世界遺産登録でさらに注目を集めたい「観光立国1丁目1番地“上野”」の戦略

世界遺産登録でさらに注目を集めたい「観光立国1丁目1番地“上野”」の戦略

2016.05.26

あまり知られていない都内の世界遺産候補「国立西洋美術館」。フランスの推薦枠で今年世界遺産に登録されようとしている。今までに世界遺産に登録された場所は、その後瞬く間に観光名所になっているが、果たして国立西洋美術館はどうなるか。台東区、そして文化庁の腹案は。

ル・コルビュジエの建築作品についてイコモスが「記載」勧告

ユネスコの諮問機関イコモスは、日本を含む7カ国で世界文化遺産に共同推薦(フランス枠で推薦)している「ル・コルビュジエの建築作品ー近代建築運動への顕著な貢献」について、「記載」が適当との勧告を出した。ル・コルビュジエとは20世紀の世界中の建築物や都市計画に大きな影響を与えた建築家で、「近代建築の巨匠」といわれている。

「サヴォア邸」(提供:文化庁)

1階部分を柱のみ残す形式の「ピロティ」、ガラスの面積を大きくとることができるようにした「横長の窓」、などと現在目にする多くの建築物の「当たり前となっている様式」を創った功績がある。「当たり前すぎて、すごさが分かりにくいですよね。当たり前を作ったのが、ル・コルビュジエのすごいところなのだと思って見てほしい」と台東区の担当者。遺産はフランス、日本、ドイツ、アルゼンチン、ベルギー、インド、スイス、の7カ国にまたがっていて、登録が実現すれば、大陸を横断した初めての世界遺産になる。推薦は7カ国を代表して、最も多い10資産を持つフランスから出されている。日本からは、ル・コルビュジエが国内で唯一設計した国立西洋美術館が資産として入っている。

「国立西洋美術館本館」(提供:国立西洋美術館)

この建物には、「無限成長美術館」の構想が採り入れられている。「無限成長美術館」とは、ピロティから建物の中心に入り、外側に向かって螺旋状に順路をとる。そのため、作品の増加にあわせて展示スペースを延長できるという構想だという。

7月にトルコ・イスタンブールで開催される世界遺産委員会で登録の可否が決まるが、イコモスから「記載」勧告を受けた案件で、登録されなかった例は基本的にはない。登録されれば、日本国内では16件目の世界文化遺産の誕生となる。

「記載」勧告後の国立西洋美術館は

5月21日、東京上野。上野駅公園口付近には、観光バスが何台も連なり、地方からの団体客が続々とバスから降りてくる。駅の改札に目を向けてみると休日とあって家族連れや、ここのところ増加している外国人観光客の姿が見られた。休日の上野は人が多い。それは毎度のことだが、この休日は特に人が多いように思えた。あまり目立たないが、園内には以前から「国立西洋美術館を世界遺産に」というのぼりが置かれている。この日行ってみると、のぼりは「国立西洋美術館 世界遺産『登録』勧告」に変わっていた。

5月21日東京・上野公園

国立西洋美術館は、公園口から入ってすぐのところにある。勧告翌日にも訪れたが、入り口前に来ると、門の外から建物の写真を撮っている人が何人もいて、中に入る人の列もできていた。

5月18日国立西洋美術館を写真に撮る人の姿が。

「ハコモノ」をどうみせるかという課題。その答えは

世界遺産の効果はあるか。美術館の担当者に話を聞くと「カラバッジョ展が好評なのです。勧告前から来場者の数が増えていっています。列ができているのは、チケット売り場が3列しかないからですね。それと、都立美術館で開催されている若冲展が何時間待ちという状態なので、代わりにカラバッジョ展に行こうかと来られる方もいるみたいです」とのことだった。現在のところ、館内の常設展入り口前に「建築探検マップ」と書かれた国立西洋美術館のパンフレットが置かれているほか、常設展の一部でパネル展示をしているのみだという。「ここは博物館なので、展示物がメインですから」と担当者。「上野に来る目的が1つ増えれば」と周りの施設との連携を考えているという。「ハコモノをどう見せるかが課題」(美術館担当者)。元々観光地であること、“展示物が主役”の美術館ならではといえる。ある意味、静かな世界遺産になりそうだ。だか、それだけでは終わらないのが上野だ。

ちなみに、登録の可否が決まる前の7月9日から(9月19日まで)「ル・コルビュジエと無限成長美術館―その理念を知ろう」と題した展示が行われる。「無限成長美術館」といわれても、正直よくわからないだろう。その理念や、国立西洋美術館でどのように表現されているかといったことを、CGや写真などを使って説明するという。

上野公園には「西郷さん」だけでなく、「ミニ清水寺」「大仏」もある

上野公園の歴史は意外と知られていない。江戸時代にはこの地は徳川家の菩提寺の1つである寛永寺だった。現在の寛永寺は東京藝術大学の北にあるが、最盛期には上野公園を中心におよそ30万5000坪に及ぶ広さがあったのだ。大仏あり、京都の清水寺を模した清水観音堂あり、五重塔あり、東照宮ありとそんな場所だった。

(左)「西郷さん」で親しまれる上野公園の西郷隆盛像。(右)京都・清水寺を模した「清水観音堂」

幕末には新政府軍と幕府側との戦争によって焼け野原になったが、明治になると近代化による産業革命の波が一気に押し寄せ、上野公園では産業育成のために1877年「第1回内国勧業博覧会」が開催された。

その後東京国立博物館の前身となる「博物館」が内幸町から移転、岡倉天心によって東京藝術大学の前身となる「東京美術学校」が設置されるなど、上野公園には近代国家を支える文化施設が集約された。この頃に「上野動物園」や「西郷隆盛像」といった上野公園のシンボルができる。

関東大震災時には、仮設住宅1万棟が建設され、配給所や託児所、病院なども設置された上野公園だが、その後 「東京府美術館(現・東京都美術館)」、「東京科学博物館(現・国立科学博物館)」が開館。

第二次世界大戦では、動物園の動物が処分されたり、不忍池が水田として利用されたが、終戦後には上野観光協会の前身組織である上野鐘声会が、荒れ果てた上野の山を回復させるため、1250本の桜の木を植林して景観を蘇らせ、水田として利用されていた不忍池を、元通りの姿へと戻した。さらに、国立西洋美術館や東京文化会館などができ、上野は現在、文化の集積地として日本で一番の場所になっている。

「日本の文化の中心」から「世界の文化の中心」を目指す

政府は、東京五輪が行われる2020年に向けて、様々な文化プログラムの展開を図ることで、日本を世界の文化交流の拠点として躍進させたいとしている。それにふさわしい場所として、白羽の矢が立ったのが上野公園。成田空港からのアクセスもよく、外国人観光客にとっても足の運びやすいといった潜在能力の高い立地に、先に述べたとおり、江戸時代からの歴史的資源や、自然環境、そしてなにより東京藝術大学、博物館美術館、音楽ホールなど文化的な機関が集結している場所だからということはいうまでもない。ロンドン、パリ、ワシントンD.C.と比較しても遜色がなく、世界文化遺産に登録されているベルリンの博物館島に匹敵するポテンシャルを持っていると政府は期待を寄せている。

「点」から「面」へは実現できるか

「上野公園周辺の各機関・団体が相互に連携・協力することによって、それぞれが保有する文化芸術資源の潜在価値をより顕在化させ、その資源を有効活用するとともに相乗効果を増大させるべく、上野公園を中心とした区域を国際的な文化の中心・シンボルとしていく」といった内容が「上野『文化の杜』新構想」の最終版には書かれている。要するに「点」から「面」へ。それまで個々で取り組んできたイベントやサービスを連携して行い、相乗効果を高め、国際的な文化の中心にしましょう、ということだ。具体的な構想については、上野公園周辺の文化機関や、行政、JRなどが名を連ねる民間団体「上野『文化の杜』新構想実行委員会」が実現に向けて動き始めている。

バスにも世界遺産登録の文字が。

実行委員会は昨年9月に立ち上がった。構想実現に向けた取り組みは始まったばかりだが、「手がつけられそうなところから始めています」と関係者は口をそろえる。そして実行委員会立ち上げからおよそ半年後、今年3月には、各施設が連携して「上野『文化の杜』アーツフェスタ・2016春」を初めて開催。フタを開けてみると各文化施設、地域の学校などとの連携については「横断の企画などはまだまだ時間がなかった」(実行委員会関係者)と課題が見えたそうだが、解決策も見えてきたという。秋に第二弾を行うが、連携強化に向けて改善を図るという。

そのほかには2000円の「共通入場券」を発行。これまでに5000人が購入しているが、国立西洋美術館が世界遺産に登録されたあかつきには、この券の表紙やスタンプラリーのグッズを国立西洋美術館仕様にして、盛り上げていきたいという。また、5月18日には「東京国立博物館」「国立科学博物館」「国立西洋美術館」「東京都美術館」「台東区立下町風俗資料館」の各施設で、常設展などを無料開放した。夏に向けては、今まで金曜日のみ午後8時くらいまで延長して展示を開催していたのを、曜日をさらに増やすことを検討しているという。

将来的に実現できたら利便性が高まる検討課題

博物館・美術館については、休館日を原則月曜日としているが、休館日をローテーションにすることや、展覧会の開催時間の夜間延長のさらなる拡充を検討している。さらに、広い園内の移動については、無料貸出自転車、カート、人力車サービスの利用といったことが検討課題として挙げられている。これらはまだまだ先の話になりそうだが、ますます利用しやすく魅力的な公園になりそうだ。

国際的な認知度アップへの寄与が期待される世界遺産登録

こういった様々な課題の中で国立西洋美術館の世界遺産登録については、登録によって上野の国際的認知度が高まり、さらなる集客効果が期待されている。そのために地元の協議会ともども登録に向けて協力体制ができており、イコモスの勧告においてもその点は高評価されている。

目標は2020年末に来訪者数3000万人

2014年度台東区観光統計・マーケティング調査によると、2014年の上野公園の平常時の観光客数は1253万人であり、イベントでの来訪者数を足すと1503万人になる。さらに、アメ横、谷中地区の観光客を含めれば2000万人を超えることが推測されている。その上で、周辺との連携や外国人観光客によって年間来訪者数3000万人という数字は実現できると政府はみている。走り始めたばかりのこの構想だが、マネジメント体制の構築などが急がれる。

「選択と集中」が進みすぎた、日本の科学技術への投資

藤田朋宏の必殺仕分け人 第1回

「選択と集中」が進みすぎた、日本の科学技術への投資

2018.11.15

ちとせグループCEOの藤田朋宏氏による新連載

巷を賑わす”ヘンな出来事”の問題点を、独自の解釈で洗い出す!

第1回は、「日本の科学技術投資」について

バイオベンチャー企業群「ちとせグループ」のCEOを務める藤田朋宏氏による新連載。“手段と目的の違い”によって生じた「ヘンな出来事」の問題点を、独自の視点で語ります。第1回は、「日本の科学技術投資」について。日本の科学技術への投資の問題点とはいったい何なのでしょう?

才能と“伸びしろ”に投資する、日本サッカー協会

先日、クアラルンプールに出張したときのこと。宿泊先のホテルが偶然にもサッカーの日本代表と同じだった。「日本代表」と言っても、同じホテルに泊まっていたのは本田や長友ではなく、U-16アジア選手権に参加している若い選手たち。

そこで彼らを見ていて、ふと考えた。日本サッカー協会の「選手への投資」は、実は凄く効率がいいのではないか。どうしてそう思ったのか、順を追って説明したい。

ホテルに置いてあったU-16アジア選手権のバナー

チェックインを済ませ、「部屋の準備があるから、ちょっとだけそこで待っていて」と指示するホテルマンに従い、ひとりロビーに放置されている間、何となしに選手の情報を調べてみた。それから一時間半。23名の選手一人ひとりの顔だけでなく、利き足まで覚えるくらいの時間が経っても、僕はまだロビーで放っておかれたままだった。まぁ、東南アジアではよくあることなので、腹は立たなかった。

ところで、「過去のU-16日本代表がその後、何度も日本代表に選ばれる割合はどれほどだろうか」と疑問に感じ、調べてみたところ、各年20数名の代表選手のうち、現役で活躍している選手は約1人であることが分かった。確かに16歳の段階では身体の発達に差があるし、試合で活躍できるかは運の要素も絡む。コーチとの相性やケガの問題もあるだろう。

そうは言っても、16歳の時点で日本代表に選ばれるだけのポテンシャルを持つ選手のうち、その数%しか将来も活躍できる選手がいない、という事実には驚いた。実際、長谷部、本田、岡崎、長友……など、この10年で活躍している選手たちの多くは、16歳時点ではそこまで期待されていなかった選手ばかりだ。

ではなぜ、そういった選手が後に日の目を浴びられたかというと、それは彼らにも「チャンス」を与えられていたからだろう。日本サッカー協会は、16歳時点で選抜したトップ選手だけに集中投資するだけではなく、同年代の他の有望選手にもしっかりとチャンスを与え続けられるような仕組みをつくれたのだと思う。

際立って目立つ選手だけではなく、将来の伸びしろがありえる選手にも、最低限のチャンスは回ってくることで、未来のトップ選手の育成が図れる。そうやって日本サッカー協会はこれまで、世界に通用するような選手を輩出してきた。

「科学技術に投資せよ」ではなく、予算配分の再考を

前置きが長くなってしまったが、ここから本題に入りたい。

先日、京都大学特別教授の本庶佑先生がノーベル賞を受賞したというニュースが流れた。「自分がバイオテクノロジー業界で働く人間だから」というのは関係なく、本庶先生と周りのチームの方々の長年にわたる科学に対する貢献が認められたこと、その事実に接した関係者の気持ちを想像すると、とても嬉しい気持ちになった。

ノーベル賞メダル(レプリカ)

 

近年、日本人のノーベル賞受賞が続いている。彼らのような日本の科学業界の仕組みをよくわかった方々は、これまで数多くのご苦労をされてきたことだろう。しかし、1つ残念なこともある。能力はもちろん、人格的にも優れたそういった先生方が、ノーベル賞受賞のタイミングでマスコミに発表する一世一代のコメントが「日本国の科学技術投資、科学技術教育のあり方についての憂い」であることだ。

僭越ながら、先生たちのコメントを解釈すると、よくニュースで取り上げられるような「科学技術にもっとお金を使え」ということではなく、その先にある「国家予算の配分」についての指摘をしていると認識している。

誰がなんと言おうと、日本の科学技術投資の選択と集中は年々進んでしまっているのが現状だ。しかし、先生方のいうような「選択と集中が進みすぎている」という指摘に対して、「日本にはもうお金がないのだから科学技術にばかり投資できない」と答えがずれてしまっている。

これこそが、日本の科学技術投資における問題ではないだろうか。

日本にはびこる「選択と集中こそが正解だよ病」

随分前からずっと不思議なのだが、そもそも「選択と集中こそが正解である」なんて、誰がいい出したのだろう。「選択と集中」の戦略で物事をうまく切り抜けられるようなことは、本当に生きるか死ぬか、背水の陣を敷いている時くらいだと思うのだ。

今の日本の「選択と集中こそが正解だよ病」はなかなか根深く、そもそもの目的を実現することよりも「選択と集中」を行うことそのものが目的になっているんじゃないかと感じることが多い。

今の日本で行われている多くの意思決定の場面で、サッカーの例で例えると、U-16日本代表を選んだ人のメンツを潰さないということが、強い日本代表をつくることよりも優先されてしまっているように思う。

そのため、16歳の時点で選んだ選手だけに集中投資し、16歳の段階で選ばれなかった他の選手のポテンシャルに賭けることもしないというような「選択と集中が正解である」という間違えた進め方で意思決定が行われているようなことが多いように感じる。

サッカー選手の育成でも、科学技術の投資でも初期の段階で選抜してそこだけに集中投資するという戦略を繰り返せば繰り返すほど、全体としての力は落ちる一方になるのではないか。歴代のノーベル賞受賞者の先生方も、そういうことを言いたかったのではないかと思う。

手段であるはずの「選択と集中」が、目的となっている?

私は、「16歳の段階で、将来素晴らしいサッカー選手になる人物を見分けられる」なんて言葉は、伸びしろのある選手に対しておこがましいと感じる。これは科学技術の研究にも同じことが言える。「その研究が将来素晴らしい成果を残すかどうか見分けられる」なんて言葉は、科学者に対しておこがましい。

もっと言ってしまえば、どの研究が将来化けるかの判断は、16歳のサッカー選手の成長を言い当てることより遥かに難しいだろう。なぜならば、サッカーという競技のルール自体は変わらないが、科学と言う競技はルール自体を決めているので、科学研究の将来性をあらかじめ予測するのは16歳のサッカー選手の将来性を予測するより難しいためだ。

そんな中、日本サッカー協会が幅広い底上げに力を入れ、紆余曲折も有りながらも右肩上がりの成長を維持できているにも関わらず、日本の科学技術投資は過剰な「選択と集中」を強めるが故に、科学技術力の相対的な低下を招いているように感じる。

その差はいったい何か? これは1つの仮説でしかないが、日本サッカー協会の強さの秘訣は、会長の独断で物事を決められる側面が強い組織であるために「目的」がハッキリしている点にあるのではないだろうか。

その一方で、日本の科学技術投資のような“数多くの人の善意の組み合わせの上になり立っている意思決定機構”では「選択と集中を進めることが正解である」という、本来手段の一つである価値観が「目的」となってしまっているように感じる。

本来考えるべきは、「日本の科学技術をどうするべきか」ということであるにも関わらず、その手段と目的が逆転しまっているのではないだろうか、と思うのだ。

音楽特化の「YouTube」が日本上陸! AIでレコメンド

音楽特化の「YouTube」が日本上陸! AIでレコメンド

2018.11.14

音楽に特化した「YouTube Music」が日本でスタート

有料会員になれば、広告なし再生やオフライン再生が可能

YouTube Premiumでは、オリジナルコンテンツの配信も開始

仕事や作業をする際、周りのノイズをカットして集中するために、音楽を聴くという人は多いだろう。わかる。よくわかる。フロアが騒がしいと作業に全く集中できない。周りで仕事している人がいるということがわからないのだろうか、と疑問に思うが、まぁそれは置いておいて、パソコンで作業する場合、手軽に好きな音楽を聴けることから、YouTubeで音楽を聴くという人も多いのではないだろうか。

そんなYouTubeユーザーに朗報である。11月14日、Googleは音楽に特化したストリーミング再生サービス「YouTube Music」を日本でローンチすると発表したのだ。

好みやシーンに応じて楽曲をレコメンド

YouTube Musicは、音楽再生に特化したアプリ。YouTubeにある公式の曲やプレイリスト、歌ってみた、弾いてみたなど、さまざまな音楽動画を視聴することができる。

また、機械学習が活用されているのも特徴の1つだ。視聴履歴などからユーザーの好みを把握するだけでなく、「いつどこで何をしているのか」を類推して、シーンに合わせた楽曲をレコメンド。家でリラックスしているときにお勧めの曲や、仕事中にお勧めの曲などを、自動でピックアップしてくれるという。

さらに、あいまいなカタカナ発音で洋楽を検索したり、CMタイアップ曲などから検索したりすることも可能で、聴きたい曲をスムーズに探すことができそうだ。

サービスの発表会において、YouTube 音楽部門 プロダクトマネージメント責任者のT.ジェイ ファウラ氏は「オーディエンスに着目した結果、今出ているアプリでは満足できていない層があることがわかり、そのユーザーに音楽サービスを届けようとこのサービスをスタートしました。YouTube Musicは、ユーザーの利用シーンや好みに合わせた曲を、YouTubeにある膨大なミュージックカタログからレコメンドするユニークさを持っています」と、サービスの魅力を強調した。

YouTube 音楽部門 プロダクトマネージメント責任者のT.ジェイ ファウラ氏

無料でも利用できるが、有料のYouTube Music Premiumに登録すると、「広告なし再生」「バックグラウンド再生」「オフライン再生」などが可能になる。料金はWeb/Androidが月額980円で、iOSが月額1280円(ともに税込み)だ。

YouTube 日本音楽ビジネス開発統括担当の鬼頭武也氏は「日本ユーザーの方は通勤通学などで音楽を聴くことが多いと思います。オフライン再生機能では、前日の夜に自宅のWi-Fiで翌日聴くべき曲を自動で更新し、通信なしで聴けるようになります。データの通信量などを気にする必要もないので、非常に便利な機能だと思います」と、オフライン再生のメリットを訴求した。

なお、同サービスには著作権管理システムが働いており、YouTubeと同様に適切な権利コントロールが可能だという。

YouTube 日本音楽ビジネス開発統括担当の鬼頭武也氏

「YouTube Originals」が日本でも始動

また今回、「YouTube Premium」という新しい有料プランもスタートする。料金はWeb/Androidだと月額1180円で、iOSだと月額1550円(ともに税込み)だ。YouTube Music Premiumの機能に加えて、YouTubeでも「広告なし再生」「バックグラウンド再生」「オフライン再生」機能が使えるようになる。

さらに、YouTube Premiumの会員は、12月から日本でも配信される予定のYouTubeオリジナルコンテンツ「YouTube Originals」を視聴することも可能だ。すでに世界30カ国でコンテンツを展開しているが、このたび、日本でも制作がスタート。SEKAI NO OWARIとMARVLEがコラボしたミュージックビデオ制作の裏側に迫るドキュメンタリー「Re:IMAGINE」、YouTuberのはじめしゃちょーが主演する連続ドラマ「The Fake Show」、YouTubeで人気のクリエイターが手がけた「隙間男:Stalking Vampire」の3つだ。

「YouTube Music Premium」と「YouTube Premium」で利用可能な機能
日本で制作される「YouTube Originals」のコンテンツ

発表会には「The Fake Show」に主演する、YouTuberのはじめしゃちょーが駆けつけた。

はじめしゃちょー

「今回僕が出演するのは、今までなかったYouTuberをテーマにしたドラマ。アカウント乗っ取りや炎上など、問題に直面しながらも夢に向かって進んでいく姿が描かれているので、僕の動画を見たことない人にも見てほしいですね」と動画の紹介をするとともに、YouTube Musicについて「普段、広く浅く、さまざまな音楽を聴くので、非常に楽しみなサービスです。ぜひ使ってみたいと思います」と期待を述べた。

なお、YouTube Musicは「Google Home」「Google Home Mini」にも対応予定。そのほか、現在「Google Play Music」を利用しているユーザーは、追加料金なしで移行することができるという。