出店エリアはどうなるのか。そもそもスシローは大阪発祥の回転寿司屋。関東に店舗が少ないというわけではないが、これまでは比較的、西日本への出店に力を入れてきた。今後は出店余地のある、東北・関東の東日本へ重点的に出店していく考えだ。

ただし、これはロードサイドの郊外型店舗の話。駅前など人が集める都心型店は別だ。東京、大阪、名古屋、福岡、札幌など人の集まるところへ出していく。将来800店体制のときに都心型は100店舗くらいのイメージになっているようだ。

回転寿司は伸びている

これらはあくまで計算上の話。回転寿司業界を取り巻く環境も合わせて、スシローの店舗計画の実現可能性を見たいところだ。

様々な調査を見る限り、近年、回転寿司市場は伸びているようだ。富士経済によると、2016年の回転寿司の市場規模は前年比4.8%増の6,055億円。2017年は6250億円へと拡大すると予測している。こうした現況をどう見ているのか。水留社長は「出店しても売上が取れるエリアがまだ残っているから市場は伸びる。ホワイトスペースと呼ばれる出店可能エリアが残っている」とする。スシローも出店可能エリアが多数あると見ていることを示唆するコメントだ。

とはいえ、大手回転寿司チェーンでは明暗が分かれているのが現状だ。スシローのように伸びるところは伸び、逆に苦戦しているところもある。スシローが伸びている理由はあるはず。それについて、水留社長はどう分析しているのか。

スシローの強みについて、水留社長は「寿司にフォーカスして取り組んできたのが支持していただいている最大の理由だと思う。回転寿司の楽しみにはサイドメニューにもあるが、根っこは寿司屋。寿司に魅力を感じてもらうための取り組みが受け入れられたのだと思う」と話す。

スシローの原価率は高い。通常の飲食店は原価率が約30%だが、スシローの場合は約50%と高い。それは利益を圧迫する要因にもなるが、スシローの場合は、ネタに回す。そうした考えをベースに持っている企業だ。具体的な取り組みとしても、昨年11月から「世界の海からいいネタ100円PROJECT」を開始。一皿100円で、良質なネタを提供・販売する取り組みを半永久的に続けていく考えだ。

昨年11月から開始した「世界の海からいいネタ100円PROJECT」で提供してきたネタ

個性のある回転寿司チェーンに

ネタにこだわる姿勢はこの先も続く。スシローが現在取り組んでいるのが、上記のプロジェクトに加えて、地産地消的な取り組みだ。その代表例として、前浜プロジェクトと呼ぶものがある。

これは千葉をはじめとする各地の近郊で揚がった天然魚を近場のスシローでネタとして提供していくものだ。全国全店の規模では揃えられないが、エリア限定ならば提供可能になるネタだ。「いいネタだけど、全店で提供できる量にはならないようなものがある。そこに手を付けないのではなく、あるエリア、50店舗、80店舗だったら出せるというネタを取り上げていこうと。そのひとつが前浜のプロジェクト。いいものを目利きして買い付けて提供して行く」。

全国各地に点在する魚市場を巡ると、こうした素材はまだまだあるという。今はまだ千葉県、大阪府の一部店舗で提供する取り組みに過ぎないが、全国各地に広げていこうという考えだ。チェーン店であるにも関わらず、北海道と千葉県ではメニューに違いができる。個性のあるスシロー店舗ができるというわけだ。

16日14時更新
記事初出時に「舞浜プロジェクト」と表示しておりましたが、正しくは「前浜プロジェクト」でした。加えて「千葉・舞浜で揚がった天然魚を近場のスシローでネタとして提供していく」としておりましたが、こちらも「千葉をはじめとする各地の近郊で揚がった天然魚」が正しいものとなります

人材確保と工夫

将来、国内800店舗を目指していく中で、解消しなければならない課題もある。それは人材確保だ。目下、人手不足を訴える業界は多い。スシローは直営方式をとっているため、店舗を増やせば、その分、スタッフの増員が不可欠になる。水留社長も人材確保を重要課題と捉えている。

ただし、単に雇えばいい、増やせばいいと考えているわけでもない。中長期的には自動化を進展させ、省力化をさらに進めて、課題解決に当たろうともしている。「現在、16、17人のスタッフがキッチンで作業している。目標感としてはこれを10人まで減らしていきたい。いくらでも自動化は可能だが、とにかく味だけは落とさないようにする」と話す。

どの部分で省力化を図るのかを聞けば、かなり地味な取り組みだ。食器洗浄機を改良し、色別に整った皿を取り出せないか、麺類の茹でを自動化できないか、といった類のものだ。ひとつの改善で作業時間を10分減らし、もうひとつの改善でもう10分を減らしていく。その積み重ねで、必要人員を減らしていくことになる。

国内800店舗になったとき、都心部でスシローを見かけることが多くなり、店内に入れば、エリア限定のネタも味わえる。店舗内部では、いそいそと働くスタッフの人数が減り、自動化が進むことになりそうだ。店内に入って、見えるところも見えないところも、スシローが今とは少し変わったものになっていそうだ。

CESで大注目の「折り曲げられるスマホ」、普及の見込みは?

CESで大注目の「折り曲げられるスマホ」、普及の見込みは?

2019.01.18

中国メーカーが自在に折り曲げられるスマホを実現

「大画面×コンパクト」を両立する夢のデバイス、実用性は?

端末の魅力を引き出すアプリ登場が普及のカギか

米ラスベガスで開催された世界最大級の家電見本市「CES 2019」では、2019年のトレンドを先取りする新ガジェットが一堂に会した。その中でも一際大きな注目を浴びたのが「折り曲げられるスマホ」だ。商品化にこぎ着けたのは世界初という。

折り曲げられるスマホ「FlexPai」

スマホの画面サイズが大型化を続ける中、iPhone SEのような小型スマホを求める声は依然として多い。そこで登場した折り曲げられるスマホは、「大画面」と「コンパクト」を両立する夢のデバイスに見える。果たして普及の可能性はあるだろうか。

自在に折り曲げられるスマホ、中国メーカーが実現

折りたためる2画面のスマホというアイデア自体は、実はそれほど目新しいものではない。NTTドコモとZTEが共同開発した「M Z-01K」などは、現行モデルとして国内で販売中だ。

だが、従来の2画面スマホはヒンジを用いて2つの画面をつなげたものに過ぎなかった。その後、液晶とは異なる特性を持つ有機ELが登場したことで、ディスプレイを紙のように自在に折り曲げられることも夢ではなくなった。

有機ELの「曲げに強い」という特性は、多くのスマホに活用されている。サムスン電子のGalaxyシリーズが画面端を曲面にしたスマホを発売後、ソニーモバイルシャープもこの形状を採用している。

これを推し進め、開くとタブレットのような大画面、2つに折り曲げるとスマホサイズという端末の可能性が見えてきた。そして2018年10月、中国のRoyoleが、世界で初めての折り曲げられるスマホ「FlexPai」を商品化したのだ。

中国Royoleのブース。フレキシブルディスプレイを使った様々な製品が並んだ

CES 2019では韓国のLG電子が巻き取り式のテレビを発表するなど、「曲がるディスプレイ」が会場全体で話題になっていた。そうした下地もあって、Royoleの出展ブースには来場者の行列が絶えず、展示機がバッテリー切れを起こすほどの盛況となっていた。

実用性はさておき、スマホの進化の可能性を示した

FlexPaiの特徴は、開いた状態ではタブレットに近い形状になり、そこから自由に折り曲げできる点にある。従来の2画面スマホとは異なり、広げた状態でも画面の境目がないため、タブレットと同じ感覚で利用できる。

広げた状態ではタブレットのように使える

メーカーが挙げるメリットは、複数のニーズごとの端末を1台に集約できることだ。大画面が欲しい人の中には、スマホとタブレットを両方持ち歩いている人もいるだろう。だがFlexPaiなら持ち歩くのは1台で済むというわけだ。

折り曲げた状態では一般的なスマホと同じように使える

折り曲げというギミックから、耐久性に不安を覚えるものの、20万回程度の折り曲げに耐えられるという。ただ、折り曲げると厚みが出るため、スマホのようにコンパクトに持ち歩くことはまだ難しい。

アプリの対応も課題だ。FlexPaiを折り曲げた状態では「表面」と「裏面」に加え、折れ曲がった「エッジ」の3画面を利用できる。FlexPaiの魅力を引き出すには、これら3画面を活用するようなアプリの登場が待ち望まれる。

そこでRoyoleは、FlexPaiをアプリ開発者向けに1,318ドルの価格で先行販売している。まずは開発者にデバイスを手に取ってもらい、どのような活用方法が考えられるか、アイデアを募っていく段階といえる。

会場で実機を試した印象だが、現段階での折り曲げスマホは実用的とまではいえないと思えた。しかしRoyoleという会社の名前を世界に知らしめ、フレキシブルディスプレイの技術を示したという意味では、この発表は大成功を収めたといえるのだろう。

また、サムスン電子など大手スマホメーカーも折りたたみや折り曲げ端末の開発を進めており、グーグルはAndroid OSとして公式サポートを表明している。スマホの次なる進化の可能性を真っ先に示したFlexPaiを、この場の実用性で語るのはお門違いなのかもしれない。

日本車のインテリアには独創的な未来がある? 「1kg展」で感じた可能性

森口将之のカーデザイン解体新書 第12回

日本車のインテリアには独創的な未来がある? 「1kg展」で感じた可能性

2019.01.18

国内主要メーカーの内装デザイナーが集まり展示会を開催

テーマは“1kgの価値”をどこまで高められるか

実車に応用できる? 独創的な作品の数々

国内主要自動車メーカー8社のインテリア・カラーデザイナーが参加する団体「JAID」が初の作品展を開催中だ。“1kg”という重さにこだわり、最新の3Dプリンターを駆使して各社のデザイナーが生み出した作品は独創的で、会場の「GOOD DESIGN Marunouchi」(東京・丸の内)は小さな現代美術館のような雰囲気になっている。

ダイハツ工業のデザイナーが出品した「受け継がれる樹脂」という作品

雑誌の対談が契機となり生まれた「JAID」

「JAID」という名前を初めて目にした人も多いだろう。「ジャパン・オートモーティブ・インテリア・デザイナーズ」の略で、「ジャイド」と読むそうだ。

創立のきっかけとなったのが、自動車雑誌「NAVI CARS」(ナビカーズ)での対談だったと聞いて、「あの号だ!」と即座に思い浮かんだ。クルマのインテリアを特集したナビカーズの2015年7月号で、筆者も別の対談に参加させていただいていたのだ。その号に国内メーカーのインテリアデザイナーが語り合うページがあったことは記憶の片隅に残っていた。

雑誌の売れ行きが落ちているといわれて久しい。それだけに、1つの雑誌の企画からJAIDのようなコミュニティが生まれたことは、モータージャーナリズムに身を置く者として嬉しい気持ちになる。

日産自動車のデザイナーが出品した「∞ Fluff」

価値ある1kgの創造に挑んだデザイナーたち

そのJAIDが企画したのが「1kg展」だ。なぜ“1kg”にこだわるかといえば、クルマの開発に携わる人たちにとって切実な「kg単価」という指標に理由がある。

「kg単価」とは、クルマの開発で使われる値段の単位だ。インテリアデザイナーとしてはkg単価が高い、いわゆる良い素材を使いたいという気持ちは大きいだろう。快適性や安全性の追求、さらには電動化への対応、重量の削減といった視点も持ちながら素材を選んでいるはずだ。

しかし、贅を尽くしてばかりでは車両価格の上昇を招くので、妥協が必要になる。おそらくインテリアデザイナーは、このような状況で悩みながら、新しい素材や仕立て、色などを取り入れるべく、奮闘の毎日を過ごしているのだろうと想像している。

では、そういった制約がなくなったとき、デザイナーたちはこのkg単価をどこまで価値あるものに仕上げられるのだろうか。これが、今回の展示会のテーマだ。最新の3Dプリンターを駆使し、時間や空間、物質としての限界などを飛び越えた作品を独自の着眼点で製作すると同時に、広くカーインテリアデザインの魅力を伝えたい。そんなメッセージのこもった展示会なのである。

ホンダのデザイナーが出品した「風速1kg」

素材と色のコーディネートが味わえる「ハンバーガー」

会場のGOOD DESIGN Marunouchiは、2013年度から通算5回、今年度も含めてグッドデザイン賞の審査員を担当している筆者にとってはなじみ深い場所だ。ところが、「1kg展」の内覧会を訪問した時には、状況がまるで違っていた。いつもは展示物をゆったりと眺めることができる空間なのに、この日はラッシュ時の駅のようにごった返していたのだ。それだけ、インテリアデザイナーの斬新な発想に期待する人が多かったということだろう。

日産のデザイナーが出品した「4D flower」。「1kg展」に作品を持ち寄ったのは、国内大手自動車メーカー7社(ダイハツ工業、ホンダ、三菱自動車、日産自動車、スバル、スズキ、トヨタ自動車)だ

作品の中には、クルマのインテリアデザインとは関係なく、最新の3Dプリンターならではの表現能力の高さをアピールするような作品も見られた。それらを業界の枠を飛び越えた独創的な作品と捉える人もいたようだが、クルマが好きで今の仕事に携わっている(はず)の方々だからこそ、もっとインテリアにこだわって欲しかった。

ただ、クルマのインテリアとの関連性が高い作品が大半を占めていることは確かで、中には独創的な発想や興味深いアイデアも見られた。本稿では独断と偏見で、そのうちの3つを紹介していこう。

まずは、会場の入り口近くに置かれていた「CMFバーガー」だ。「CMF」とはカラー、マテリアル、フィニッシュの頭文字で、ナビカーズでの対談が行われた頃から、自動車に限らずデザイン分野でひんぱんに使われるようになってきた言葉だ。造形だけでなく色や素材、仕立てにも気を配ることで、より完成度の高いデザインが生まれるというような意味が含まれている。

「CMFバーガー」はトヨタのデザイナーが出品

この作品は、CMFのコーディネートを1kgのハンバーガーに見立てて表現したもの。レザーのバンズ、クリアレンズのトマト、加飾素材のチーズやパティ、シート素材のレタスがさまざまな色で用意してあり、好みのバーガーを作り出せる。

3つの作例では、CMFの違いでかなり雰囲気の異なるバーガーを作れることが分かった。バンズを肉抜きタイプにすると総重量が1kgを切るなど、計量化を実感できる仕掛けも盛り込んである。ディーラーが車種別にCMFハンバーガーを用意すれば、顧客は楽しみながらカラーコーディネートを試すことができるかもしれない。

ディーラーに「CMFバーガー」が置いてあったら面白いかも

インテリアをボールにした斬新な作品も

続いて紹介するのは「トランスフォームステアリング」。自動運転が実用化された未来を想定した変形機構を持つステアリングで、手動モードでは伸びて操舵できる状態となり、自動モードでは縮めて格納しておける。全てがマットブラック仕上げだが、グリップ部分、変形部分、外枠部分を別のメーカーのプリンターで製作することで、素材の違いを表現している。

トヨタのデザイナーが出品した「トランスフォームステアリング」

製作したデザイナーはステアリング機能だけを想定していたようだが、左右のグリップをねじることでアクセルやブレーキの操作ができれば、この部分だけで基本的な運転操作ができる合理性の高いインターフェイスになると思った。ペダルがなくなれば、室内レイアウトの自由度も高まりそうだ。

伸ばせば手動運転に使えるし、自動運転中は縮んだ状態で格納しておける

最後は「インテリアボール」だ。写真を見てお分かりのとおり、クルマのインテリアを構成するパーツをボール状のアートとして表現したもので、多くのパーツをまとめ上げ、世の中というフィールドにデザインを“投げ”かけているインテリアデザイナーの仕事をボールの形に込めたのだという。

「インテリアボール」はホンダのデザイナーが手掛けた

展示してあるのは1個だけだが、スポーツの世界では競技によってサイズの違うボールを使うことにも製作者は着目している。使用する材料や加工方法を変えることで、同じ1kgでもサイズや見え方の違った表現ができるそうだ。

しかしながら筆者には、これがボールではなく卵に見えた。卵から生まれる前のクルマ、そのインテリアデザインは、こうなっているのではないかと想像したのだ。同じクルマのエクステリアデザインを卵の殻で表現することで、多くの車種を球形にできれば、一風変わったミニチュアになるのではないだろうか。

JAIDが企画した1kg展の作品群は、それ自体が柔軟かつ斬新な発想から生まれているだけでなく、見ているこちらも創造力が掻き立てられるものだった。この展示会を訪れて、日本の自動車メーカーにインテリアデザインの実力者が多いことに感心するとともに、メーカーには、この実力を引き出して製品に結び付ける能力が求められていることを教えられた。

1kg展の会期は1月25日まで。入場は無料だ。時間に余裕のある方は、一度訪れてみてはいかがだろうか。