文系でもAI開発できる? ソニーが「Neural Network Console」を無償公開

文系でもAI開発できる? ソニーが「Neural Network Console」を無償公開

2017.08.18

ソニーとソニーネットワークコミュニケーションズは8月17日、AIを実現するためのディープラーニングのプログラムを生成できる統合開発環境「Neural Network Console」を無償公開した

統合開発環境は、直感的に操作できるGUIベースでニューラルネットワークの設計・学習・評価が可能になる。ソニーは6月に、ディープラーニング開発のためのコアライブラリ「Neural Network Libraries」をオープンソース化(OSS)している。

Neural Network Console

ソニー社内で2015年から利用しているConsole

Librariesは、同社が2000年以前から行っていた「機械学習」の研究開発に端を発し、2010年以降のディープラーニングの研究開発で構築した第3世代コアライブラリとなる。一方のConsoleは、ライブラリが直接コードを書く必要があるのに対し、一般的なアプリケーションと同様にマウス操作とパラメーターの調整のみでディープラーニングの生成が可能になる。

同じようにGUIベースでディープラーニングを用いたプログラムを生成できるNVIDIAの「NVIDIA DIGITS」やカリフォルニア大学の「Caffe」なども存在するが、ソニー R&Dプラットフォーム システム研究開発本部 AIコア技術開発部 マシンラーニングリサーチエンジニア 成平 拓也氏によると「それらは元々設計されているニューラルネットワークモデルに対してプログラミングする必要があるのに対し、そもそもニューラルネットワークの設計自体を簡単にGUIベースで設計できるメリットがある」という。

そのため、直接コードを書くことのないプロダクトマネージャーのようなエンジニアであっても、自らの手でディープラーニングを試すことが出来る。成平氏によれば、2015年より社内で利用しているConsoleの実績として、プロダクトマネージャーであっても1~2カ月である程度のプログラムを作れるようになったという。中には文系社員もいたとのことで、「GUIベースでプログラムを作れる大きなメリット」(成平氏)としていた。

Neural Network Consoleの実行画面。右の「9」を判定する画面では、9ではない文字が0(9ではない)と判定されていることがわかる

首振り、文字、不動産価格を識別

ソニー社内における利用方法としては「Xperia Earにおける首振り動作の検知」や「電子ペーパー端末『DPT-RP1』の"マーク"認識」「ソニー不動産の『不動産価格推定エンジン』」への応用がある。

Xperia Ear

Xperia Earはイヤホンが"アシスタント"となってスマートフォンを出さずにLINEの読み上げなどを行ってくれるスマートイヤホンだ。Bluetoothでスマホと接続しているため、発話ベースで操作を行うと周囲の人間に影響が及ぶ。そこでソニーはEarに加速度センサーを搭載し、首の縦振り、横振りを検知して「はい」「いいえ」の判断を行うようにした。例えば「LINEで◯◯さんからメッセージが来ました。読み上げますか?」といったガイダンスに対して首を振るイメージだ。

ソニーは加速度センサーによる数値の変化に対して、ライブラリを活用している。人によって異なる微細な首の振り方の違いは、単なる縦軸、横軸の変化だけでは判別できないため、ディープラーニングを応用した形だ。残念ながら、「学習済みモデル」をスマートフォンアプリに組み込んでいるため、IoTで期待されている「エッジデバイスでディープラーニングの実行」といったことは実現できていない。

一方の電子ペーパー端末における応用では、「*(アスタリスク)」や「☆」といったマークを書き込むことで、該当ページを素早く呼び出せる。こちらも学習済みモデルを利用しているが、デバイスがやや特殊だ。IoT向けの省電力CPUを利用しており、通信機能を切れば最長3週間、通信機能オンでも最長1週間という長寿命が売りになる。

電子ペーパー端末『DPT-RP1』に書き込まれたマークを学習済みモデルで判定する

そのため、ディープラーニングのプログラムも負荷をあまりかけずに、なおかつ精度高くマークを認識する必要がある。そこで大きな意味を持つのがConsoleが持つ「構造自動探索」の機能だ。計算試行回数と精度のチューニングを自動的に行うことで、作業者が細かいパラメーターの変更をせずとも、ソフトウェアがバランスの取れた「認識器」の構成を導き出してくれる。

最後の「不動産価格推定エンジン」は、最寄り駅や徒歩時間、築年数、広さ、方角などの諸条件から、物件の推定不動産鑑定価格を導き出す。担当者によれば、これもConsoleの構造自動探索機能を活用してチューニングしたとのこと。前述の成平氏は、「ある程度構造を決めた上で最後のチューニングに構造自動探索を使うことが今はベストだと思う」と語っていたが、担当者は「現状の構造自動探索であっても、ある程度の認識器を配置しておけば、高い精度のチューニングを行ってくれる認識です」と話していた。

不動産価格推定エンジンもディープラーニングを応用
ソニー R&Dプラットフォーム システム研究開発本部 AIコア技術開発部 マシンラーニングリサーチエンジニア 成平 拓也氏
畳み込みニューラルネットワークで飛躍的な進化を遂げたコンピューターの認識性能

ディープラーニングは、人間の脳を模して「ニューロン」を重ねることで認識精度を高めてきた。特に2010年代の「畳み込みニューラルネットワーク」をベースとした技術革新は、年率50%の改善という驚異的な認識性能を記録し、人間の認識誤差を超えて正確なものとなってきた。

「さまざまな作業がコンピューターによって自動化される。一説にはGDPの10~20%に匹敵する市場規模を持つことになり、その応用範囲は自動車や農業、製造業、小売業など幅広い。私たちは2000年以前の機械学習の知見を始め、開発者向けソフトウェアを充実させてきた。AI市場とIoTの組み合わせは、それぞれの産業ごとに語られがちだが、その裏には『認識エンジン』や『データセット』『クラウド』『プロセッサ』など共通した基盤技術がある。その開発用ソフトウェアを提供することで、産業の発展に貢献したい」(ソニー R&Dプラットフォーム システム研究開発本部 AIコア技術開発部 シニアマシンラーニングリサーチャー 小林 由幸氏)

ただし、この分野では、Googleが2015年にOSS化した「TensorFlow」や、カリフォルニア大学のCaffe、AmazonのDSSTNE、国内でもPreferred NetworksのChainerといったディープラーニング ライブラリが登場している。これらにどう対抗していくのか問われると、小林氏は「Consoleでさまざまな産業に貢献していきたいとうのが最大の趣旨」と答えた。

ソニーグループだけではせっかくのライブラリも応用範囲が限られる。一方で「IoT」はあまたの産業で活用できる可能性があるため、研究者や開発者にどんどん触ってもらい、応用・活用事例を広めていきたいというわけだ。Consoleはディープラーニングのプログラム開発の敷居を引き下げることで、誰もがディープラーニングに触れられる環境を構築するという役割を担っている。

もちろん、「ディープラーニングの技術がありながらも、グループとしてあまりアピールしてこなかった。IoTに不可欠なディープラーニングの技術を公開することで、周り巡って人材獲得などに繋げたい」(ソニーネットワークコミュニケーションズ IoT事業部門 原山 真樹氏)という狙いもあるという。

ソニー R&Dプラットフォーム システム研究開発本部 AIコア技術開発部 シニアマシンラーニングリサーチャー 小林 由幸氏
ソニーネットワークコミュニケーションズ IoT事業部門 原山 真樹氏

6月のライブラリ公開から少なくとも1500名程度の研究者・開発者が触れたとソニーは語る。ただしソフトウェアの改善要望などはフォームのみ、海外への周知は「学会などで発表したいという思いはある」(原山氏)などにとどまる。もちろん「コミュニティ作りは完全に巻き込めていないと思っている。今回の事例などを含めて、セミナー開催など、情報を公開していきたい」(成平氏)と課題意識はある。

OSSはコミュニティの「互助会」的な役割が大きな力を持つだけに、早急な体制作りが求められそうだ。

携帯3社、「2年縛り」の解約月を3か月に延長へ

携帯3社、「2年縛り」の解約月を3か月に延長へ

2019.01.17

携帯電話の「2年縛り」、解約期間が2か月から3か月に延長

契約期間の最後の月(24か月目)での解約金が不要に

携帯電話3社(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク)は、2年間の利用を条件に基本料金を割り引く「2年縛り」契約について、契約解除料がかからない更新期間を2か月から3か月に延長すると発表した。

これによって、従来の25か月目、26か月目に加え、新たに契約期間の最後の月(24か月目)でも、解約金の約1万円を支払う必要なく、契約を解除できるようになる。変更日は2019年3月1日から。

契約解除料の免除期間に、「24か月目」が追加される。例えば、2019年3月に契約期間満了月を迎えるの2年契約のユーザーは、2019年3~5月が契約更新期間になる (ソフトバンクニュースリリース)

1月16日にKDDI(au)とNTTドコモが、遅れて17日にソフトバンクが同様の内容を発表。17日に行われた第6回の有識者会議「モバイル市場の競争環境に関する研究会」に合わせて、携帯各社の発表が揃う形になった。

2018年8月、菅官房長官が携帯電話料金の値下げに言及して以降、携帯電話各社は、通信料金と端末代金を完全分離した「分離プラン」の導入や、4年間の割賦を前提とした買い方プログラムの見直しなど、各種料金プランの変更を繰り返していた。

2019年には新規参入の楽天、2〜4割程度料金プランを値下げする方針を明言したNTTドコモによる新料金プランの発表が控えている。今後の携帯業界の動向にも注目したい。

「eBASEBALL」の初代覇者が決定! 定番プロリーグとして定着なるか

「eBASEBALL」の初代覇者が決定! 定番プロリーグとして定着なるか

2019.01.17

「eBASEBALL」で初代王者を決めるe日本シリーズが開催された

頂点を争ったのは、埼玉西武ライオンズと横浜DeNAベイスターズ

はたして“もう1つのプロ野球”で頂点に輝いたのは?

1月12日、東京ビッグサイトTFT HALL 500にて、「eBASEBALL パワプロ・プロリーグ2018」のe日本シリーズが開催された。頂点を争ったのは、埼玉西武ライオンズと横浜DeNAベイスターズ。はたして初代王者に輝いたのは、どちらのチームか。

3カ月間の戦いの末、頂点を争う切符を勝ち取った2チーム

「eBASEBALL」とは、野球ゲーム『実況パワフルプロ野球 2018(パワプロ)』を使用した、日本野球機構(NPB)とコナミデジタルエンタテインメント(KONAMI)が共同で開催するプロリーグだ。

2018年7月より行われたオンライン予選、西日本、東日本選考会を経て、9月末に実際のプロ野球球団による「eドラフト会議」を実施。ドラフトで指名された選手は、プロゲーマーとして各球団に所属する形になった。

11月からは実際のプロ野球のペナントレースのように、セ・リーグ、パ・リーグに分かれて「eペナントレース」がスタート。そして12月に行われた、eペナントレース上位チームによる「eリーグ代表決定戦」によって、パ・リーグの埼玉西武ライオンズと、セ・リーグの横浜DeNAベイスターズが、e日本シリーズへの切符を手にした。

パ・リーグ代表の埼玉西武ライオンズは、eペナントレースを13勝2敗の圧倒的な強さで勝ち抜き、eリーグ代表決定戦でも危なげなく、代表権を獲得。対するセ・リーグ代表の横浜DeNAベイスターズは、キャプテンであるじゃむ~選手のデータを活かした戦術と強力打線、そして巧みな投球術でeリーグ代表権をもぎ取った。

埼玉西武ライオンズのなたでここ選手(写真左)、BOW川選手(写真中)、ミリオン選手(写真右)
横浜DeNAベイスターズのヒデナガトモ選手(写真左)、じゃむ~選手(写真中)、AO選手(写真右)
会場は超満員。立ち見席も出るほどの人気ぶりで、まさに日本一を決定するのに相応しい舞台となった

一発勝負の決勝戦! 最後に笑うのは……?

e日本シリーズでは、各チーム3名による3イニング交代制の試合を1戦だけ行う。そこで勝利したチームがeBASEBALL パワプロ・プロリーグの初代チャンピオンになるわけだ。

『パワプロ』でお馴染みの選手の調子発表

選手の調子を見ると、埼玉西武ライオンズは、主力に不調の選手がおらず実力を存分に発揮できそうなラインアップ。横浜DeNAベイスターズは主砲筒香の好調が嬉しいものの、桑原、ソトの不調が厳しい。どちらかというと調子具合は埼玉西武ライオンズが優位に見られた。

さぁ、いよいよプレイボール。まず1人目、埼玉西武ライオンズはミリオン選手、横浜DeNAベイスターズはヒデナガトモ選手がコントローラーを握る。奇しくも、ペナントレースで最多奪三振のタイトルを獲得した2人の対戦となった。

そのため、激しい投手戦が繰り広げられたが、3回裏に均衡が破られる。豪打を誇る埼玉西武ライオンズとしては珍しいスクイズで1点を先制すると、そこから怒濤の連打で計5点をもぎ取り、序盤にして埼玉西武ライオンズが大量リードを得た。

スクイズ、スチールと小技も冴え、一気に5点を奪うミリオン選手
センターフライの捕球ミスやスクイズの打者をアウトにできなかったなど、ミスが出てしまったヒデナガトモ選手

2人目は埼玉西武ライオンズがBOW川選手、横浜DeNAベイスターズがじゃむ~選手と、キャプテン対決。じゃむ~選手が2点を返すも、BOW川選手が1点を追加し、スコア「西武 6-2 DeNA」で最終プレイヤーにバトンが渡された。

埼玉西武ライオンズのキャプテンを務めるBOW川選手
横浜DeNAベイスターズの軍師ことじゃむ~選手

最後は、ペナントレースで急成長した埼玉西武ライオンズのなたでここ選手と、横浜DeNAベイスターズ無敗のエースAO選手の対戦となった。

最優秀防御率のタイトルを獲得し、eペナントレースでの失点はわずか3点と脅威の安定感を持つAO選手は、e日本シリーズでもその実力を発揮。打撃3冠を獲得したなたでここ選手をみごとに完封した。しかしながら、3イニングでは1点を返すのがやっとで、最終スコアは「6対3」。埼玉西武ライオンズが優勝し、e日本シリーズを制した。

今回の大会で急成長したなたでここ選手
横浜DeNAベイスターズのエースとしてチームを牽引したAO選手
ペナントレースから実況を担当した清水久嗣アナはe日本シリーズの実況も担当
解説を務めた元ヤクルトスワローズ監督の真中満氏
同じく解説を務めた元中日ドラゴンズ監督の谷繁元信氏
ゲーム解説を務めるぶんた氏
パワプロ・プロリーグ初代チャンピオンの埼玉西武ライオンズ

埼玉西武ライオンズも横浜DeNAベイスターズも、打撃、特に本塁打に期待できる選手が揃っており、その打撃力で勝ち進んでいたなかで、e日本シリーズではホームランが「ゼロ」という、頂上決戦に相応しい緊迫感のある試合だったといえよう。

e日本シリーズでは博多激獅会も応援に駆けつけ、プロ野球さながらの応援が飛び交った

試合終了後は、優勝の表彰とともに、各個人タイトルの表彰も行われたので、その様子も紹介しよう。パ・リーグでは、首位打者、本塁打王、打点王、最優秀防御率の4冠を埼玉西武ライオンズのなたでここ選手が獲得。最多奪三振は埼玉西武ライオンズのミリオン選手が獲得した。

また、セ・リーグでは、首位打者と本塁打王の2冠を広島東洋カープのカイ選手、打点王と最優秀防御率の2冠を横浜DeNAベイスターズのAO選手、最多奪三振を横浜DeNAベイスターズのヒデナガトモ選手が獲得。そして、MVPには、4冠獲得のなたでここ選手が選出された。

パ・リーグの最多奪三振を獲得したミリオン選手
セ・リーグの首位打者と本塁打王を獲得したカイ選手
セ・リーグの打点王と最優秀防御率の2冠を獲得したAO選手
セ・リーグの最多奪三振を獲得したヒデナガトモ選手
パ・リーグの首位打者、打点王、本塁打王、最優秀防御率の4冠、そしてMVPを獲得したなたでここ選手
e日本シリーズでは12球団のマスコットがそろい踏み。スポンサーであるSMBCのキャラクター「ミドすけ」も登場した

eBASEBALLは試合を重ねるごとに盛り上がりを見せ、決勝の舞台でもあるe日本シリーズでは立ち見が出るほど多くのファンが駆けつけた。プロ野球ファンにとって、オフシーズン時期の楽しみの1つとして、eBASEBALLが定着しそうな気配も感じる。

最後にNPB(日本プロ野球機構)コミッショナーの斎藤惇氏による締めの挨拶にて、「eBASEBALL パワプロ・プロリーグ 2019」の開催も発表された。来シーズン、さらなる飛躍と盛り上がりに期待したい。