プレミアム商品で「ポテチ飽き」を打開? 湖池屋が高級路線をとる理由

プレミアム商品で「ポテチ飽き」を打開? 湖池屋が高級路線をとる理由

2017.08.24

ここ数年、「プレミアム」の名称を冠した高付加価値商品が好調だ。スナックの市場でも、ポテトチップスの湖池屋が“高付加価値商品”を取り入れるべく、本格的に動き始めた。2017年9月4日にコンビニ、同18日にスーパーなどの一般チャネルで発売となる新商品に大きな期待をかけている。

湖池屋の商品群

出荷額24億円超の大ヒットシリーズに新商品

新たに発売されるのは、2017年2月に立ち上げた「KOIKEYA PRIDE POTATO」シリーズに連なる商品。「手揚食感 長崎平釜の塩」と「手揚食感 柚子香るぶどう山椒」の2種類だ。

同シリーズのコンセプトは、素材にこだわるほか、下ごしらえを含めた調理などをより丁寧に行い、理想のおいしさを追求するというもの。価格も150円前後(参考価格)と、既存の「ポテトチップス」シリーズより30円程度高い。しかし「高付加価値スナック」という狙いが当たり、インパクトのあるCMとあいまって、一時は供給が追いつかず、販売が休止となるほどの売れ行きを見せた。5月末までの5カ月間で出荷額は年間目標の20億円に達し、8月時点では24~25億円にのぼるという。

「KOIKEYA PRIDE POTATO」シリーズ。上段左が「長崎平釜の塩」、上段中央が「柚子香るぶどう山椒」だ

なお、供給不足については、販売が予測を大幅に上回ったことだけでなく、昨年8月、北海道を襲った台風の影響による、じゃがいもの大不作も背景にあった。とはいえ、そうした逆境にありながらも、高付加価値スナックに対する潜在ニーズはしっかりと確かめられたわけだ。今回は作付けを増やすなど供給体制を見直し、満を持して新商品を発売することになる。

湖池屋の佐藤章代表取締役社長は、「昨年の台風によるショックから、ポテトチップスの業界全体が、店頭の品揃えその他を見ても戻っていない。大きな課題を抱えながらも、スナック業界ではチャレンジャーである当社が、スナックの価値向上を目指す。市場を元に戻すだけでなく、高単価、本物志向という新しいニーズを狙っていく」と話す。

高付加価値化戦略の説明会に登壇した湖池屋の佐藤章代表取締役社長(左)と小池孝代表取締役会長

プレミアム商品登場の背景は

高付加価値商品を売り出す市場背景としては、ポテトチップスの平均売価が下落するとともに、売り上げも減少してきているというデータがあるという。つまり「安いだけでは売れない→ポテトチップスに飽きている消費者が少なからず存在する」とみることができる。一方、社会的には少子高齢化や所得の二極化、世帯あたり人数の減少、女性の社会進出による外食、中食市場の高まりといった変化がある。

これらを併せて考えると、食のプレミアム化、高価格化は必然だったと言える。現にチョコレートやアイスクリームなど、他のカテゴリではこうした改革が先行している。湖池屋としては、スナック業界のなかでいち早くプレミアム化を図り、中食やおつまみの市場へと参入する狙いもある。

じっくり時間をかけて揚げる「手揚食感」

プライドポテトについては、シリーズ1作目よりもさらにこだわりを強め、「手揚食感」というコンセプトを付け加えた。手作業でじっくりと丁寧に揚げられていた、創業当時のポテトチップスのような食感を目指したという。

マーケティング本部の柴田部長

湖池屋マーケティング本部の柴田大祐部長は、「普通のポテトチップスでは、揚げる前にでんぷんを落とすためにお湯で洗います。これに対してプライドポテトは、軽くサッと洗って高温で揚げる。そして今回の『手揚食感』は、洗わずに高温→低温→中温と火加減を変えながら、じっくり時間をかけて揚げます」と製造工程の違いを説明する。

実際に味わってみたところ、パリッとしていながらもっちりとした歯ごたえもあり、かむごとにじゃがいもそのものの味が感じられた。味つけも、素材をいかすため薄味に仕上げてある。ポテトチップスシリーズと食べ比べてみると、「手揚食感」のほうは、より大人のテイストといったところだろうか。

日本産100%をより強く訴求

そのほか、創業55周年を機に、ポテトチップスシリーズもリニューアルした。「日本産100%」を訴求するパッケージデザインに変えたほか、「うま塩」「サラダ」の2フレーバーをシリーズに加えている。

ポテトチップスシリーズもリニューアル

このことからもわかるように、ポテトチップス市場で湖池屋が強みとしているのが、創業以来の「日本産じゃがいも100%」へのこだわりだ。基本となるじゃがいもという素材を大切にしているからこそ、調理法やフレーバーへのこだわりもいきてくると言える。

同社の調査によると、消費者の88%が国産食材へのニーズを抱いており、さらに3分の2は、割高であっても国産を選ぶという。同社では今後、この88%にターゲットを絞り、「じゃがいも本来の素材の味を引き立てる」と「料理のようなおいしさの追求」を2本柱に、新商品を投入していく予定だ。

プライドポテトシリーズでは、11月に「インペリアルコンソメ」を発売予定。和牛、伊勢海老、国産帆立といった高級食材や香味野菜、白ワインでスープをとるなど、「ホテルのレストランのコンソメ」の味を目指すという。また他のシリーズについても、「スコーン」の高級ラインである「スゴーン」が好調。さらに、9月25日には「カラムーチョ」「すっぱムーチョ」の高級版として「カラムー超 濃厚ビーフ煮込みXO醤仕立て」「すっぱムー超 トリュフ香る帆立のカルパッチョ」を発売予定だ。

間近に迫るポテトチップス戦線の本格始動

そして、こうしたプレミアム商品のなかでも最高峰と言えるのが、10月に発売を予定している「KOIKEYA PRIDE POTATO 今金男しゃく 幻の芋とオホーツクの塩」である。全国の生産量の0.3%しか生産されず、市場では最高ランク価格で取引されているという希少なじゃがいもを使ったもので、価格は298円。150万袋の数量限定で全国販売される。

ブランドフルーツなどを取り入れたスイーツや飲料は、ここ数年、プレミアムブームとともに市場が拡大している。とはいえ、ブランド作物は生産量が限られ、供給体制を確保するのも難しい。

スナックというカテゴリで加工用の仕入れが可能となった背景には、産地との長年の交渉が垣間見える。「昨年の不作を受け、湖池屋はこれからも日本産100%を貫くという宣言を持って、産地を回った」(小池孝代表取締役会長)という。また、産地にある工場では、収穫期に工場の職員も共同で作業を行うことで、人手不足を補っているそうだ。

湖池屋では、プライドポテトシリーズで短期的に50億円、長期的には100億円の収益を目指しているという。じゃがいもの収穫が始まるこの秋からが、ポテトチップス戦線の本格始動となる。湖池屋では仕込みは万全といったところだが、今後続々と投入されるプレミアム商品の価値を、消費者に感じてもらえるかが勝負の鍵を握る。

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

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○ゲームとともに振り返る“平成”という時代
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○カレー沢薫の時流漂流
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最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu