富士通が携帯電話事業を「今、売る」理由

富士通が携帯電話事業を「今、売る」理由

2017.08.24

8月22日、日本経済新聞が「富士通が携帯電話事業を売却する」と報じた。

富士通は同日午後、「他社とのアライアンスを含め様々な可能性を検討しているが、決定しているものはない」とのコメントを公開した。要は「否定ではない」わけだ。報道の通りとなれば、大手日本メーカーの中で携帯電話製造を続けるのが、ソニーとシャープ、京セラの3社にまで減ることとなる。

ではなぜ、富士通は携帯電話事業の売却を検討するのか? そして、売却によって富士通は事業全体をどう変えていくのか、考察してみよう。

富士通本体は「システムとソリューション」が本業

富士通の携帯電話事業は、日本国内で老舗の、伝統あるものという認識が広がる。ただ、携帯電話事業そのものは2016年2月に100パーセント出資の子会社「富士通コネクテッドテクノロジーズ」として分社しており、独立採算性を高めている。同時にPC事業も子会社化しており、個人向けの端末事業は「ユビキタスソリューションビジネス」として独立させていた。

富士通 代表取締役副社長/CFO 塚野 英博氏は、第1四半期決算でユビキタス事業を「先行き不透明」と語っていた
増収増益だった第1四半期のユビキタスソリューション

これは、富士通という企業のビジネス主体が、ITシステムの構築を軸にしたサービスとソリューションであることに起因する。これからは特に、IoTを含め「端末も重要だが、サービス側が存在しないと価値が生まれない」というビジネスの割合が増えていく。富士通全体としては、「個人向け端末は重要だが、それらをシンプルに訴求するビジネスと、本体のソリューション事業は分けて考えたい」という意思がある。

そもそも、日本のPC市場は法人6に個人4という比率であり、個人市場は減少傾向にある。一方、企業内システムのクライアントとしてのPCのニーズは変わらず存在しているため、法人市場は微増環境にある。双方を合わせるとトータルでは横ばい……と考えて良い。

そうした状況下において富士通は、法人・個人の双方でバランスよくシェアを維持してきた企業といっていい。だが、個人市場の伸びが落ちているうえに、法人市場ではデル・HPなどの伸びが大きい。「富士通のシステムを入れる=富士通のPCを買う」という状況はかつてのものになりつつある。

企業にとっての「端末」がPCだけでなくタブレット・IoT機器へと広がり、価値がクラウド側に集約すればするほど、「富士通のPC」を選ぶ理由は減る。特にコスト競争力の面で、海外勢は規模の経済を活かした強みを持っており、状況は決して良くない。では携帯電話はどうか?

もともと日本の携帯電話は、個人向けの製品でありつつも「携帯電話事業者」に販売する「B2B製品」としての意味合いが強い。携帯電話事業者との強いパイプを生かし、彼らのサービスや戦略に紐づいた良いものを作れば、それだけ受注が増えて販売も伸びた。

しかし、それも過去のことだ。スマートフォンが端末の中心になり、携帯電話事業者のサービスと端末の関係が希薄になると、海外勢との競争が激化した。国内スマートフォン シェアの5割をiPhoneが占める現状、ハイエンド端末のパイは減った。Android陣営の中でも、ハイエンド帯、低価格帯の双方で海外勢がライバルとなっている。

PCにおいて、そしてスマートフォンにおいても、富士通の課題は共通している。広く多くの国で販売する企業と比較して「数」が絶対的に劣るため、「価格競争力やパーツの調達力で不利になる」ということだ。

特にこの問題は、低価格製品に強く、直接的に影響してくる。しかもスマホでは、単なる安売りではなく、価格競争力がある分を品質に回して「安価だがクオリティが高い」ものにするパターンが増えている。そうした戦い方の中において、日本国内を中心にした事業戦略では、数量が稼げず、不利な点がばかりが目に留まる。

もちろん、規模の経済の話だけではない。過去には「中国などで生産する」という選択だけでコストを抑えられた。だが今は、人件費の高騰や輸送のタイムラグとコストまで考えると、「限定した数量であれば、消費地の近くで生産するほうが有利」な場合もある。特にPC事業の場合、そうした点を重視して「国内生産」のところも増えており、富士通もその考え方を採っている。

強みがあるうちに売る、という決断

しかし、スマートフォンについては、現状、部材調達力が価格と品質に与える影響が大きく、数量を出せるメーカーの有利がなかなか揺るがない。そこで、特別なパーツを調達できたり、デザインで特徴を出したりしやすい「とがったブランド力」を持つ企業だけが生き残った。ソニー・シャープ・京セラという3社の顔触れを見れば、おわかりいただけるのではないだろうか。

富士通は、PC事業と携帯電話事業、ともに売却交渉を進めている。どちらも強みがないわけではない。PCの生産力は高く評価できるし、スマートフォンにおいて「ARROWS」は国内において名の通ったブランドだ。セキュリティ保護やセンサーの活用など、得意分野もある。これらの点に魅力を感じる企業は確実に存在する。

しかし逆にいえば、「数量」「圧倒的なブランド力」という差別化要因を持てておらず、大きな改善を見込めないのもまた事実だろう。となると、強みがあるうちに売却したほうが利益につながる。売却するといっても、株式の一部を残してブランドを維持すれば、「富士通としての個人向け端末市場への道」が完全に途切れるわけではない。

富士通としては、この時期がある意味で「最後の売り時」なのである。

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Googleマップが壊れた? 3月21日以降、表示がおかしい

地図のダウンロード機能でゼンリンと決裂したか?

新しい地図は機械学習で地図データ生成という指摘も

Googleマップの表示がおかしい。3月21日頃から、Googleマップの不具合を訴える声が各所で相次いでいる。道路の表示や建物の位置が正確でなかったり、地形すら間違っている場所もある。Googleマップにいったい何が起こったのか。

地図データの提供元がゼンリンではない?

Googleマップの日本地図データはこれまで、地図データで国内大手のゼンリンから提供を受けていた。両社の契約状況は公開されていないが、少なくとも不具合が発生している現在のGoogleマップ上からは、以前までは記載されていたゼンリン社の権利表記が消え、「地図データ (C)2019 Google」へと変更されている。

Googleマップからゼンリン社の権利表記が消えた

Google社は今月のはじめ、今後「数週間以内」に、日本のGoogleマップをアップデートすると予告していた。このアップデートでは、特にダウンロード可能なオフラインマップを追加することに注目が集まっていた。オフライン環境でもダウンロード済みの地図を利用できる便利な機能だが、地図データの契約上の課題があり、日本のGoogleマップでは制限されていた機能だからだ。結局、両社は契約の課題を解決できず、ゼンリンが地図データ提供から降りてしまったことが、今回の不具合の原因と見られる。

新しい地図は使い物になるのか?

現在のGoogleマップは、Googleが新規開発した自社製の地図データを利用しているようだが、いまだに不具合が報告され続けている状態状態であり、混乱が収束する目途は見えていない。

なお、この新しい地図は、航空写真で山脈の陰部分が湖になっていたり、並木の多い道路が公園になっていたりする間違いや、ほかにも交差点に面したコンビニエンスストアの駐車場が道路と語認識されていたりすることから、航空写真をもとにした機械学習や、スマホ位置情報の移動軌跡から地図データを生成しているのではないかと指摘されている。

航空写真では山の陰になっている部分が、川と湖になってしまっている
地図では鎌倉街道から大栗橋公園を抜ける道があるが、実態はただの公園広場だ。スマホ位置情報の移動実績をもとに道と認識したか?

新しい地図の仕組みや改善の見込みについては、Google側のアナウンスを待つほかないわけだが、GoogleマップはAndroidの標準地図として利用されており、影響を受けるユーザーがあまりにも多い。他の地図サービスを駆逐して大きな影響力を持っているのだから、責任も伴うはずだ。

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ペットボトルコーヒーに対抗? キリンが目指す「午後の紅茶」

ペットボトルコーヒーに対抗? キリンが目指す「午後の紅茶」"仕事のお供"戦略

2019.03.22

「午後の紅茶」に微糖のミルクティーが登場

新CMでは無糖・微糖を中心に新しい飲用シーンを訴求

ペットボトルコーヒーに対抗? 今後の戦略は

昨年まで、ビジネスマンの仕事のお供として「ペットボトルコーヒー」に注目が集まっていたが、今年は「紅茶」が主戦場になるかもしれない。

3月26日より発売されるキリンの「キリン 午後の紅茶 ザ・マイスターズミルクティー」は、これまでの“ペットボトルのミルクティーは甘い”というイメージに反して、缶コーヒーでいちカテゴリを築いている「微糖」が特徴。また、同社が長らくカテゴリ内最大シェアを誇る「午後の紅茶 おいしい無糖」についても、あらたな消費イメージを打ち出す方針だ。

今春から「午後の紅茶」新CMに出演する新木優子さん、深田恭子さん、リリー・フランキーさん

ペットボトル紅茶飲料のトップブランドと言える「午後の紅茶」。この春から公開する新CMには、既存の紅茶飲料のイメージを覆す狙いが透けて見えた。

2つの軸で「紅茶」のイメージを変える

紅茶飲料のイメージと言えば、「午後の紅茶」の名前の由来となっている「アフタヌーンティー」(英国発祥の喫茶習慣)に象徴されるように、「女性の飲み物」であり、「時間的・金銭的余裕がある人の趣味」というところだろうか。それも紅茶という商品のひとつの側面だが、近年の消費者層のメインストリームではなくなっている。

今回、キリンが「午後の紅茶」新CMで打ち出したのは、大きく分けてふたつの飲用イメージだ。深田恭子さんが仕事で車を走らせ、駐車して一服するのに選んだのは微糖のミルクティー。一方、アーティスト然としたリリー・フランキーさんが飲んでいるのは無糖の紅茶。2本ともに「仕事のお供」としての訴求が挙げられる。

車を止め、「キリン 午後の紅茶 ザ・マイスターズミルクティー」をひとくち飲む
絵を描く合間にのどを潤すのは「午後の紅茶 おいしい無糖」

もうひとつは、おなじくリリー・フランキーさんがカレーと紅茶飲料を一緒に味わうというCM。過去には同社の無糖紅茶が「おにぎりに合う」と訴求したこともあるが、あらためて食事中の飲料として「フードペアリング」を提案する。

カレーのような香りの強い食べ物とも合わせられる点を訴求
最年少の新木優子さんは、無糖紅茶を飲むようになった自分を「大人になった」と評するCMに出演。若者への無糖紅茶訴求を担う

紅茶を、コーヒーや緑茶と並ぶカテゴリに

カフェなどでは食後の飲み物をコーヒーか紅茶から選ぶのが定番だが、ペットボトル飲料市場では状況が異なる。コーヒーに次ぐ大規模市場は緑茶飲料で、紅茶はそこから比べるとかなり小規模だ。日本全体の清涼飲料市場で見れば、そのシェアは5%以下。仕事中の飲料としてメジャーなコーヒーが14.5%、緑茶飲料が13.3%という数字を見ると、半分以下という状況となっている。

清涼飲料市場において、紅茶はコーヒー、緑茶と比べて市場が小さい

こうした市場背景を確認した上で、今後「紅茶を、コーヒーや緑茶などの無糖茶と並ぶカテゴリに成長させたい」と意欲を示したのは、午後の紅茶を担当するキリンビバレッジ マーケティング部 商品担当 部長代理の加藤麻里子氏。世界での紅茶飲料と茶葉生産量の伸び、国内紅茶市場の回復傾向を論拠に、RTD紅茶のトップブランドとして、新しい紅茶文化を創っていきたいと語った。

「午後の紅茶」ブランド全体としては、既存の定番3種は甘さを求める若年層に対して継続投資を実施。甘さから離れる20代~30代の働く女性に向け、紅茶飲料としては珍しい「微糖」の新製品「キリン 午後の紅茶 ザ・マイスターズミルクティー」を投入する。

午後の紅茶ブランドにおける年代別の主要商品マッピング

また、30代後半意以降の年代を健康意識や嗜好の変化から「糖離れ・無糖飲用層」と位置づけ、すでに市場で受け入れられている「午後の紅茶 おいしい無糖」の訴求強化を行っていく。

狙うはペットボトルコーヒーへの「対抗」ではなく…?

「2年前までコーヒーのCMをやっていたのにどのツラ下げて…というのはありますが」と茶化しながらも、自分のような「おじさん」にこそ紅茶は飲みやすいとコメントしたリリー・フランキーさん

製品ごとに異なる年齢層を狙って投入される新CM。「キリン 午後の紅茶 おいしい無糖」「キリン 午後の紅茶 ザ・マイスターズミルクティー」のCMでは、商品をことさらには誇張しない画面作りやキャスティング、出演者の自然体な演技とは裏腹に、「コーヒーから寝返っちゃおうかな」(リリー・フランキー出演「寝返り」編)、「ラテよりこっちかな」(深田恭子出演・「裏切られた」編)など、“コーヒー飲料からの転向”を示唆するようなセリフが目立つ。

働く大人がコーヒーから紅茶に「乗り換え」することを示唆するCMは、ここ2年でワーカー向けのペットボトル飲料の拡大を牽引し、ちょうど先日同ブランドから紅茶飲料を発売したサントリーの「クラフトボス」をはじめ、昨今増えているワーカー向けのコーヒーペット飲料に対する宣戦布告にも読める。だが、加藤氏にペットボトルコーヒー飲料のヒットに紅茶で対抗する構えかどうか尋ねると、決してそうではないという。

「今やひとつのカテゴリとなっているペットボトルコーヒー飲料も、複数社から新商品を展開し、協力して棚の広さを獲得した経緯があります。現状、紅茶飲料の棚は一段程度ですが、これを各社協力して2段へと増やしていきたいです」 

オフィス需要に対して、企業とコラボレーションし飲用機会を設ける試みも

また、「仕事のお供」需要を喚起する施策として、三菱地所に対して仕事中の飲料として「キリン 午後の紅茶 おいしい無糖」を提供。働き方改革推進企業とコラボレーションし、オフィスでの休息機会に手に取る飲料として配布する。今後、他の企業からオファーがあればそちらにも対応するとのこと。想定シーンに対して直接サンプリングすることで、需要の広がりを見込んでいる。

「午後の紅茶」は、日本国内の紅茶飲料としてはNo.1ブランドの地位を獲得しているだけに、紅茶飲用の文化を牽引して、先述の通りコーヒー・緑茶に並ぶ市場規模への拡大を狙っている。

昨今はスターバックスの「TEAVANA」、タリーズコーヒーの紅茶業態などが定着しており、タピオカミルクティーブームも依然続くなど、カフェ業界でも紅茶に追い風が吹いている。今後、午後の紅茶が「コーヒー党」や「緑茶党」をどれだけ引き込めるか、注目したい。

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