楽天がバルセロナとスポンサー契約--三木谷氏「楽天ブランドの意味変わる」

楽天がバルセロナとスポンサー契約--三木谷氏「楽天ブランドの意味変わる」

2017.07.13

楽天は7月13日、スペインの名門サッカークラブ「FCバルセロナ」とのパートナー契約を7月1日よりスタートしたと発表した。「メイン グローバルパートナー」と「オフィシャル イノベーション&エンターテインメント パートナー」として、グローバルにおける楽天ブランドの認知向上とエコシステムの拡大を目指すという。

2017-2018シーズンのバルセロナユニフォームを持つ(左から)楽天 代表取締役会長 兼 社長 三木谷 浩史氏、FCバルセロナ リオネル・メッシ選手、ネイマール選手、ジェラルド・ピケ選手、アルダ・トゥラン選手、マーケティング&コミュニケーション担当 マネル・アローヨ氏

記者説明会には、楽天の代表取締役会長 兼 社長の三木谷 浩史氏とFCバルセロナのリオネル・メッシ選手、ネイマール選手、ジェラルド・ピケ選手、アルダ・トゥラン選手が登壇。また、クラブのマーケティング&コミュニケーションを担当するマネル・アローヨ氏も参加した。

楽天 代表取締役会長 兼 社長 三木谷 浩史氏

記者会見で三木谷氏は「(楽天が)20周年という素晴らしいタイミングでパートナーシップを発表できて嬉しい」と語り、かねてよりサッカーへの愛情を口にしていた三木谷氏にとって、特別なパートナーシップであることを強調した。

一方でマーケティング担当のマネル・アローヨ氏も、楽天について「(バルセロナと)共通した価値観を持っている。フットボールの未来を信じており、何よりフットボールを愛している」と語り、グローバルにおいてイノベーションを追求する楽天と共に「大きな道を切り開いていきたい」(アローヨ氏)とした。

ピケ選手「楽天はバルサファミリーの一員」

説明会に登壇したメッシとネイマール、ピケ、トゥランの4選手は、それぞれが楽天への感謝を述べるとともに、新シーズンなどへの思いを語った。特に、ジェラルド・ピケ選手は、かねてより三木谷氏と親交があり、今回のパートナーシップ締結に大きく寄与したと言われている。

「今回の発表は、単なるパートナーシップ以上のものであり、楽天は(バルセロナ)ファミリーの一員だと考えている。ミキタニサンは大変良くしてくださり、東京に、楽天に暖かく迎え入れてくれた。バルセロナと楽天に共通するのは、ただ仕事をするだけでなく『楽しむこと』も大切にしていることだ」(ピケ選手)

ネイマール選手は、日本にたびたび来日しており「いつも日本を楽しんでいる」と話したほか、トゥラン選手は「楽天とともにすべてのタイトルを取るつもりだ」と語った。またメッシ選手は、新たな監督を迎え入れたチームで今シーズンをどう戦うのか問われ「どういうチームになるのかまだわからないが、バレンシアやアスレティック・ビルバオで素晴らしい仕事をしていた。新シーズンのスタートが楽しみだし、今まで同様にマックスの状態でプレーに望みたい」と語っていた。

リオネル・メッシ選手
ネイマール選手
ジェラルド・ピケ選手
アルダ・トゥラン選手

質疑応答で三木谷氏は、一部報道の「5年総額320億円」というスポンサーの巨額契約が、スポーツ界において「グローバルで見ても、異例の金額では?」という質問を受けた。

これに対して三木谷氏は、「バルセロナとのパートナーシップは、(楽天という)ブランドの意味が変わるということ。さまざまな形で人に使われるサービスを開発し、利用していただくことで投資した分は回収できると思う」と回答した。

一般的にこうしたスポンサー契約の契約金は公表されないが、この質問に対して三木谷氏は肯定も否定もせず。契約では、2017-2018年シーズンから4年間、2021-2022年シーズンまで「Rakuten」ロゴがユニフォームの胸に掲載される上、さらに1年のオプション選択も用意されている。

また同社グループのメッセージングサービス「Viber」で選手やクラブが公開トーク機能を利用して情報発信を行うほか、プレイヤーを模したステッカー(LINEにおけるスタンプ)も配布する予定だ。さらに日本では、「FCバルセロナ公式クレジットカード」として、ロゴや主力プレイヤーがデザインされた楽天カードを発行し、バルセロナファンの取り込みを狙う。

欧州事業を再編した楽天、反転攻勢なるか

5年320億円というコストだが、1年あたり60億円強の広告宣伝費と捉えれば、むしろ常識的な金額にも思える。例えば日経広告研究所が調査している有力企業の広告宣伝費では、トヨタ自動車が4890億円、ソニーが2913億円(共に2015年度)という巨額を1年間に費やしている。もちろん、その巨額の内訳として見た場合に「トップスポーツクラブの胸スポンサー」に60億円を費やすかどうかと問われると難しいが、これは三木谷氏が築き上げてきた楽天だからこそ、決断できた事案といえるだろう。

楽天は、プロ野球において東北楽天ゴールデンイーグルスを、Jリーグではヴィッセル神戸の実質的なオーナー企業となっている。スポーツへの協賛、関与は一種のCSR活動としても認知されており、社会貢献的な側面を持ちつつ、楽天ブランドの裾野を広げる狙いが見て取れる。

ただしバルセロナのお膝元である欧州では、2016年に事業再編を行っており、バルセロナブランドを通してグローバルに「楽天ブランド」を植え付けようにも、サービスがない国が多い(バルセロナのスペインでもサイトや拠点を閉鎖)。またグローバルでLINEなどとしのぎを削る、前述のメッセージングサービス「Viber」も、LINE以上のユーザーボリュームこそ確保しているが、WhatsAppやFacebook MessengerといったFacebook陣営と比較すれば、あまり目覚ましい事業の伸長は見られない。

グローバルにブランド認知を広げるための素材があまりない状況だが、楽天も手をこまねくだけでなく、今年1月には商業銀行をルクセンブルグで展開すると発表し、再び欧州市場への足がかりを作った。バルセロナとのパートナーシップをテコに、反転攻勢の糸口を見つけられるか、三木谷氏の手腕が問われる。

CESで大注目の「折り曲げられるスマホ」、普及の見込みは?

CESで大注目の「折り曲げられるスマホ」、普及の見込みは?

2019.01.18

中国メーカーが自在に折り曲げられるスマホを実現

「大画面×コンパクト」を両立する夢のデバイス、実用性は?

端末の魅力を引き出すアプリ登場が普及のカギか

米ラスベガスで開催された世界最大級の家電見本市「CES 2019」では、2019年のトレンドを先取りする新ガジェットが一堂に会した。その中でも一際大きな注目を浴びたのが「折り曲げられるスマホ」だ。商品化にこぎ着けたのは世界初という。

折り曲げられるスマホ「FlexPai」

スマホの画面サイズが大型化を続ける中、iPhone SEのような小型スマホを求める声は依然として多い。そこで登場した折り曲げられるスマホは、「大画面」と「コンパクト」を両立する夢のデバイスに見える。果たして普及の可能性はあるだろうか。

自在に折り曲げられるスマホ、中国メーカーが実現

折りたためる2画面のスマホというアイデア自体は、実はそれほど目新しいものではない。NTTドコモとZTEが共同開発した「M Z-01K」などは、現行モデルとして国内で販売中だ。

だが、従来の2画面スマホはヒンジを用いて2つの画面をつなげたものに過ぎなかった。その後、液晶とは異なる特性を持つ有機ELが登場したことで、ディスプレイを紙のように自在に折り曲げられることも夢ではなくなった。

有機ELの「曲げに強い」という特性は、多くのスマホに活用されている。サムスン電子のGalaxyシリーズが画面端を曲面にしたスマホを発売後、ソニーモバイルシャープもこの形状を採用している。

これを推し進め、開くとタブレットのような大画面、2つに折り曲げるとスマホサイズという端末の可能性が見えてきた。そして2018年10月、中国のRoyoleが、世界で初めての折り曲げられるスマホ「FlexPai」を商品化したのだ。

中国Royoleのブース。フレキシブルディスプレイを使った様々な製品が並んだ

CES 2019では韓国のLG電子が巻き取り式のテレビを発表するなど、「曲がるディスプレイ」が会場全体で話題になっていた。そうした下地もあって、Royoleの出展ブースには来場者の行列が絶えず、展示機がバッテリー切れを起こすほどの盛況となっていた。

実用性はさておき、スマホの進化の可能性を示した

FlexPaiの特徴は、開いた状態ではタブレットに近い形状になり、そこから自由に折り曲げできる点にある。従来の2画面スマホとは異なり、広げた状態でも画面の境目がないため、タブレットと同じ感覚で利用できる。

広げた状態ではタブレットのように使える

メーカーが挙げるメリットは、複数のニーズごとの端末を1台に集約できることだ。大画面が欲しい人の中には、スマホとタブレットを両方持ち歩いている人もいるだろう。だがFlexPaiなら持ち歩くのは1台で済むというわけだ。

折り曲げた状態では一般的なスマホと同じように使える

折り曲げというギミックから、耐久性に不安を覚えるものの、20万回程度の折り曲げに耐えられるという。ただ、折り曲げると厚みが出るため、スマホのようにコンパクトに持ち歩くことはまだ難しい。

アプリの対応も課題だ。FlexPaiを折り曲げた状態では「表面」と「裏面」に加え、折れ曲がった「エッジ」の3画面を利用できる。FlexPaiの魅力を引き出すには、これら3画面を活用するようなアプリの登場が待ち望まれる。

そこでRoyoleは、FlexPaiをアプリ開発者向けに1,318ドルの価格で先行販売している。まずは開発者にデバイスを手に取ってもらい、どのような活用方法が考えられるか、アイデアを募っていく段階といえる。

会場で実機を試した印象だが、現段階での折り曲げスマホは実用的とまではいえないと思えた。しかしRoyoleという会社の名前を世界に知らしめ、フレキシブルディスプレイの技術を示したという意味では、この発表は大成功を収めたといえるのだろう。

また、サムスン電子など大手スマホメーカーも折りたたみや折り曲げ端末の開発を進めており、グーグルはAndroid OSとして公式サポートを表明している。スマホの次なる進化の可能性を真っ先に示したFlexPaiを、この場の実用性で語るのはお門違いなのかもしれない。

日本車のインテリアには独創的な未来がある? 「1kg展」で感じた可能性

森口将之のカーデザイン解体新書 第12回

日本車のインテリアには独創的な未来がある? 「1kg展」で感じた可能性

2019.01.18

国内主要メーカーの内装デザイナーが集まり展示会を開催

テーマは“1kgの価値”をどこまで高められるか

実車に応用できる? 独創的な作品の数々

国内主要自動車メーカー8社のインテリア・カラーデザイナーが参加する団体「JAID」が初の作品展を開催中だ。“1kg”という重さにこだわり、最新の3Dプリンターを駆使して各社のデザイナーが生み出した作品は独創的で、会場の「GOOD DESIGN Marunouchi」(東京・丸の内)は小さな現代美術館のような雰囲気になっている。

ダイハツ工業のデザイナーが出品した「受け継がれる樹脂」という作品

雑誌の対談が契機となり生まれた「JAID」

「JAID」という名前を初めて目にした人も多いだろう。「ジャパン・オートモーティブ・インテリア・デザイナーズ」の略で、「ジャイド」と読むそうだ。

創立のきっかけとなったのが、自動車雑誌「NAVI CARS」(ナビカーズ)での対談だったと聞いて、「あの号だ!」と即座に思い浮かんだ。クルマのインテリアを特集したナビカーズの2015年7月号で、筆者も別の対談に参加させていただいていたのだ。その号に国内メーカーのインテリアデザイナーが語り合うページがあったことは記憶の片隅に残っていた。

雑誌の売れ行きが落ちているといわれて久しい。それだけに、1つの雑誌の企画からJAIDのようなコミュニティが生まれたことは、モータージャーナリズムに身を置く者として嬉しい気持ちになる。

日産自動車のデザイナーが出品した「∞ Fluff」

価値ある1kgの創造に挑んだデザイナーたち

そのJAIDが企画したのが「1kg展」だ。なぜ“1kg”にこだわるかといえば、クルマの開発に携わる人たちにとって切実な「kg単価」という指標に理由がある。

「kg単価」とは、クルマの開発で使われる値段の単位だ。インテリアデザイナーとしてはkg単価が高い、いわゆる良い素材を使いたいという気持ちは大きいだろう。快適性や安全性の追求、さらには電動化への対応、重量の削減といった視点も持ちながら素材を選んでいるはずだ。

しかし、贅を尽くしてばかりでは車両価格の上昇を招くので、妥協が必要になる。おそらくインテリアデザイナーは、このような状況で悩みながら、新しい素材や仕立て、色などを取り入れるべく、奮闘の毎日を過ごしているのだろうと想像している。

では、そういった制約がなくなったとき、デザイナーたちはこのkg単価をどこまで価値あるものに仕上げられるのだろうか。これが、今回の展示会のテーマだ。最新の3Dプリンターを駆使し、時間や空間、物質としての限界などを飛び越えた作品を独自の着眼点で製作すると同時に、広くカーインテリアデザインの魅力を伝えたい。そんなメッセージのこもった展示会なのである。

ホンダのデザイナーが出品した「風速1kg」

素材と色のコーディネートが味わえる「ハンバーガー」

会場のGOOD DESIGN Marunouchiは、2013年度から通算5回、今年度も含めてグッドデザイン賞の審査員を担当している筆者にとってはなじみ深い場所だ。ところが、「1kg展」の内覧会を訪問した時には、状況がまるで違っていた。いつもは展示物をゆったりと眺めることができる空間なのに、この日はラッシュ時の駅のようにごった返していたのだ。それだけ、インテリアデザイナーの斬新な発想に期待する人が多かったということだろう。

日産のデザイナーが出品した「4D flower」。「1kg展」に作品を持ち寄ったのは、国内大手自動車メーカー7社(ダイハツ工業、ホンダ、三菱自動車、日産自動車、スバル、スズキ、トヨタ自動車)だ

作品の中には、クルマのインテリアデザインとは関係なく、最新の3Dプリンターならではの表現能力の高さをアピールするような作品も見られた。それらを業界の枠を飛び越えた独創的な作品と捉える人もいたようだが、クルマが好きで今の仕事に携わっている(はず)の方々だからこそ、もっとインテリアにこだわって欲しかった。

ただ、クルマのインテリアとの関連性が高い作品が大半を占めていることは確かで、中には独創的な発想や興味深いアイデアも見られた。本稿では独断と偏見で、そのうちの3つを紹介していこう。

まずは、会場の入り口近くに置かれていた「CMFバーガー」だ。「CMF」とはカラー、マテリアル、フィニッシュの頭文字で、ナビカーズでの対談が行われた頃から、自動車に限らずデザイン分野でひんぱんに使われるようになってきた言葉だ。造形だけでなく色や素材、仕立てにも気を配ることで、より完成度の高いデザインが生まれるというような意味が含まれている。

「CMFバーガー」はトヨタのデザイナーが出品

この作品は、CMFのコーディネートを1kgのハンバーガーに見立てて表現したもの。レザーのバンズ、クリアレンズのトマト、加飾素材のチーズやパティ、シート素材のレタスがさまざまな色で用意してあり、好みのバーガーを作り出せる。

3つの作例では、CMFの違いでかなり雰囲気の異なるバーガーを作れることが分かった。バンズを肉抜きタイプにすると総重量が1kgを切るなど、計量化を実感できる仕掛けも盛り込んである。ディーラーが車種別にCMFハンバーガーを用意すれば、顧客は楽しみながらカラーコーディネートを試すことができるかもしれない。

ディーラーに「CMFバーガー」が置いてあったら面白いかも

インテリアをボールにした斬新な作品も

続いて紹介するのは「トランスフォームステアリング」。自動運転が実用化された未来を想定した変形機構を持つステアリングで、手動モードでは伸びて操舵できる状態となり、自動モードでは縮めて格納しておける。全てがマットブラック仕上げだが、グリップ部分、変形部分、外枠部分を別のメーカーのプリンターで製作することで、素材の違いを表現している。

トヨタのデザイナーが出品した「トランスフォームステアリング」

製作したデザイナーはステアリング機能だけを想定していたようだが、左右のグリップをねじることでアクセルやブレーキの操作ができれば、この部分だけで基本的な運転操作ができる合理性の高いインターフェイスになると思った。ペダルがなくなれば、室内レイアウトの自由度も高まりそうだ。

伸ばせば手動運転に使えるし、自動運転中は縮んだ状態で格納しておける

最後は「インテリアボール」だ。写真を見てお分かりのとおり、クルマのインテリアを構成するパーツをボール状のアートとして表現したもので、多くのパーツをまとめ上げ、世の中というフィールドにデザインを“投げ”かけているインテリアデザイナーの仕事をボールの形に込めたのだという。

「インテリアボール」はホンダのデザイナーが手掛けた

展示してあるのは1個だけだが、スポーツの世界では競技によってサイズの違うボールを使うことにも製作者は着目している。使用する材料や加工方法を変えることで、同じ1kgでもサイズや見え方の違った表現ができるそうだ。

しかしながら筆者には、これがボールではなく卵に見えた。卵から生まれる前のクルマ、そのインテリアデザインは、こうなっているのではないかと想像したのだ。同じクルマのエクステリアデザインを卵の殻で表現することで、多くの車種を球形にできれば、一風変わったミニチュアになるのではないだろうか。

JAIDが企画した1kg展の作品群は、それ自体が柔軟かつ斬新な発想から生まれているだけでなく、見ているこちらも創造力が掻き立てられるものだった。この展示会を訪れて、日本の自動車メーカーにインテリアデザインの実力者が多いことに感心するとともに、メーカーには、この実力を引き出して製品に結び付ける能力が求められていることを教えられた。

1kg展の会期は1月25日まで。入場は無料だ。時間に余裕のある方は、一度訪れてみてはいかがだろうか。