燃料電池車「ミライ」の拡販に布石? トヨタらが水素活用の実証開始

燃料電池車「ミライ」の拡販に布石? トヨタらが水素活用の実証開始

2017.07.13

トヨタ自動車らが京浜臨海部で水素活用の実証事業を開始した。風力で発電した電力を水素に変え、それを近隣の工場などに運んで燃料電池フォークリフトに供給するという実験だが、トヨタには同事業を燃料電池自動車(FCV)「MIRAI(ミライ)」普及の布石とする思惑がある。

風力で発生させた電気で水素を製造し、燃料電池フォークリフトに供給する実証事業をトヨタらが始める

水素社会の実現が最大の目的だが…

この実証は環境省の委託事業で、参加者はトヨタ、豊田自動織機、東芝、岩谷産業、神奈川県など。横浜市風力発電所(ハマウィング)で電気を作り、敷地内で水を電気分解して水素を製造し、それを貯蔵・圧縮して充填車(小型トラック)で近隣に運び、近隣の倉庫や工場で稼動する燃料電池フォークリフトに供給するというプロジェクトだ。実施期間は2018年度まで。

実証事業のサイクル

風力発電は風が吹かなければ電気を作れない。変動する発電量を調整する役目は、トヨタ「プリウス」の使用済みバッテリーを再利用した蓄電池システムが担う。発電量が多いときは蓄電しておき、風のない日は貯めておいた電力を使うことで水素の安定供給を実現する。ちなみに、水素の配送はトヨタのハイブリッド小型トラックが担当。最終的に水素を使う燃料電池フォークリフトもトヨタ製だ。

ハマウィングの風力発電設備。定格出力は1980kWで、ブレードの直径は80メートルに及ぶ

実証事業開始に先駆けて行われた現地取材会では、トヨタで新規事業開発などを担当する専務役員の友山茂樹氏に話を聞くことができた。友山氏によると、トヨタが実証事業に参画する最大の理由は「水素社会」を実現するためだが、ビジネス面では3つの目的があるという。

トヨタが明かす3つの目的

トヨタが実証事業に参画するビジネス上の理由は、(1)FCVの普及に向けたインフラ整備を加速させること、(2)ミライや燃料電池フォークリフトなどに使用しているセル(水素と酸素を化学反応させて電力を作る部品)の外販に向けた布石を打つこと、(3)再生エネルギーを水素化して活用する事業自体のソリューション提供を新規事業に育てること、の3つだ。ここでは1つ目の理由に注目したい。

ハマウィングでのテープカットセレモニーに臨むトヨタの友山専務(中央)

トヨタはセダンタイプのFCV「ミライ」を2014年12月に発売したが、販売台数は数千台程度らしく、普及しているとは言いがたい。水素充填インフラの整備が進まないからクルマが売れないのか、クルマが売れないからインフラ整備が進まないのかははっきりしないが、とにかく、ミライを売るにはインフラ整備が不可欠なのは間違いない。

トヨタのFCV「ミライ」

インフラ整備の加速がクルマの拡販に直結?

産業車両で水素の活用が進めば、水素の需要が増えて、水素充填インフラも増える。この状況はミライを販売する上で追い風になる。トヨタが実証事業に参画した理由を、ミライの販売に引きつけて考えるとこうなる。

もちろん、次世代エコカーの本命争いでは電気自動車(EV)が先行している感じなので、FCVというクルマが実際に普及するかどうかは未知数だ。しかし、トヨタは「EVもFCVも両方必要」(友山専務)という構えなので、水素充填インフラの普及に取り組むしかないのが現状だ。実証事業で水素活用の可能性やコストなどを見極め、日本各地に事業モデルを拡散できるかどうかが、トヨタの次世代エコカー戦略を見る上で重要なポイントになる。

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

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最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu