ソラコム買収だけではない、KDDIがIoTビジネス拡大に打った

ソラコム買収だけではない、KDDIがIoTビジネス拡大に打った"先手"

2017.08.18

IoTベンチャーとして注目されたソラコムを子会社化したことで、大きな注目を集めたKDDIのIoTビジネス。だが同社はソラコム買収以前にも、IoTビジネス拡大のためさまざまな布石を打ってきている。今後急拡大する可能性が高いIoTの分野で、KDDIは優位性をどこまで高められるだろうか。

立ち上げ時期のIoTビジネス開拓に向けた買収

去る8月2日、KDDIがIoTベンチャーのソラコムを買収して子会社化することを発表し、大きな驚きを与えた。ソラコムは設立3年目の企業ながら、通信のコアネットワークをクラウドに構築するという独自の技術で注目され、IoT向けネットワークの分野で急速に存在感を高めたベンチャーの雄でもあった。それだけに、KDDIの大胆な買収劇は驚きをもたらしたわけだ。

だがKDDIのここ最近の取り組みを見ると、実はソラコムの買収以前よりIoTビジネスの拡大に向け、さまざまな布石を打っており、IoT分野での事業拡大に向け非常に力を入れている様子が見えてくる。改めてKDDIのIoTビジネスに関する動向を追ってみよう。

同社は15年前から、機械同士が通信をしてデータのやり取りをする機械間通信(M2M)の分野に取り組んでおり、この分野では豊富な実績を持ち、2007年から2016年の10年間で、M2M/IoT端末の累計稼働台数は6.6倍にまで拡大している。だが日本では海外、特に欧米と比べIoTの導入が遅れているそうで、市場拡大に向けては多くの課題があるという。

KDDIはM2Mの時代からIoTに向けた取り組みを実施。車や住宅、スマートメーターなどへの導入実績を持ち、累計稼働端末台数も10年間で6.6倍に拡大しているとのこと

そうしたことからKDDIでは、従来のM2Mと同じ取り組みだけでは市場が広がらないと判断。企業がIoTビジネスを展開しやすくするため、ネットワークやデバイス、サービスを包括的に提供して企業のIoTビジネスをサポートする、IoTプラットフォームの構築に力を入れるようになったのである。

ソラコムの買収は、そうした同社のIoTプラットフォームのうち、ネットワーク部分の弱みを解消する策の1つだったといえる。KDDIが従来のM2Mビジネスで展開してきたのは、コネクテッドカーやスマートメーターなど、大量導入を前提とし綿密なサポートを提供する、大企業をターゲットとしたものが主体だった。

だが現在のIoTビジネスに対するニーズは、まだIoTに関する実績を持たない企業が、低価格・小規模でIoTビジネスを立ち上げ、徐々に大きくしていくというケースが多く、従来のKDDIのビジネスモデルだけではニーズに応えられなくなってきていた。そこでKDDIはIoTビジネスの立ち上げに強みを持つソラコムとの協業で、昨年12月に「KDDI IoTコネクト Air」を提供。さらにその協力関係を推し進めて双方のIoTビジネスを拡大するべく、今回の買収へと至ったのである。

KDDIは包括的なサービスの提供による大規模なIoTビジネス、ソラコムは低料金で柔軟性の高いサービスで小規模、立ち上げ時期のIoTビジネスに適しており、補完関係にある

ネットワークやクラウドでの取り組みを急拡大

ソラコムの買収は確かに大きな出来事であったが、KDDIのIoTプラットフォーム拡大に向けた取り組みは、昨年から今年にかけ非常に活発になっている。ネットワークに関して言えば、現在は「Cat-M1」「NB-IoT」など携帯電話網を使った、低消費電力で広範囲をカバーするLPWA(Low Power Wide Area)のネットワーク構築に力を入れており、今年度中にそれらを活用したサービスを提供する予定だとしている。

またKDDIは、携帯電話網を利用したLPWAだけでなく、「LoRaWAN」や「SIGFOX」など、Wi-Fiのようにオープンな帯域を用いたLPWAの展開にも注力。中でもSIGFOXに関しては、そもそも日本で独占的にSIGFOXを展開する京セラコミュニケーションシステム(KCCS)の大株主がKDDIであるし、KCCSがSIGFOXの日本展開を発表した際には、KDDIの代表取締役執行役員副社長である髙橋誠氏が、KCCSとの協業を通じてSIGFOXの活用を積極的に推進していくとのコメントを寄せるなど、関連性の高さを見て取ることができる。

国内ではKCCSが独占的に提供するSIGFOXだが、そのKCCSとKDDIは深い関係にあり、SIGFOXの普及や活用にも関わっていく方針を見せている

デバイス面に関しては、KDDI自身通信モジュールの提供では豊富な実績を持っているのに加え、同社自身が提案できるセンサーデバイスも2000種類に上るとしている。さらにKDDIはSIMを活用したセキュリティ技術や、組み込み用SIM「eSIM」に関する技術なども持ち合わせていることから、SIMを活用したさまざまな施策の展開も可能だ。

だがIoTをビジネスに本格活用する上では、デバイスから得たデータをネットワークで送った先の施策が重要になってくる。つまりクラウド上に蓄積された膨大なデータを、いかに活用・分析して必要な情報を得られるかが、IoTプラットフォームで最も求められる部分でもあるのだ。

KDDIはこの部分に関しても、今年いくつかの手を打っている。3月にはアクセンチュアと、データ解析による顧客体験価値向上と、パートナービジネスの推進を目的とした合弁会社「ARISE analytics」を設立。さらに5月にはさまざまなデータを流通させる「KDDI IoTクラウド データマーケット」を提供し、企業がIoTで取得したデータと、他のさまざまなデータを組み合わせ、さらにARISE analyticsを活用した高度なデータ分析を提供することによって、多角的な分析による新たなビジネス創出へとつなげる取り組みも進めている。

KDDIはアクセンチュアと合弁で、データ解析を手掛ける「ARISE analytics」を設立。取得したデータを活用する取り組みにも力を入れている

ソラコム買収で得た優位性とは

こうした一連の施策によって、KDDIはIoTに必要な要素をワンストップで提供できるプラットフォームを一気に整えたといえる。そして今回、ソラコムがその仲間に入ることによって、IoTプラットフォームの充実度は一層高まるものと考えられそうだ。

特に短期的視点で見た場合、ソラコム買収のメリットが大きいと考えられるのは、IoTの導入事例を大幅に増やせることだ。先にも触れた通り、現在IoTに興味や関心を示す企業自体は増えているものの、前例が少ないため実際のサービス開発に踏み込めないケースが多い。ある意味、現在企業が求めているのはIoTの“前例”でもあるのだ。

だがKDDIは、自社が長年手掛けている大企業を主体としたIoT/M2Mの導入実績に加え、今回ソラコムを傘下に加えたことで、同社が持つ小規模なIoTビジネスの事例や実績が多く加わることとなる。それゆえ従来より多くの事例を顧客に提示し、幅広い提案をすることで、顧客に安心感を与えられるようになるわけだ。

この点は、特に同業の大手通信事業者と比べた場合の大きな優位点となると考えられる。大手携帯各社はM2Mの時代からIoT関連ビジネスを手掛けているが、その多くはやはりKDDI同様、大企業相手のものが主体だ。だがKDDIはソラコムの活用で、より小規模のビジネスに適した事例の提示とサービスの提案ができることから、一層幅広い顧客を獲得できるという点でも優位性があるといえよう。

とはいえ最近では通信事業者だけでなく、メーカーやソリューション事業者など、多くの企業がIoTプラットフォームの提供を打ち出すなど、この分野での競争は日増しに激しくなってきている。KDDIが優位性を確保し続け、IoTビジネスを一層拡大させるためには、さらに1歩先の手を打ち続けていく必要があるといえそうだ。

IoT関連プラットフォームを手掛ける企業は増えており、今年7月にはNECパーソナルコンピュータらがIoTオープンイノベーションプラットフォーム「plusbenlly」を開始している
CESで大注目の「折り曲げられるスマホ」、普及の見込みは?

CESで大注目の「折り曲げられるスマホ」、普及の見込みは?

2019.01.18

中国メーカーが自在に折り曲げられるスマホを実現

「大画面×コンパクト」を両立する夢のデバイス、実用性は?

端末の魅力を引き出すアプリ登場が普及のカギか

米ラスベガスで開催された世界最大級の家電見本市「CES 2019」では、2019年のトレンドを先取りする新ガジェットが一堂に会した。その中でも一際大きな注目を浴びたのが「折り曲げられるスマホ」だ。商品化にこぎ着けたのは世界初という。

折り曲げられるスマホ「FlexPai」

スマホの画面サイズが大型化を続ける中、iPhone SEのような小型スマホを求める声は依然として多い。そこで登場した折り曲げられるスマホは、「大画面」と「コンパクト」を両立する夢のデバイスに見える。果たして普及の可能性はあるだろうか。

自在に折り曲げられるスマホ、中国メーカーが実現

折りたためる2画面のスマホというアイデア自体は、実はそれほど目新しいものではない。NTTドコモとZTEが共同開発した「M Z-01K」などは、現行モデルとして国内で販売中だ。

だが、従来の2画面スマホはヒンジを用いて2つの画面をつなげたものに過ぎなかった。その後、液晶とは異なる特性を持つ有機ELが登場したことで、ディスプレイを紙のように自在に折り曲げられることも夢ではなくなった。

有機ELの「曲げに強い」という特性は、多くのスマホに活用されている。サムスン電子のGalaxyシリーズが画面端を曲面にしたスマホを発売後、ソニーモバイルシャープもこの形状を採用している。

これを推し進め、開くとタブレットのような大画面、2つに折り曲げるとスマホサイズという端末の可能性が見えてきた。そして2018年10月、中国のRoyoleが、世界で初めての折り曲げられるスマホ「FlexPai」を商品化したのだ。

中国Royoleのブース。フレキシブルディスプレイを使った様々な製品が並んだ

CES 2019では韓国のLG電子が巻き取り式のテレビを発表するなど、「曲がるディスプレイ」が会場全体で話題になっていた。そうした下地もあって、Royoleの出展ブースには来場者の行列が絶えず、展示機がバッテリー切れを起こすほどの盛況となっていた。

実用性はさておき、スマホの進化の可能性を示した

FlexPaiの特徴は、開いた状態ではタブレットに近い形状になり、そこから自由に折り曲げできる点にある。従来の2画面スマホとは異なり、広げた状態でも画面の境目がないため、タブレットと同じ感覚で利用できる。

広げた状態ではタブレットのように使える

メーカーが挙げるメリットは、複数のニーズごとの端末を1台に集約できることだ。大画面が欲しい人の中には、スマホとタブレットを両方持ち歩いている人もいるだろう。だがFlexPaiなら持ち歩くのは1台で済むというわけだ。

折り曲げた状態では一般的なスマホと同じように使える

折り曲げというギミックから、耐久性に不安を覚えるものの、20万回程度の折り曲げに耐えられるという。ただ、折り曲げると厚みが出るため、スマホのようにコンパクトに持ち歩くことはまだ難しい。

アプリの対応も課題だ。FlexPaiを折り曲げた状態では「表面」と「裏面」に加え、折れ曲がった「エッジ」の3画面を利用できる。FlexPaiの魅力を引き出すには、これら3画面を活用するようなアプリの登場が待ち望まれる。

そこでRoyoleは、FlexPaiをアプリ開発者向けに1,318ドルの価格で先行販売している。まずは開発者にデバイスを手に取ってもらい、どのような活用方法が考えられるか、アイデアを募っていく段階といえる。

会場で実機を試した印象だが、現段階での折り曲げスマホは実用的とまではいえないと思えた。しかしRoyoleという会社の名前を世界に知らしめ、フレキシブルディスプレイの技術を示したという意味では、この発表は大成功を収めたといえるのだろう。

また、サムスン電子など大手スマホメーカーも折りたたみや折り曲げ端末の開発を進めており、グーグルはAndroid OSとして公式サポートを表明している。スマホの次なる進化の可能性を真っ先に示したFlexPaiを、この場の実用性で語るのはお門違いなのかもしれない。

日本車のインテリアには独創的な未来がある? 「1kg展」で感じた可能性

森口将之のカーデザイン解体新書 第12回

日本車のインテリアには独創的な未来がある? 「1kg展」で感じた可能性

2019.01.18

国内主要メーカーの内装デザイナーが集まり展示会を開催

テーマは“1kgの価値”をどこまで高められるか

実車に応用できる? 独創的な作品の数々

国内主要自動車メーカー8社のインテリア・カラーデザイナーが参加する団体「JAID」が初の作品展を開催中だ。“1kg”という重さにこだわり、最新の3Dプリンターを駆使して各社のデザイナーが生み出した作品は独創的で、会場の「GOOD DESIGN Marunouchi」(東京・丸の内)は小さな現代美術館のような雰囲気になっている。

ダイハツ工業のデザイナーが出品した「受け継がれる樹脂」という作品

雑誌の対談が契機となり生まれた「JAID」

「JAID」という名前を初めて目にした人も多いだろう。「ジャパン・オートモーティブ・インテリア・デザイナーズ」の略で、「ジャイド」と読むそうだ。

創立のきっかけとなったのが、自動車雑誌「NAVI CARS」(ナビカーズ)での対談だったと聞いて、「あの号だ!」と即座に思い浮かんだ。クルマのインテリアを特集したナビカーズの2015年7月号で、筆者も別の対談に参加させていただいていたのだ。その号に国内メーカーのインテリアデザイナーが語り合うページがあったことは記憶の片隅に残っていた。

雑誌の売れ行きが落ちているといわれて久しい。それだけに、1つの雑誌の企画からJAIDのようなコミュニティが生まれたことは、モータージャーナリズムに身を置く者として嬉しい気持ちになる。

日産自動車のデザイナーが出品した「∞ Fluff」

価値ある1kgの創造に挑んだデザイナーたち

そのJAIDが企画したのが「1kg展」だ。なぜ“1kg”にこだわるかといえば、クルマの開発に携わる人たちにとって切実な「kg単価」という指標に理由がある。

「kg単価」とは、クルマの開発で使われる値段の単位だ。インテリアデザイナーとしてはkg単価が高い、いわゆる良い素材を使いたいという気持ちは大きいだろう。快適性や安全性の追求、さらには電動化への対応、重量の削減といった視点も持ちながら素材を選んでいるはずだ。

しかし、贅を尽くしてばかりでは車両価格の上昇を招くので、妥協が必要になる。おそらくインテリアデザイナーは、このような状況で悩みながら、新しい素材や仕立て、色などを取り入れるべく、奮闘の毎日を過ごしているのだろうと想像している。

では、そういった制約がなくなったとき、デザイナーたちはこのkg単価をどこまで価値あるものに仕上げられるのだろうか。これが、今回の展示会のテーマだ。最新の3Dプリンターを駆使し、時間や空間、物質としての限界などを飛び越えた作品を独自の着眼点で製作すると同時に、広くカーインテリアデザインの魅力を伝えたい。そんなメッセージのこもった展示会なのである。

ホンダのデザイナーが出品した「風速1kg」

素材と色のコーディネートが味わえる「ハンバーガー」

会場のGOOD DESIGN Marunouchiは、2013年度から通算5回、今年度も含めてグッドデザイン賞の審査員を担当している筆者にとってはなじみ深い場所だ。ところが、「1kg展」の内覧会を訪問した時には、状況がまるで違っていた。いつもは展示物をゆったりと眺めることができる空間なのに、この日はラッシュ時の駅のようにごった返していたのだ。それだけ、インテリアデザイナーの斬新な発想に期待する人が多かったということだろう。

日産のデザイナーが出品した「4D flower」。「1kg展」に作品を持ち寄ったのは、国内大手自動車メーカー7社(ダイハツ工業、ホンダ、三菱自動車、日産自動車、スバル、スズキ、トヨタ自動車)だ

作品の中には、クルマのインテリアデザインとは関係なく、最新の3Dプリンターならではの表現能力の高さをアピールするような作品も見られた。それらを業界の枠を飛び越えた独創的な作品と捉える人もいたようだが、クルマが好きで今の仕事に携わっている(はず)の方々だからこそ、もっとインテリアにこだわって欲しかった。

ただ、クルマのインテリアとの関連性が高い作品が大半を占めていることは確かで、中には独創的な発想や興味深いアイデアも見られた。本稿では独断と偏見で、そのうちの3つを紹介していこう。

まずは、会場の入り口近くに置かれていた「CMFバーガー」だ。「CMF」とはカラー、マテリアル、フィニッシュの頭文字で、ナビカーズでの対談が行われた頃から、自動車に限らずデザイン分野でひんぱんに使われるようになってきた言葉だ。造形だけでなく色や素材、仕立てにも気を配ることで、より完成度の高いデザインが生まれるというような意味が含まれている。

「CMFバーガー」はトヨタのデザイナーが出品

この作品は、CMFのコーディネートを1kgのハンバーガーに見立てて表現したもの。レザーのバンズ、クリアレンズのトマト、加飾素材のチーズやパティ、シート素材のレタスがさまざまな色で用意してあり、好みのバーガーを作り出せる。

3つの作例では、CMFの違いでかなり雰囲気の異なるバーガーを作れることが分かった。バンズを肉抜きタイプにすると総重量が1kgを切るなど、計量化を実感できる仕掛けも盛り込んである。ディーラーが車種別にCMFハンバーガーを用意すれば、顧客は楽しみながらカラーコーディネートを試すことができるかもしれない。

ディーラーに「CMFバーガー」が置いてあったら面白いかも

インテリアをボールにした斬新な作品も

続いて紹介するのは「トランスフォームステアリング」。自動運転が実用化された未来を想定した変形機構を持つステアリングで、手動モードでは伸びて操舵できる状態となり、自動モードでは縮めて格納しておける。全てがマットブラック仕上げだが、グリップ部分、変形部分、外枠部分を別のメーカーのプリンターで製作することで、素材の違いを表現している。

トヨタのデザイナーが出品した「トランスフォームステアリング」

製作したデザイナーはステアリング機能だけを想定していたようだが、左右のグリップをねじることでアクセルやブレーキの操作ができれば、この部分だけで基本的な運転操作ができる合理性の高いインターフェイスになると思った。ペダルがなくなれば、室内レイアウトの自由度も高まりそうだ。

伸ばせば手動運転に使えるし、自動運転中は縮んだ状態で格納しておける

最後は「インテリアボール」だ。写真を見てお分かりのとおり、クルマのインテリアを構成するパーツをボール状のアートとして表現したもので、多くのパーツをまとめ上げ、世の中というフィールドにデザインを“投げ”かけているインテリアデザイナーの仕事をボールの形に込めたのだという。

「インテリアボール」はホンダのデザイナーが手掛けた

展示してあるのは1個だけだが、スポーツの世界では競技によってサイズの違うボールを使うことにも製作者は着目している。使用する材料や加工方法を変えることで、同じ1kgでもサイズや見え方の違った表現ができるそうだ。

しかしながら筆者には、これがボールではなく卵に見えた。卵から生まれる前のクルマ、そのインテリアデザインは、こうなっているのではないかと想像したのだ。同じクルマのエクステリアデザインを卵の殻で表現することで、多くの車種を球形にできれば、一風変わったミニチュアになるのではないだろうか。

JAIDが企画した1kg展の作品群は、それ自体が柔軟かつ斬新な発想から生まれているだけでなく、見ているこちらも創造力が掻き立てられるものだった。この展示会を訪れて、日本の自動車メーカーにインテリアデザインの実力者が多いことに感心するとともに、メーカーには、この実力を引き出して製品に結び付ける能力が求められていることを教えられた。

1kg展の会期は1月25日まで。入場は無料だ。時間に余裕のある方は、一度訪れてみてはいかがだろうか。