メルカリが推し進めるAI導入、ブランド品専用アプリで査定可能に

メルカリが推し進めるAI導入、ブランド品専用アプリで査定可能に

2017.08.22

メルカリ メゾンズ

メルカリのグループ会社のソウゾウは8月21日、「メルカリ メゾンズ」のiOS・Androidアプリを提供すると発表した。メルカリ メゾンズは、ブランド品に特化した査定付きのフリマアプリで、売却価格の相場を自動査定できる。

姉妹アプリを拡充するメルカリ

本家「メルカリ」は流通額が月間100億円を超え、出品数は1日100万品以上に及ぶ。日本で5000万ダウンロード、米国でも2500万ダウンロードを超え、3月にはイギリスでもサービスを開始した。同社が従来のオークションサイトと異なり、急伸した理由は2つある。

オークション形式と異なり、メルカリでは販売希望価格のもとに個別の価格交渉を行い、簡単に販売できる点。時間制限などがなく、出品工数も(かつての)オークションサイトよりも短いステップで出品することができた。もう1点は、決済フローにメルカリが立ち入り、出品者と購入者の"不安"を取り除いた点。メルカリが一時的に売上金を預かることで、出品者は代金未払いの可能性がなくなり、購入者にとっても商品の不備があれば返品・返金が可能となる。

一方で、子会社のソウゾウは、メルカリのアイデンティティの「C2C」をさらに細かく定義。まず2016年3月に地域コミュニティアプリ「メルカリ アッテ」をリリース。地域における商品やサービスの売買にフォーカスしており、500万ダウンロードを突破している。また、今年5月には本やCD・DVDなどのエンタメ商品に特化した「メルカリ カウル」をリリースしている。

AIでブランド査定

今回リリースしたメゾンズは、メルカリ取引アイテムの4割を占めるファッションのうちブランド品にフォーカスしたもので、メインターゲットを35歳以上の女性に設定。ブランド名はリセールバリューがあるため、業者を介在しないC2C取引によって販売者が受け取る利益を最大化できる。しかし、バリューがある裏返しとして「真贋鑑定」「価格相場」「正確な商品カテゴリの選定」など、商品を取引する上でいくつかのネックがあった。

これらの課題を解決するため、メゾンズではAIなどを用いて、商品カテゴリ判定と推定市場価格の査定などを行う。AIによるブランド名などの推定精度は、現時点で9割を超える。現時点で写真撮影による分類が可能なブランドはシャネルとルイ・ヴィトンで、商品はバッグ・財布に限られるが、9月にエルメスやコーチなど5ブランドを追加する予定だ。

また、メルカリでも提供している偽ブランド補償によって、万が一偽物の商品を購入した場合はメルカリが補償するという。現在メルカリでは10万円を超える商品の補償事案が月に複数件発生しているとしており、これらと同様にメゾンズでも対応するという。

記者説明会に登壇したソウゾウ 執行役員の原田 大作氏は、もともと「スマオク」というオークションサービスを提供していた。メゾンズと同様にブランド品に特化したサービスだったが「メルカリのパワーに圧倒されていた」(原田氏)こともあり、今年2月にM&Aでメルカリ傘下となった。

スマオクにおける課題は、メルカリとのマーケティング力の格差に加え「システムが古いものを使っていたため、サービスの成長にインフラがついていかず、障害が起きてしまった」(原田氏)。AWSからGoogleのGCPにインフラを切り替え、開発言語もGo言語に変更したことで「開発スピードが格段に上がった」(同)。

スマオクで追求したブランド品への特化はそのままに「メルカリからの送客を含め、ブランド力を活かしてまだ質屋さんなどに出しているアナログなユーザーにも訴求できると考えている」(原田氏)。メルカリ メゾンズ上で、今後3年以内に年間1200億円の流通高を目指すという。

一方で、メルカリで思い起こされるのは4月に起きた「現金売買騒動」だろう。メルカリ上で現金や、現金を連想させる商品が販売され、マネー・ロンダリングに繋がるとして大きく報道された。ブランド品は取引額が大きく、プラットフォームの信用力がものを言うこともあり、サービスリリースに合わせて「偽ブランド品撲滅への5つの取り組み」をWebサイトで公開した。

具体的には

  • ブランド権利者の協力による出品パトロール

  • カスタマーサポートにプロ鑑定士が在籍、真贋鑑定

  • AIなどによる疑わしい出品の排除

  • 捜査機関や官公庁との連携

  • 偽ブランド品補償

を行っている。メルカリでカスタマーサポート担当執行役員を務める山田 和弘氏によれば、現在は東京都仙台、福岡で250名のカスタマーサポート要員が在籍しており、1~2年で倍の500名体制に拡充する予定だという。

サポート要員の多くは、出品者と購入者の商品状態の認識齟齬を埋める対応がメインで、出品時の違反商品、例えば現金出品などは巡回パトロールに加えてAIも活用し始めているという。特に「ゲームアカウント売買は、ほとんど人の手を介さずに検知できている」(山田氏)とのことで、今後は他の分野でもAI化をさらに進めていくとしている。

アプリ跨ぎをAIで解決?

ソウゾウで代表取締役社長を務める松本 龍祐氏は、今後も機能特化型のC2Cや、サービスの個人間取引を広げていくと話す。

「アプリを増やしつつ、ユーザーの利便性を損なわずにIDを共通化するほか、ユーザーの信用情報となる評価の外部提供、決済システムの共用などを進めていく」(松本氏)

松本氏はC2Cそのものが「プラットフォームの立ち上げに時間がかかる」ことから、メルカリの基盤を活かしたサービスを展開したい企業があれば積極的に連携、あるいはメルカリファンドを通した出資などを行っていくと語る。

すでにファンドからは語学レッスンサービス「フラミンゴ」などへの出資があり、基盤を活用しているという。メゾンズについても、前述のスマオクをメルカリ風に衣替えしたものといえるが、そこにメルカリIDによるログインや、商品のメルカリ掲載といった高い親和性を売りにしている。

こうしたアプリを個別にリリースすることで、ターゲットユーザーへの訴求は強くなるものの、アプリインストールへの障壁が生まれる。この点について松本氏は、すでにメルカリアプリで行っているアッテやカウルへの送客を、AIなどを活用してユーザーがあまり意識せずにそれぞれのアプリを利用できるようにしたいと語る。現在でも、掲載後時間がたった商品をアッテで掲載、エンタメ商品であればターゲット性の高いカウルで掲載するようにユーザーへ促すことで、実際に取引確率が上がっているという。

カスタマーサポートから他アプリへの送客、商品カテゴリの判断までAIの活用を進めるメルカリの取り組みがうまく行けば、一つのモデルケースとなりそうだ。

(左から)ソウゾウ 代表取締役社長 松本 龍祐氏、同社 執行役員 原田 大作氏
新AQUOSは“片手ポケット族”狙う iPhone不在の「小型スマホ」市場に勝機

新AQUOSは“片手ポケット族”狙う iPhone不在の「小型スマホ」市場に勝機

2018.11.16

シャープが新スマホ「AQUOS R2 compact」を発表

大画面化の波に逆らい、「片手ポケット族」が増加傾向に

iPhone不在の「小型スマホ」市場を狙う

11月15日、シャープがAndroidスマートフォンの新製品「AQUOS R2 compact」を発表した。名前に「compact」と付いている通り、最近のスマホ市場では選択肢が減っている小型モデルであることが特徴だ。

小型スマホの需要を取り込む「AQUOS R2 compact」

コンパクトな見た目とは裏腹に、中身にはハイエンドである「AQUOS R」シリーズのスペックを詰め込んでいる。世界的にスマホの大画面化がトレンドとなっている中で、あえて時代に逆行するシャープの狙いはどこにあるのだろうか。

スマホを片手で持ち、ポケットに入れて使う人が増加

世界のスマホ市場では、6.5インチの「iPhone XS Max」に代表される大画面モデルが人気を博している。だが、日本では通勤電車などの利用シーンにおいて、片手で使う人が多いといわれている。シャープによれば、スマホを片手で持つ人は64% 、服のポケットに入れて持ち運ぶ人は49% に達しており、その割合は上昇傾向にあるという。

片手で持ち、ポケットに入れて持ち歩く「片手ポケット族」が多いという

その背景として、シャープはスマホの「インフラ化」を指摘する。SNSやコンテンツを楽しむだけでなく、サービスの利用やモバイル決済にスマホは欠かせない存在になっており、日常生活でスマホを取り出す場面が増えている。

AQUOS R2 compactは、日本人の手のサイズを念頭に置いた「横幅64mm」のボディに、できるだけ高性能な部品を詰め込んだハイエンドコンパクト機になっている。プロセッサは最新のSnapdragon 845、メモリは4GBを搭載しているが、これは大画面モデルのAQUOS R2と同等だ。

ポケットに入れやすいサイズに高性能を詰め込んだ

スマホ本体を小型化する一方、画面は前モデルの「AQUOS R compact」より大型化した。このためにシャープは画面の上下に切り欠き(ノッチ)を持つIGZOディスプレイを開発。インカメラと指紋センサを搭載しつつ、表示領域を上下に広げてきた。

前モデル(左)と比べて新モデル(右)は表示領域が広がった

「iPhone不在」の小型スマホ市場を直撃

シャープによれば、小型スマホを求める人は全体の3割程度という。スマホ市場では残りの7割に向けた大画面モデルが幅を利かせており、最新のiPhoneでは6.5インチのXS Maxに加え、一般向けモデルの「iPhone XR」も6.1インチとなっている。

一方、小型モデルとして根強い人気のあった「iPhone SE」は、後継モデルが出ないまま販売が終了。中古市場では価格が上昇する騒ぎもあった。

日本で最大シェアを誇るiPhoneだが、小型スマホ市場では存在感が薄れつつある。ソニーモバイルはXperiaシリーズのコンパクト機を投入しているが、2018年夏モデルの「Xperia XZ2 Compact」と比較して、シャープ機は画面の大きさ、薄さ、軽さの面で圧倒している。

中国メーカーとして日本でも勢いを伸ばすファーウェイ、OPPOも世界市場において大画面化競争を繰り広げており、小型モデルに積極的な動きは見せていない。この点もシャープにとって有利に働いている状況だ。

また、AQUOS R2 compactは顔認証と指紋認証の両方に対応しているのも特徴。これは、iPhoneにもXperiaにもない機能だ。スマホをポケットから取り出し、顔の前に持ち上げるだけでロックを解除できる顔認証だが、卓上に置いている場合は使いにくい。だが指紋センサがあれば、指を置くだけで済む。

顔認証に加えて指紋認証にも対応

スマホの端末メーカーの多くはグローバル市場に目を向け、大画面化のトレンドを追いがちだ。だが、シャープは国内の需要をしっかりとらえた上で、日本のユーザーに刺さる製品作りを続けている。

依然としてiPhone人気が続いている中で、限られた市場であっても「不在」のチャンスをタイムリーに活かし、ユーザーを奪還する。国内に目配りできるシャープならではの戦い方に注目したい。

大画面化するスマートフォン 使いやすさの試行錯誤は縦長から折り畳みへ

知って納得、ケータイ業界の"なぜ" 第23回

大画面化するスマートフォン 使いやすさの試行錯誤は縦長から折り畳みへ

2018.11.16

海外メーカーの台頭で日本にも大画面化の波が到来

大画面化と使いやすさの両立、各社の工夫の歴史

縦長スマホにとって代わるのは「折り畳み」スマホか

スマートフォンのディスプレイは年々大型化が進んでおり、かつては「大きすぎる」と言われた5インチディスプレイが、今や小さい部類に入ってしまうほどだ。一方で使いやすさを維持しながらディスプレイの大画面化を実現するため、メーカー各社はさまざまな工夫を重ねている。スマートフォンのディスプレイサイズはなぜ大きくなり、今後はどのように変化していくのだろうか。

海外メーカーの台頭で日本でも大画面化に拍車

スマートフォンにとってディスプレイは、単に情報を表示するだけでなく、タッチして操作するインタフェースも兼ねている非常に重要な存在だ。そのスマートフォンのディスプレイが、ここ10年ほどで最も大きく変化した要素が「サイズ」である。

どれくらい大きくなったのかというのは、新旧のスマートフォンのディスプレイサイズを比べてみれば一目瞭然だ。日本で最初に発売されたiPhoneである「iPhone 3G」のディスプレイサイズは3.5インチだった。一方、「iPhone X」や「iPhone XS」、「iPhone XR」といった最近のiPhoneのディスプレイサイズは6インチ級があたりまえ。1.7倍に以上に拡大しているのだ。

今やスマートフォンのディスプレイサイズは5インチ以上が一般的で、6インチも珍しくなくなった。画像の「iPhone X」のディスプレイサイズは5.85インチだ

さらに「iPhone XS Max」は6.5インチもあるし、他の大手メーカーでもサムスン電子の「Galaxy S9+」やファーウェイの「HUAWEI P20 Pro」のように、6インチを超えるディスプレイを採用した機種は増えている。なぜ、これほどまでにディスプレイサイズが大きくなったのかというと、それは大画面が欲しいというユーザーが多いため。スマートフォンの性能向上によって動画やコミック、ゲームなどのコンテンツを楽しむ人が増えていることから、ユーザーのニーズに応えるかたちで、大画面が求められるようになったといえよう。

だが日本国内の事情に目を向けてみると、公共交通機関での通勤・通学が多いのに加え、片手で文字入力ができる「フリック入力」が広く普及したこともあり、片手でスマートフォンを操作する傾向が強く、実は大画面に対するニーズはそこまで大きい訳ではない。実際日本では、4インチディスプレイの「iPhone SE」が人気を保っていたし、シャープの「AQUOS R Compact」やソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia XZ2 Compact」などのように、4インチ台のディスプレイを採用したコンパクトなスマートフォンも投入されている。

2018年の夏モデルとして販売されている「Xperia XZ2 Compact」は4.9インチと、最近では珍しくなった4インチ台のディスプレイを採用したコンパクトモデルだ

にもかかわらず、日本でも大画面のスマートフォンが増えているのはなぜか。まずは国内のスマートフォンメーカーが減少したことで、市場に海外メーカー製のスマートフォンが増えているためだ。海外では移動手段の違いに加え、文字入力システムの違いからスマートフォンを両手で持って操作する機会も多く、片手操作に対するこだわりが弱いのだ。

新興国などでも、ディスプレイサイズが大きいほど人気が出る傾向が目立ち、大画面に対するニーズが強いのである。海外製スマートフォンが日本市場に入り込みやすくなったことが、日本国内においてもスマートフォンの大画面化を進めたといえる。

縦長スマホの元祖はアップルだった?

とはいえ、スマートフォンが大画面化するに従って、本体の横幅がひろがり、さすがに海外のユーザーからも「持ちづらい」という声が増えてきたようだ。そこで近年急速に増えているのが、従来の16:9比率ではなく、18:9や19:9といった縦長比率のディスプレイの採用である。

持ちづらさに影響する横幅をこれ以上広げることなく、ディスプレイを縦に伸ばすことで大画面化しようとしたのだ。この流れをけん引したのは韓国メーカーで、2017年にはLGエレクトロニクスが「LG G6」(日本未発売)、サムスン電子が「Galaxy S8/S8+」といったように、縦長比率のディスプレイを採用した機種を積極的に投入した。

2017年発売の「Galaxy S8」「Galaxy S8+」は、18.9:9と縦長比率の有機ELディスプレイ「インフィニティディスプレイ」を採用したことで大きな話題となった

この韓国の両メーカーとも、グループ内にディスプレイデバイスを開発する企業を持っている。それゆえ縦長比率のディスプレイが生み出されたのには、実は大画面化だけが目的ではない。自社のスマートフォンに新しいディスプレイをいち早く搭載し、トレンドを作り上げることで、グループ企業のディスプレイデバイス販売拡大につなげる狙いもあったといえる。

だが、縦長ディスプレイで大画面化するというアイデアを真っ先に実践したのは、実はアップルである。アップルはかつてディスプレイの大画面化に消極的で、2011年発売の「iPhone 4s」までは3.5インチのサイズにこだわっていた。だが大画面化を求めるユーザーの声を受け、2012年発売の「iPhone 5」でディスプレイサイズを4インチに拡大した際に、ディスプレイの横幅はそのままに、縦に長くするという手法をとったのである。ある意味、アップルは5年前に現在のトレンドを先取りしていた、といえるかもしれない。

スマートフォンのディスプレイを縦に伸ばして大画面化するというアイデアをいち早く実践したのは、アップルの「iPhone 5」だった

しかしながら、ディスプレイを縦に伸ばして画面サイズを大きくする工夫にも、いずれ物理的な限界が来ることは目に見えている。そこで、さらなる大画面化の追求で、いま注目されているのが折り畳み式ディスプレイだ。このアイデア自体は、NTTドコモが2013年の「MEDIAS W」(NECカシオ モバイルコミュニケーションズ製)、2018年の「M」(ZTE製)で既に実現しているものだが、いずれも2枚のディスプレイを用いていたため、どうしても画面の折り目に継ぎ目が発生してしまう弱みを抱えている。

折り畳みスマートフォンとして注目されたNTTドコモの「M」は、2枚のディスプレイを用いるスタイルであるため折り畳み部分に継ぎ目が発生してしまう

だが有機ELを用いれば、ディスプレイを折り曲げられる“真の”折り畳みスマートフォンが開発できると言われており、大手スマートフォンメーカーがその開発を進めているとの観測報道も幾度となくなされている。

これは折り畳みできるという意味の「フォルダブル」スマホなどと呼ばれ、先ごろはサムスン電子が、来年発表するというフォルダブルスマホ「Galaxy F」のプロトタイプを開発者向けに見せはじめたりしている。2019年は各社から製品が登場するのではないか? との声もあるようだが、いま確実に言えることは、真の折り畳みスマートフォンがいつ、どのメーカーが、どのような形で投入するのかが、大いに注目されているということだけである。