海外にも力を入れるスシロー、欧米よりアジアを重視するワケ

海外にも力を入れるスシロー、欧米よりアジアを重視するワケ

2017.08.12

回転寿司チェーンの「スシロー」を運営するあきんどスシローは、国内のみならず海外への出店も考えている。海外では現在、韓国のみだが、どういった構想を抱いているのか。

ノウハウを蓄積

スシローグローバルホールディングスの水留浩一社長

スシローの海外店は韓国に8店舗ある。それ以外にはない。韓国で出店したものの、採算にのせきれず、試行錯誤を続けてきたからだ。日本ではうまくいっても、海外ではうまくいかなくなることがある。スシローグローバルホールディングスの水留浩一社長は海外店ではいくつかの課題を抱えていたと話す。

ひとつは、クオリティの問題だ。シャリひとつとっても、どのタイミングで酢をかけるか、仕上がったシャリを食べてそれが本当においしいのか。そもそも仕入れた米に割れがなく、当初要求した品質基準を満たしているのかどうか、などといったことだ。

味にこだわりを持たないと味・品質は落ちてしまう。スシローが抱えた課題も味・品質だった。結果として、日本から人材を送り、改善を試みた。それによって、現場の緊張感も変わり、水留社長は「日本に近いクオリティまで上げることができた」と話す。

出店場所にも問題はあった。日本ではロードサイドに出店するのが王道だが、韓国で受けたのは、ショッピングモールのように人が集まる場所だった。ビジネスとして成立させるには、日本流を持ち込むだけではダメなことがわかったのだ。

ひとつずつ課題を解消していったスシロー。韓国での経験をノウハウとして積み上げ、「ようやく望ましいモデルになってきた。店舗を増やしていくことで、利益を出せるようにところまできた」と水留社長は現状を述べる。それと同時に、他国への多店舗展開も見えてきたようだ。

ただし、今後出店する国は多くの人のイメージと違うかもしれない。寿司、海外というと欧米をイメージするが、水留社長は「優先順位としてはアジアのほうが高い」(水留社長)と話す。

出店するのは欧米ではない理由

その理由について「うちの良さは寿司のうまさ。寿司であれば来てくれるというエリアよりは、寿司の違いで来てくれる、寿司のうまさを感じて来てくれる、そういうエリアを我々は優先的に取り組んでいきたい」(水留社長)とする。

わかりづらいが、詰めて聞くと明快だ。アジアを優先する理由がよく分かる。「欧米に出店しても、記念日だから行くとか、物珍しいから行くとなってしまう。それよりは月1回はスシローに行こうと思ってもらえる土壌があるエリアを優先したい」という。スペシャリティフードではなく、目指すのは気軽に入れる寿司レストランというポジションだ。

これには、回転寿司ビジネスの特性もあるだろう。一般に原価率は高く、売上を増やして、利益をとるビジネスモデルだ。客単価も千数百円と高くはなく、ある人が年一回来店するのでは不十分。何度もリピートしてもらわねばならない。

それがわかると、欧米よりもアジアのほうが市場としては魅力がある。アジアには米食・生食文化を持つエリアがあり、寿司はなじみやすい。年一回のスペシャリティーフードというよりも、日常食に近い感覚で食べてもらえるからだ。

ターゲットをアジアと定めた上で、生魚を食べるエリア、そうでないエリアという問題がある。両方あるところが一番いいが、その後では「生魚を食べるエリア」「米食があるが生魚を食べないエリア」「そもそも米食文化がないエリア」といった順番で出店していく考えだ。

具体的には、中国、台湾、香港は所得水準も含めて可能性は大いにあるという。次に挙げてくれたのが、シンガポールやタイ、マレーシアだった。その先はインドネシア、インドといった国名も挙がる。インドは米食文化はあるものの、生食文化はなく、少し先にはなりそうだ。

海外でスシローの看板が目につくように?!

話を聞いていると、ひとつ気づくことがある。それは海外1都市、1店舗とは思えないことだ。日常感覚で気軽に入れるレストランという位置づけは、1都市で多数の店舗を抱えるイメージを持っていてもおかしくない。

そのあたりを聞くと、水留社長は「ソウルには10店舗ないようならダメ。韓国で30店舗やるなら、半分はソウルにあるべき。日常に入り込んで、週末に楽しめるようにならなければいけない。一年に一回、頑張って行くお店ではない」と繰り返す。

気軽に入ることができ、選べる楽しさのある回転寿司は海外でも根付くか

スシローの海外展開はこれからが本番。一都市に何店舗もあるような姿をイメージし、多店舗展開を図る考えだ。水留社長の話を聞いていると、外国の生活レベルに入り込んで定着を図ろうとしていることがわかる。それは壮大な考えであると同時に、実現が大変そうな取り組みのようにも思える。いずれにせよ、回転寿司をもっと身近に、という考えは、日本においても、海外展開においても変わらないようだ。

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

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○ゲームとともに振り返る“平成”という時代
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○企業戦士に贈る「こむぎのことば」
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○カレー沢薫の時流漂流
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最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu