企業が驚くアイデア続々! 大規模「CSVコンテスト」が生み出す学生の熱気

企業が驚くアイデア続々! 大規模「CSVコンテスト」が生み出す学生の熱気

2017.07.18

近年、企業CSRやCSVを学習に採り入れる高校・大学が増えている。特に大学生は、就職を間近に控え、社会に対する意識が強くなっている時期。経済学や社会学といった学問を学ぶことも大切だが、実際の企業活動を研究することは有意義だろう。

ちなみに、CSRとは「企業の社会的責任」のことで、CSVとは「企業と社会の共通価値創造」を指す。字ヅラは似ていても、基本的に異なるものだ。特に近年は、CSVが注目されることが多い。“企業と社会の共通価値”というとわかりにくいが、企業が収益を上げながら社会問題を解決していくといえばイメージしやすいだろう。

CSVコンテストが行われた立教大学

そのCSVを学生たちが考え、企業にプレゼンする大規模なコンテストが、東京・立教大学で開催された。

まず、参加大学だが、跡見学園女子大学、学習院大学、昭和女子大学、高崎経済大学、宮城大学、立教大学の6校。

参加企業は、朝日新聞、キリンホールディングス、資生堂、トヨタファイナンス、日本アイ・ビー・エム、ブレーンセンター、三井住友アセットマネジメント、三井不動産レジデンシャル、メンバーズの9社。

これまで何回か、CSRやCSVをテーマにした授業やコンテストを見学させていただく機会はあったが、これほど大規模なものは初めてだ。コンテスト会場の教室に足を踏み入れると、学生たちの熱気で満ちあふれていた。

運営も学生組織が主体

CSVのプレゼンに挑戦するのは6校16チーム。A会場とB会場に8チームずつにわかれ、予選を行う。本戦に進めるのは4チームで、改めてプレゼンを行い最優秀賞を選出する。なお、コンテストを運営するのは学習院大学の「Innovation Team dot」(イノベーションチーム ドット)。つまりプレゼンするのも学生、コンテストを運営するのも学生、審査は企業が行うという図式だ。

さて、2会場にわかれていたので、せわしなく移動しながら見学させていただいたが、合間に企業の担当者に話をうかがう機会があった。学生にも話しをうかがいたかったが、プレゼンの準備をしたり、緊張をほぐそうとしたりしている姿をみると、それは気が引けた。

左はA会場でのプレゼンの様子。右はB会場

コンテスト序盤にキリンHD CSV戦略担当 森田裕之氏に話をうかがえた。森田氏は「普段、高校生や大学生の方々に、キリングループのCSV活動について紹介することはありますが、学生からプレゼンを受ける機会はあまりありません。どんなCSVのアイデアが出てくるのか、非常に楽しみです」と期待を寄せた。

中盤にお目にかかった三井不動産レジデンシャル 市場開発部 唐澤豊成氏は、「弊社は3~5年で新商品を投入しますが、そのヒントになればと思い参加しました。すでに参考になりそうなアイデアにいくつか出会いました」と笑みをこぼした。

終盤では、資生堂 コーポレートコミュニケーション本部 臼井文氏に話しをうかがった。「学生のアイデアなので“どうかな”という気持ちがわずかにありましたが、どれも秀逸な提案で驚きました。今後の弊社の活動につなげたいものもありました」と、手応えを感じたようだ。

わずか2週間でプレゼンを準備

メンバーズ 執行役員 原裕氏にもお会いした。実はメンバーズが、今回のCSVコンテストの“仕掛け人”ともいえる存在。なぜ、CSVだったのかうかがうと、「学生たちはこれから社会に出てさまざまなシーンで活躍されるでしょう。なかでもマーケティングに関わる方は多いと思います。企業の課題や社会の課題を考えるCSVは、マーケティングに生かしやすく、その力を身につけていただくためにも今回の取り組みとなりました」と話す。

驚いたのは、学生たちにはわずか2週間しか与えられていなかったこと。わずかの期間で、提案対象の企業を選定し、“CSVとは何ぞや”を理解し、企業の課題を洗い出し、アイデアを出し合い、そしてプレゼンの準備をする。筆者が学生のときに、短期間でこれほどのことをできたかと問われると、とてもではないが自信はない。

コンテストの様子に戻ろう。決勝に残ったのは、立教大学から2チーム、学習院大学1チーム、宮城大学1チームの計4チーム。この4チームがA会場で再度プレゼンをしたが、B会場で審査をしていた企業の担当者も集まるので、審査基準は予選のときとは異なってくる。それでも、各チームは滞りなくプレゼンを終え、審査に入った。

結果、学習院大学チームが最優秀賞の栄冠に輝いた。テーマは「それぞれの美しさを認め合える社会へ」というもの。これは、女性の美しさは画一的ではなく、おのおのが“美”を持っており、それを引き出すためのメイクアップをどうするか、というのがテーマ。資生堂に向けたCSVの提案だ。

このチームに、「なぜ、今回のテーマになったのか?」をたずねてみたところ、海外留学経験のある学生の意見がもとになったという。海外では女性たちが生き生きと自分たちの“美”を楽しんでいるのに、日本ではマスコミなどが提唱する“美”に縛られている。もっと、それぞれが自分の“美”を磨くべきではないかという提案だった。

ちなみに、このプレゼンを完成させるためにどのくらいの時間を使ったのかわからないそうだ。コンテストの前日も午前3時まで、SNSなどで詰めていたというから、相当な時間を費やしたにちがいない。ただ、「楽しかったです!」と目を輝かせながら話している様子をみると、今回のコンテストに参加したことは有意義だったといえるだろう。

左が最優秀賞に輝いた学習院大学チーム。中央はキリンHD賞に輝いた立教大学チーム、右はトヨタファイナンス賞に輝いた宮城大学チーム。このほかにも、各企業による賞が用意されていた

学生ならではの視点を企業が賞賛

最終審査を終えて、各企業の担当者の講評をうかがったが、多くの方が「よくこの短期間でCSVを理解した」という意見を口にした。CSVは2011年にアメリカで提唱された比較的に新しい概念だが、CSRと混同しやすい。それを、まだ社会に出ていない学生たちが、ほぼ例外なく理解していたことに企業担当者は感心していた。さらに、各チームが提案したアイデアに驚いていた様子がうかがえた。ある企業担当者は「社会に出てしまった私たちでは到底思いつかないアイデアが続出し、非常に印象深かったです」と話す。

参加者、審査員が集まって集合写真

筆者も同様の想いだ。予選が2会場にわかれていたので、すべてのプレゼンを拝見できなかったが、印象に残ったものを2つ挙げよう。

ひとつは宮城大学チームの提案。クルマの運転中、合流などで道を譲られるとハザードランプを点滅させて感謝を表す習慣があるが、これを「寄付ボタン」にすればというものだ。ほかのドライバーへの感謝の気持ちを“1円”で表し、集まった資金をインフラ整備や福祉に役立てる仕組みをつくれないかと提案した。

もうひとつは、立教大学チームのプレゼンで、“ジワ飲み”を提唱するもの。お酒の飲み過ぎは健康被害につながるだけでなく、飲酒運転といった法令違反を引き起こすこともある。節度を保ってお酒を楽しむには、ジワジワ飲むことが大切。ただ、ジワジワ飲むのならば、少し贅沢なお酒を味わって楽しもう、というものだ。

「なるほど……」と思いながらプレゼンを聴いたが、しばしばお酒の“ガブ飲み”をする筆者には、少々、耳が痛かったのも確かだ。

「折り畳みスマホ」はスマートフォンの新ジャンルとして定着するのか

知って納得、ケータイ業界の"なぜ" 第33回

「折り畳みスマホ」はスマートフォンの新ジャンルとして定着するのか

2019.03.19

大画面化の限界を破ろうと登場した「折り畳みスマホ」

2019年にスマホ大手が参入し、本格的なトレンドに

普及する? 価格とコンテンツが最大の課題に

2018年末から2019年初頭にかけ、ディスプレイを折り曲げて畳むことができる「折り畳みスマートフォン」大きな注目を集めている。閉じた状態では普通のスマートフォン、開くとタブレットサイズで利用できるのが特徴だが、新しいスタイルのスマートフォンとして市場に定着し、普及していくには課題も多い。

大画面化の限界から生まれた折り畳みの発想

ここ最近、にわかに注目されるようになった「折り畳みスマートフォン」だが、そもそもどんなものなのか。簡単に言えば、これはディスプレイ素材に、一般的なLEDとは異なる面光源で、かつフレキシブルな特徴を持つ有機ELを採用することで、1枚のディスプレイを2つに折り曲げられるようにしたスマートフォンのこと。いくつかの企業が折り畳みマートフォンを相次いで発表したことから、一気に注目を集めるに至ったようだ。

折り曲げられる7.8インチのディスプレイを備えたRoyoleの「FlexPai」は、世界初の折り畳みスマートフォンとして注目を集めた

最初に折り畳みスマートフォンを発表したのは中国のRoyoleというベンチャー企業で、2018年11月に7.8インチのディスプレイを折り曲げられる「FlexPai」という機種を発表している。だがより本格的に注目されるようになったのは、2019年2月に入ってからであろう。

その理由は、2019年2月20日(米国時間)にサムスン電子が「Galaxy Fold」、ファーウェイ・テクノロジーズが2019年2月24日(スペイン時間)に「HUAWEI Mate X」と、スマートフォン大手が相次いで折り畳みスマートフォンを発表したからだ。いずれの機種もFelxPaiより洗練され、より日常使いに適したスタイルながらディスプレイを曲げられるという機構を実現したことから、がぜん折り畳みスマートフォンに対する注目が高まったのである。

サムスン電子の「Galaxy Fold」。7.3インチのディスプレイを内側に備え、本を開くようにして開くと大画面ディスプレイが現れる仕組みだ

ディスプレイを曲げられるというだけでも十分に大きなインパクトがある折り畳みスマートフォンだが、その誕生にはやはり「スマートフォンの大画面化傾向」が影響している。初代iPhoneが登場した頃には3インチ程度だったスマートフォンのディスプレイも、年を追う毎に大画面化が進み、いまでは6インチを超えるディスプレイも当たり前のものとなってきている。

だが人間が片手で持つことができるスマートフォンのサイズ、特に横幅には限界がある。6インチ超でも、18:9や19:9の縦長比率として片手に持てる横幅に抑えていたのが最近のトレンドだが、従来の方法によるディスプレイの大画面化は限界に達しつつある。しかしながら特に海外では、消費者がスマートフォンに一層の大画面化を求める声が非常に強い。そうした市場ニーズに応えるべく、持ち運ぶ時はコンパクトで、必要な時だけ大画面で利用するという、折り畳みスマートフォンの開発を推し進めるに至った訳だ。

ファーウェイの「HUAWEI Mate X」。さらなる大画面化を求める消費者ニーズに応えるべく、3年もの歳月を費やして開発されたとのこと。同社初の5G対応スマートフォンにもなるという

各社の折り畳みスマートフォンは、開いた状態では7.3~8インチと、小型のタブレット並みのサイズ感を実現している。従来より一層の大画面でコンテンツを楽しめるというメリットが生まれる訳だが、大画面によってもう1つもたらされるメリットは、表示できる情報量が増やせること。実際Galaxy Foldはそのメリットを生かし、画面を3つに分割して3つのアプリを同時に利用できる機能を搭載している。

さらに今後、次世代通信の「5G」が普及していけば、通信速度が一気に高速になりコンテンツのリッチ化が進むことから、大画面を生かせるシーンも現在以上に増えていくことが考えられる。それゆえ折り畳みスマートフォンこそがスマートフォンの将来像と見る向きもあるようだ。

普及にはコンテンツや価格など多くの課題あり

だが実際の所、折り畳みスマートフォンが真に普及して定着に至るかといえば、まだ多くの課題があるように感じる。理由の1つは、折り畳みスマートフォンに適したコンテンツが少ないことだ。その最大の要因はディスプレイのアスペクト比で、折り畳みスマートフォンでは開いた状態のアスペクト比が、アナログテレビで主流だった4:3に近い比率になってしまう。これは折り畳むという構造状どうにもならない課題だ。

折り畳みスマートフォンは、開いた状態では4:3、あるいはそれに近いアスペクト比となることから、オフィス文書や地図、Webサイトなど情報量が求められるコンテンツは見やすい

この比率は、オフィス文書などを利用するのには適しているといわれる一方、映像やゲームなどのコンテンツでは横長の傾向が強いため、あまり適していない。実際、折り畳みスマートフォンで16:9や21:9の映像コンテンツ再生すると、どうしても上下の黒帯が目立ってしまうのだ。

一方で映画などの動画コンテンツ再生時は、上下に黒帯が目立つなど大画面をフルに生かせていない印象だ

そうしたことから折り畳みスマートフォンを普及させるには、それに適したコンテンツの開発も同時に求められているのだ。そのためにはいかに多くのコンテンツホルダーから協力を得られるかが、非常に重要になってくるだろう。

そしてもう1つの課題は価格だ。折り畳みスマートフォンは最新の技術を詰め込んで開発しているため、Galaxy Foldは1980ドル(約22万円)、HUAWEI Mate Xは2299ユーロ(約29万円)と、価格が非常に高い。現在は“初モノ”ゆえにこれだけの価格でもやむなしとの認識がなされているようだが、普及を考える上では少なくともその半額程度、つまり現在のフラッグシップスマートフォンと同程度にまで価格を落とす必要がある。

折り畳みスマートフォンの実用化を実現した今後は、いかにその価値を落とすことなく価格を落とすかという、難しい課題をクリアする必要がある訳だ。そうした課題をクリアできなければ普及にはつながらないだけに、折り畳みスマートフォンが今後の主流になるかどうかは、現状ではまだ見通せないというのが正直な所でもある。

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その対策の柱となるのが、人材育成だ。これまでの20世紀型のビジネスでの価値創造の要素が「ヒト・モノ・カネ」だったのに対し、今後は「データ・ソフト・サービス」に要素が大きくシフトするといわれている。すなわち、必要となる人材も大きく変わっていくことになる。それは、従来のICT企業に限ったことではなく、ユーザ企業においても然りだ。

そこで今回紹介したいのは、総務省が学生や若手エンジニアを対象にIoT人材育成を目的として実施している「Web×IoT メイカーズチャレンジ」である。2018年度は国内9か所でイベントが開催され、2019年2月から3月にかけては、東京でも開催された。この取り組みが何を変えようとして、どのような一石を投じているのか、イベントで実際に実施された内容を下敷きに紐解いてみたい。

Web×IoT メイカーズチャレンジ 2018-19

Web×IoT メイカーズチャレンジ開催の経緯

総務省の情報通信審議会の技術戦略委員会では、かねてよりIoT・ビッグデータ・AI時代の人材育成方策についての議論が続けられており、去る2016年には、中間答申というかたちで以下のような旨の提言も出されている。

「IoTを総合的に理解し、使いこなせる人材・アイデアを発想できる人材が求められており、若者やスタートアップを対象とした開発キットやオープンソースなどを使ったモノづくりを通じた体験型教育やアイデア・ソリューションを競うハッカソンの取り組みを推進することが重要である」

こうしたことを受け、日本最大規模の産官学のIoT推進組織「IoT推進コンソーシアム」の技術開発ワーキンググループ「スマートIoT推進フォーラム」に、「IoT人材育成分科会」が設置されることとなり、そこでの議論を踏まえてこの人材育成事業、Web×IoT メイカーズチャレンジがスタートすることになった。

IoT推進コンソーシアムとスマートIoT推進フォーラムの体制

では、具体的にはどのような人材が今後必要とされるのか? また、未来に向けて、どういった手法でそのような人材を育成していくのだろうか?

Web×IoT メイカーズチャレンジの基本方針などを策定する実行委員会の主査で、上述のIoT人材育成分科会の構成員でもある株式会社KDDIの高木悟氏と、同実行委員会で副査を務める一般社団法人WebDINO Japanの瀧田佐登子氏の両氏に、その点についての話を伺った。

高木氏は、IoTを活用し社会を変革する創造性豊かなエンジニアリング・イノベータ力を備えた若手人材の育成には、

(1)無線装置やセンサ・アクチュエータなどのハードウェアとコンピューティングロジックを中心としたソフトウェア双方を扱えるスキル
(2)情報システムの共通基盤技術となっているWeb技術に基づくIoTシステム構築スキル
(3)企業の製品開発やサービス企画の現場でも、新技術の迅速な導入にもスピード感を持って対応できるアジャイル開発に対応できるエンジニア力
(4)実際にアイデアを試作し、改良を繰り返して実現するプロトタイプ創出力といったスキル

が求められており、Web×IoT メイカーズチャレンジでは、特にそのあたりを意識したイベント設計を行っていると話す。

KDDI株式会社技術開発戦略部マネージャー:高木悟氏

ポイントになるのは、このイベントに参加する学生や若手エンジニアが、座学の講習だけでなく、ハンズオン形式の講習会で実際にボードコンピュータやセンサーやアクチュエータの扱いを体験し、一定の準備期間を設けたうえで、ハッカソンで実際にプロトタイピングを行うという一連のものづくりプロセスを実体験することにある。

Web×IoT メイカーズチャレンジでは、UIやクラウドを含む情報システム全体をひとつの標準化された中立的な技術体系のもとで「ハードウェアを制御できるスキル」を獲得する機会を提供しているが、Webを介することによって、OS、デバイスといったレイヤーごとの違いを吸収し、普遍性の高い共通な技術を学ぶことができる。さまざまなデータをやりとりするには、「Webがもっともやりやすい」と副査の瀧田氏も指摘する。そういった観点からイベント名にもWeb×IoTの文字が冠された。

WebDINO Japan代表理事:瀧田佐登子氏

東京大会の概要をレポート

では、東京大会の様子を交えつつ、本取り組みの具体的な流れを少しレポートしたい。2月9、10日の2日間にわたりハンズオンを含む講習会が開催された。IoTの基礎知識やWiFiやLTEなど、IoT開発には欠かせない通信技術やその根源となる電波の特性について講義を受けたうえで、実際に「Raspberry Pi 3」と各種センサーやデバイスなどの接続・動作を行うハンズオンを約1日半じっくりと行う。受講者は個人単位で参加申し込みを行うが、講習会の2日目にはチーム単位に分けられ、準備期間を置いた後日に開催するハッカソンに向けた準備をスタートする。

東京会場にて。チームでのアイデアソンの風景

チーム分け後は、まずはアイデアソンを実施し、「身近な人をハッピーにするIoTデバイスを作ろう」などといったテーマをもとに議論を進める。初めて会ったメンバー同士で、いかに議論を深めていくか、これが最初の試練といえるだろう。また、各チームには上限額25,000円の予算が与えられ、その中でハッカソンに提出する作品で使うセンサーなどの部品を用意する。ここでは準備期間中の材料調達を含むマネージメント力が求められる。

そして、ハッカソンに向けて作成する作品では、以下の要件が求められる。

・ネットワークサービスの連携、もしくはネットワークからのコントロールが可能なこと
・Raspberry Pi 3を使って、Web GPIO APIあるいはWebI2C APIのいずれかを利用すること

ちなみにハッカソンの審査基準は、以下の通り。

・ソフトウェア・ハードウェアの実装力
・アイデアの独創性・ユースケースの有用性
・無線の活用度

そして、今回の東京大会のハッカソンには、計35名8チームが参加した。

ハッカソンの各チームの様子。今回は計35名8チームが参加した

ハッカソンというと、賞金目当てのツワモノが集まるというイメージがある。しかし、メイカーズチャレンジは、そもそもが「学びの場」として開催しているため、ハッカソン初心者やスキルレベルが不安な学生であっても参加しやすい枠組みを用意している。とにかく、わからないことがあれば積極的にチューターやメンターに聞き、解決していく。終始なごやかな雰囲気で進んでいくことも印象的だ。

こちらはハッカソン2日目の様子。初日のなごやかさからは打って変わり、開発完了に向け緊張感も漂う

それでもハッカソンが2日目にもなると緊張感が漂う。決められた開発締め切りに向かって、時間との戦いである。その日のうちに審査が始まり、今回は、最優秀賞が1チーム、優秀賞が3チーム選出された。

最優秀賞受賞チームの皆さん。後ろに立つ3人は審査員

順序が逆になってしまったが、審査員は以下の通りである。

・村井純氏(慶應義塾大学 環境情報学部教授 大学院政策・メディア研究科委員長)
・小林茂氏(情報科学芸術大院(IAMAS) 産業文化研究センター教授)
・瀧田佐登子氏(一般社団法人WebDINO Japan代表理事、実行委員会副査)

各チームの作品やその他の情報については、Web×IoT メイカーズチャレンジの公式サイトで情報が提供されるので、参照してほしい。

Web×IoT メイカーズチャレンジの成果と今後

今回、2年目を迎えたメイカーズチャレンジの取り組みであるが、その成果はどうだろうか。高木氏は、ほぼ目的は達成されていると判断しているという。実践的な講習会とハッカソンの組み合わせに参加者の多くが満足しており、チューターのサポートやチームでの開発体験を貴重な機会だと感じてもらえたと、手ごたえを語る。

人材育成というと、とかく受講者が受け身の講習が行われがちだが、この施策は講習会からハッカソンまで、参加者が自ら試行錯誤しながら様々なスキルを身につけるアクティブ・ラーニングの機会となっている。瀧田氏は、プログラミングやハードウェアのスキルに限らず、少ないとはいえ制作予算の配分管理や、材料の調達、さらに時間配分やチーム内のコミュニケーションなど、プロジェクトのマネジメントを体験する貴重な機会にもなっていると説明する。

学生から社会人まで、参加者は様々

企業が社員に向けて行う人材育成は、成果の前に、そのコスト・手間暇が大きなハードルとなる。Web×IoT メイカーズチャレンジは、その課題を補完する答えの1つともいえるだろう。今回の東京開催の会場を見ると、30才未満の若手社会人も多く参加しており、大学生や高専生、高校生と混じってチームを組み、真剣にものづくりに向き合う姿が見られた。

Web×IoT メイカーズチャレンジは2019年度も各地で開催される予定だ。立場を問わず関心を持った読者の方がおられれば、将来に立ち向かう可能性のひとつとして、参加や見学を検討してみていただきたい。

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