ICT教育の最先端! 学習環境にこだわった聖徳学園の施設を拝見

ICT教育の最先端! 学習環境にこだわった聖徳学園の施設を拝見

2017.07.26

教育現場へのICT導入が、急速に進められている。端末一人一台体制やプログラミング授業必修など、矢継ぎ早に文部科学省の方針が示されたからだ。そんななか、先進のICT教育環境を整えた学校を見学させてもらった。東京の聖徳学園だ。

案内してくださったのは聖徳学園 教育ビッグデータ エバンジェリスト 情報システムセンター長 ICT支援員 横濱友一氏だ。まず、名刺に印刷されている“ビッグデータ エバンジェリスト”という肩書きに少々驚きを憶えた。エバンジェリストということは、ICT化を進めるほかの教育機関に、助言や指導を行っていることが容易に想像できる。これだけでも、聖徳学園が先進のICT教育環境を整えていることがうかがえる。ただ、横濱氏はエバンジェリストとはいっても、普段は教職なのだそうだ(以下、横濱先生)。

多目的に使えるスペース

採光豊かで明るい教室。写真では3基しか確認できないが、4基のディスプレイが設置されている

続いての驚きが、最初に通された四方をガラスに囲われた部屋だ。採光が豊かで明るいこの部屋は、“学校の一室”というよりも、先進企業の会議室のような様相だ。70インチクラスのディスプレイが4基備えられ、オーディオ機器も充実している。細かいことだが、記者会見のときによくみる、バックパネルまで用意されている。この部屋はどういう用途で使うのか横濱先生にたずねると、「教室です」という答えが返ってきた。

最新のオフィスかと思うほどの施設だが、奥には自習をする生徒や、“早弁!?”(筆者が入室したのは正午前だった)をする生徒がチラホラとみられた。横濱先生は「基本的に、生徒が自主性を持って使える教室になっています」と笑みをみせる。そのほか、複数のクラスが合同で授業を受けたり、国語や数学といった異なる科目の同時授業を行ったりとフレキシブルに使えるようになっている。

印象的だったのは、部屋の片隅に小型の掃除機が用意されていたこと。横濱先生によると、「掃除機ひとつを置いておけば、生徒たちがこの部屋を使ったあとに、自主的に掃除していきます」とのことだ。日本では、小学生の頃から生徒たちが教室を掃除するという習慣が根づいているが、それが中学・高等学校の聖徳学園でも実践されているという証だ。

続いて教室をのぞいてみよう。見学させていただいた教室は、これまで拝見させていただいたほかの学校に比べ、面積的には若干小ぶり。だが、正面と左前にプロジェクターによる投影可能なボードが設置され、多くの情報を伝えるシステムだというのはひとめでわかった。

残念ながら、すでに昼休みとなっていたので実際の授業風景はのぞけなかったが、印象に残る光景を目にした。それは、生徒たちはお弁当を食べながら談笑し、そして手元のiPadで何かしらの情報収集、あるいはコミュニケーションを行っている姿だ。廊下にiPadを手にしていた生徒もみられた。だが、友人との“おしゃべり”、つまり、リアルなコミュニケーションはまったく失われていない様子だった。

「iPadをみせてください」の声に応える生徒。皆、ノリがいい! 廊下でも友達と立ち話しながらiPadを操る生徒の姿がみられた(右)

横濱先生は「社会に出たときに触れるデバイスを“使う心”を育てることに主眼を置いています」と話す。どういうことかというと、社会人でもデバイスに振り回され、トイレに長時間こもりスマホをのぞいたり、運転中にスマホをいじったりということがある。最近では「Pokémon GO」を自転車乗車中、あるいはクルマの運転中にプレイすることが社会問題になった。どんなに新しいデバイスやアプリが出てきても、正しく使える心構えを育てるということだ。デバイスを使っていいときは使い、NGなときには使わない。または、デバイスに夢中になりすぎて、本来やるべきことをおろそかにしないという姿勢を育てているということだろう。

バーチャルなコミュニケーション手段も用意

一方、“バーチャル・コミュニケーション”にも力を入れている。聖徳学園には教職員・生徒をあわせて900人ほどが在籍しているが、それぞれが「Talknote」というSNSアプリを導入し、バーチャルにコミュニケーションを図っている。

たとえば、日曜日の夜に何か問題が起こった際に、生徒が先生にSNSを使って連絡。先生は、月曜の朝にいきなり問題を告げられるのではなく、日曜の夜のあいだになんらかの対策を考える余裕が生まれるという。

また、こんな効果もある。多くの子どもが集まる学校では、やはりリアルなコミュニケーションが不得意な生徒がいる。そうした生徒は孤立しがちだが、それはまわりの生徒がその子のことを理解していないからという場合もある。だが、リアルなコミュニケーションが不得意な生徒がSNSで自分のことを発信し、それをほかの生徒が理解すれば、リアルなコミュニケーションに発展する。

ただ「しばしばSNS上で仲違いも生まれます(笑)。そんなときでもSNS上で仲裁する生徒が現れて、かえってグループとしてのコミュニケーションが深まります。教師としては、ログとして会話が残るので、何が仲違いの原因なのか、判断しやすくなるのがメリットでしょう」と横濱先生は話す。

さて、せっかくなのでほかの施設もザッとみてみよう。聖徳学園は創立90周年を迎え、記念事業として各所をリニューアルしたそうだ。美術・技術室、音楽室などには例外なくプロジェクター投影機能が備えつけられた最新のものだった。

特に印象に残ったのは“和室”。書道といった授業に使われるとのことだが、これほど本格的な和室を備えた学校はそうないだろう。

極めつけは、スタジオの存在で、映像や写真撮影に使われるという。和室もそうだが、スタジオを備えた学校というのも珍しいのではないか。

真新しい畳が敷かれた和室。スタジオも用意されている

こうした施設を見学させていただき、ICTだけではなく総合的に学びの環境を整えているのだなと理解した。これほどの学舎に通えるのは素直にうらやましいと思いながら、ガヤガヤと楽しそうにする生徒たちの声を背に、聖徳学園をあとにした。

新AQUOSは“片手ポケット族”狙う iPhone不在の「小型スマホ」市場に勝機

新AQUOSは“片手ポケット族”狙う iPhone不在の「小型スマホ」市場に勝機

2018.11.16

シャープが新スマホ「AQUOS R2 compact」を発表

大画面化の波に逆らい、「片手ポケット族」が増加傾向に

iPhone不在の「小型スマホ」市場を狙う

11月15日、シャープがAndroidスマートフォンの新製品「AQUOS R2 compact」を発表した。名前に「compact」と付いている通り、最近のスマホ市場では選択肢が減っている小型モデルであることが特徴だ。

小型スマホの需要を取り込む「AQUOS R2 compact」

コンパクトな見た目とは裏腹に、中身にはハイエンドである「AQUOS R」シリーズのスペックを詰め込んでいる。世界的にスマホの大画面化がトレンドとなっている中で、あえて時代に逆行するシャープの狙いはどこにあるのだろうか。

スマホを片手で持ち、ポケットに入れて使う人が増加

世界のスマホ市場では、6.5インチの「iPhone XS Max」に代表される大画面モデルが人気を博している。だが、日本では通勤電車などの利用シーンにおいて、片手で使う人が多いといわれている。シャープによれば、スマホを片手で持つ人は64% 、服のポケットに入れて持ち運ぶ人は49% に達しており、その割合は上昇傾向にあるという。

片手で持ち、ポケットに入れて持ち歩く「片手ポケット族」が多いという

その背景として、シャープはスマホの「インフラ化」を指摘する。SNSやコンテンツを楽しむだけでなく、サービスの利用やモバイル決済にスマホは欠かせない存在になっており、日常生活でスマホを取り出す場面が増えている。

AQUOS R2 compactは、日本人の手のサイズを念頭に置いた「横幅64mm」のボディに、できるだけ高性能な部品を詰め込んだハイエンドコンパクト機になっている。プロセッサは最新のSnapdragon 845、メモリは4GBを搭載しているが、これは大画面モデルのAQUOS R2と同等だ。

ポケットに入れやすいサイズに高性能を詰め込んだ

スマホ本体を小型化する一方、画面は前モデルの「AQUOS R compact」より大型化した。このためにシャープは画面の上下に切り欠き(ノッチ)を持つIGZOディスプレイを開発。インカメラと指紋センサを搭載しつつ、表示領域を上下に広げてきた。

前モデル(左)と比べて新モデル(右)は表示領域が広がった

「iPhone不在」の小型スマホ市場を直撃

シャープによれば、小型スマホを求める人は全体の3割程度という。スマホ市場では残りの7割に向けた大画面モデルが幅を利かせており、最新のiPhoneでは6.5インチのXS Maxに加え、一般向けモデルの「iPhone XR」も6.1インチとなっている。

一方、小型モデルとして根強い人気のあった「iPhone SE」は、後継モデルが出ないまま販売が終了。中古市場では価格が上昇する騒ぎもあった。

日本で最大シェアを誇るiPhoneだが、小型スマホ市場では存在感が薄れつつある。ソニーモバイルはXperiaシリーズのコンパクト機を投入しているが、2018年夏モデルの「Xperia XZ2 Compact」と比較して、シャープ機は画面の大きさ、薄さ、軽さの面で圧倒している。

中国メーカーとして日本でも勢いを伸ばすファーウェイ、OPPOも世界市場において大画面化競争を繰り広げており、小型モデルに積極的な動きは見せていない。この点もシャープにとって有利に働いている状況だ。

また、AQUOS R2 compactは顔認証と指紋認証の両方に対応しているのも特徴。これは、iPhoneにもXperiaにもない機能だ。スマホをポケットから取り出し、顔の前に持ち上げるだけでロックを解除できる顔認証だが、卓上に置いている場合は使いにくい。だが指紋センサがあれば、指を置くだけで済む。

顔認証に加えて指紋認証にも対応

スマホの端末メーカーの多くはグローバル市場に目を向け、大画面化のトレンドを追いがちだ。だが、シャープは国内の需要をしっかりとらえた上で、日本のユーザーに刺さる製品作りを続けている。

依然としてiPhone人気が続いている中で、限られた市場であっても「不在」のチャンスをタイムリーに活かし、ユーザーを奪還する。国内に目配りできるシャープならではの戦い方に注目したい。

大画面化するスマートフォン 使いやすさの試行錯誤は縦長から折り畳みへ

知って納得、ケータイ業界の"なぜ" 第23回

大画面化するスマートフォン 使いやすさの試行錯誤は縦長から折り畳みへ

2018.11.16

海外メーカーの台頭で日本にも大画面化の波が到来

大画面化と使いやすさの両立、各社の工夫の歴史

縦長スマホにとって代わるのは「折り畳み」スマホか

スマートフォンのディスプレイは年々大型化が進んでおり、かつては「大きすぎる」と言われた5インチディスプレイが、今や小さい部類に入ってしまうほどだ。一方で使いやすさを維持しながらディスプレイの大画面化を実現するため、メーカー各社はさまざまな工夫を重ねている。スマートフォンのディスプレイサイズはなぜ大きくなり、今後はどのように変化していくのだろうか。

海外メーカーの台頭で日本でも大画面化に拍車

スマートフォンにとってディスプレイは、単に情報を表示するだけでなく、タッチして操作するインタフェースも兼ねている非常に重要な存在だ。そのスマートフォンのディスプレイが、ここ10年ほどで最も大きく変化した要素が「サイズ」である。

どれくらい大きくなったのかというのは、新旧のスマートフォンのディスプレイサイズを比べてみれば一目瞭然だ。日本で最初に発売されたiPhoneである「iPhone 3G」のディスプレイサイズは3.5インチだった。一方、「iPhone X」や「iPhone XS」、「iPhone XR」といった最近のiPhoneのディスプレイサイズは6インチ級があたりまえ。1.7倍に以上に拡大しているのだ。

今やスマートフォンのディスプレイサイズは5インチ以上が一般的で、6インチも珍しくなくなった。画像の「iPhone X」のディスプレイサイズは5.85インチだ

さらに「iPhone XS Max」は6.5インチもあるし、他の大手メーカーでもサムスン電子の「Galaxy S9+」やファーウェイの「HUAWEI P20 Pro」のように、6インチを超えるディスプレイを採用した機種は増えている。なぜ、これほどまでにディスプレイサイズが大きくなったのかというと、それは大画面が欲しいというユーザーが多いため。スマートフォンの性能向上によって動画やコミック、ゲームなどのコンテンツを楽しむ人が増えていることから、ユーザーのニーズに応えるかたちで、大画面が求められるようになったといえよう。

だが日本国内の事情に目を向けてみると、公共交通機関での通勤・通学が多いのに加え、片手で文字入力ができる「フリック入力」が広く普及したこともあり、片手でスマートフォンを操作する傾向が強く、実は大画面に対するニーズはそこまで大きい訳ではない。実際日本では、4インチディスプレイの「iPhone SE」が人気を保っていたし、シャープの「AQUOS R Compact」やソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia XZ2 Compact」などのように、4インチ台のディスプレイを採用したコンパクトなスマートフォンも投入されている。

2018年の夏モデルとして販売されている「Xperia XZ2 Compact」は4.9インチと、最近では珍しくなった4インチ台のディスプレイを採用したコンパクトモデルだ

にもかかわらず、日本でも大画面のスマートフォンが増えているのはなぜか。まずは国内のスマートフォンメーカーが減少したことで、市場に海外メーカー製のスマートフォンが増えているためだ。海外では移動手段の違いに加え、文字入力システムの違いからスマートフォンを両手で持って操作する機会も多く、片手操作に対するこだわりが弱いのだ。

新興国などでも、ディスプレイサイズが大きいほど人気が出る傾向が目立ち、大画面に対するニーズが強いのである。海外製スマートフォンが日本市場に入り込みやすくなったことが、日本国内においてもスマートフォンの大画面化を進めたといえる。

縦長スマホの元祖はアップルだった?

とはいえ、スマートフォンが大画面化するに従って、本体の横幅がひろがり、さすがに海外のユーザーからも「持ちづらい」という声が増えてきたようだ。そこで近年急速に増えているのが、従来の16:9比率ではなく、18:9や19:9といった縦長比率のディスプレイの採用である。

持ちづらさに影響する横幅をこれ以上広げることなく、ディスプレイを縦に伸ばすことで大画面化しようとしたのだ。この流れをけん引したのは韓国メーカーで、2017年にはLGエレクトロニクスが「LG G6」(日本未発売)、サムスン電子が「Galaxy S8/S8+」といったように、縦長比率のディスプレイを採用した機種を積極的に投入した。

2017年発売の「Galaxy S8」「Galaxy S8+」は、18.9:9と縦長比率の有機ELディスプレイ「インフィニティディスプレイ」を採用したことで大きな話題となった

この韓国の両メーカーとも、グループ内にディスプレイデバイスを開発する企業を持っている。それゆえ縦長比率のディスプレイが生み出されたのには、実は大画面化だけが目的ではない。自社のスマートフォンに新しいディスプレイをいち早く搭載し、トレンドを作り上げることで、グループ企業のディスプレイデバイス販売拡大につなげる狙いもあったといえる。

だが、縦長ディスプレイで大画面化するというアイデアを真っ先に実践したのは、実はアップルである。アップルはかつてディスプレイの大画面化に消極的で、2011年発売の「iPhone 4s」までは3.5インチのサイズにこだわっていた。だが大画面化を求めるユーザーの声を受け、2012年発売の「iPhone 5」でディスプレイサイズを4インチに拡大した際に、ディスプレイの横幅はそのままに、縦に長くするという手法をとったのである。ある意味、アップルは5年前に現在のトレンドを先取りしていた、といえるかもしれない。

スマートフォンのディスプレイを縦に伸ばして大画面化するというアイデアをいち早く実践したのは、アップルの「iPhone 5」だった

しかしながら、ディスプレイを縦に伸ばして画面サイズを大きくする工夫にも、いずれ物理的な限界が来ることは目に見えている。そこで、さらなる大画面化の追求で、いま注目されているのが折り畳み式ディスプレイだ。このアイデア自体は、NTTドコモが2013年の「MEDIAS W」(NECカシオ モバイルコミュニケーションズ製)、2018年の「M」(ZTE製)で既に実現しているものだが、いずれも2枚のディスプレイを用いていたため、どうしても画面の折り目に継ぎ目が発生してしまう弱みを抱えている。

折り畳みスマートフォンとして注目されたNTTドコモの「M」は、2枚のディスプレイを用いるスタイルであるため折り畳み部分に継ぎ目が発生してしまう

だが有機ELを用いれば、ディスプレイを折り曲げられる“真の”折り畳みスマートフォンが開発できると言われており、大手スマートフォンメーカーがその開発を進めているとの観測報道も幾度となくなされている。

これは折り畳みできるという意味の「フォルダブル」スマホなどと呼ばれ、先ごろはサムスン電子が、来年発表するというフォルダブルスマホ「Galaxy F」のプロトタイプを開発者向けに見せはじめたりしている。2019年は各社から製品が登場するのではないか? との声もあるようだが、いま確実に言えることは、真の折り畳みスマートフォンがいつ、どのメーカーが、どのような形で投入するのかが、大いに注目されているということだけである。