フードデリバリーサービスにあらず、「LINEデリマ」が目指す最終形態

フードデリバリーサービスにあらず、「LINEデリマ」が目指す最終形態

2017.07.27

LINEは26日、「LINEデリマ」を開始した。LINEの中からデリバリーサービスの注文や決済が行えるサービスだが、「LINEショッピング」でオンラインからオフラインへの送客(O2O)戦略を進めるLINEが、デリバリービジネスに進出する理由はどのようなものだろうか。

LINEがデリバリーサービスを開始

全国約1万4000店舗がサービス提供

LINEデリマは、LINEと宅配総合サイト「出前館」を運営する夢の街創造委員会(以下、夢の街)が共同でスタートする宅配ポータルサービス。LINEアプリ内の「Moreタブ」(LINEアプリ最下段の右端のアイコン)から「LINEデリマ」を選択してアクセスする(表示されない場合はLINEアプリを最新版にアップデートすること)。

LINEアプリ内に「LINEデリマ」が追加。先月のLINEショッピングと同様にアプリ内からアクセスできるサービス
LINEデリマのアカウントはキーワードに対応した自動返信botだけでなく、現在地から検索したり、イベント用のクーポンがもらえるなど、公式アカウントの使い方のお手本のような作りだ

LINEデリマでは出前を取れる店舗を、料理のジャンル、店舗名、エリアなどから検索できる。現在地から近い店で検索することも可能だ。食べたい料理を選んだら、配達時間や支払い方法、配達先などの情報を入力して注文する。支払いには元になる出前館の支払い方法はもちろん、LINEポイントやLINE Payを充当することもできる。

またLINEデリマの公式アカウントを友達に登録しておくと、チャットで食べたいジャンルをつぶやけば、そのジャンルのリストを見せてくれたり、現在展開中のイベントを紹介してくれたりする。

対応するショップは、出前館で利用できるすかいらーくグループ(ガスト、バーミヤンなど)、ピザ、イタリアン、中華、寿司などのチェーン店が名を連ねる。公式発表では初期段階で全国の約1万4000店舗が対応しており、現在「準備中」と表示される店舗も今後、随時追加されていく予定だ。

なぜデリバリー事業に進出したのか

LINEデリマでは集客をLINEが行い、実際のサービスは送客された先の出前館が行うといった形になる。ちょうど6月にスタートしたLINEショッピングと同じ構造だ。LINE自身は以前、iPhoneアプリからフードデリバリーや買い物代行を頼める「LINE WOW」というサービスを展開していたが、1年程度で終了した経緯がある。ではなぜ今、再びデリバリー事業に向かうのだろうか。

LINE WOWは高級店からのデリバリーが受けられるなど、サービスとしての魅力は高かったが、都市部でしか展開できなかった。一方、LINEデリマならパートナーと組むことで全国区で展開でき、LINEが持つユーザー規模と、パートナーのエリアカバレッジの相乗効果が期待できることになる。

LINEでO2O事業を統括する藤井英雄執行役員によれば、もともと出前館では利用者の55%が女性ユーザーと女性比率が高かったのだが、LINEデリマの事前テストでは、女性比率が実に72%にまで跳ね上がったという。パートナー側としては、これまでにないユーザー層の開拓が大いに期待できるというわけだ。

女性比率が高いのはLINEのヘビーユーザーに女性が多いことの表れと言えるだろう

また、夢の街の中村利江社長によれば、「出前館」は元々専門的なサイトでコンバージョン率もリピーターも多かったが、知名度が低いことで伸び悩んでいたという。そこをLINEのユーザー集客力でカバーすることで互いに補完しあえることになる。ユーザーが増えることで危惧されたコンバージョン率の低下も工夫することで元に近い数値が出るようになったということで、今の所メリットのほうが大きいようだ。

LINEデリマでは将来、生鮮品や日用雑貨、医薬品へとカテゴリーを拡大したいとしている。生鮮品などのデリバリーという点では、たとえばAmazonのPrime Nowなどがあるが、倉庫のある場所から一定のエリアしか対応できないPrime Nowと違い、提携店が近くにあれば対応できるLINEデリマの日用品デリバリーは、全国展開の面で有利だ。特に一人暮らしで車を持っていない都市部の若者などは、普段使っているLINE内からの宅配を便利に活用するだろう。

デリバリー市場全体は2兆円以上の規模があるというが、O2O事業で2018年に流通額1000億円を目指すLINEにとって、LINEデリマはある意味、LINEショッピングよりも目に見えた効果を期待しやすいサービスになるかもしれない。LINE WOW撤退から2年、LINEの再挑戦がどのような形で身を結ぶか、期待したい。

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

NewsInsightは、諸般の事情により記事更新を終了いたします。

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なお、NewsInsightに掲載中の記事につきましては、引き続きマイナビニュース(https://news.mynavi.jp)へと掲載場所を移管いたします。

掲載中の連載記事につきましても同様に、マイナビニュースへ移管いたします。各連載記事の新しい掲載URLにつきましては、以下となります。

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○森口将之のカーデザイン解体新書
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○清水和夫の自動運転ソシオロジー
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○ゲームとともに振り返る“平成”という時代
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○岡安学の「eスポーツ観戦記」
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○企業戦士に贈る「こむぎのことば」
https://news.mynavi.jp/series/komuginokotoba

○藤田朋宏の必殺仕分け人
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○「食べる」をつくる科学と心理
https://news.mynavi.jp/series/food_science

○阿久津良和のITビジネス超前線
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○山下洋一のfilm@11
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○モノのデザイン
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○知って納得、ケータイ業界の"なぜ"
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○文具ソムリエール・菅未里の「新しいコンパス」
https://news.mynavi.jp/series/bungu

○活字・写植・フォントのデザインの歴史 - 書体設計士・橋本和夫に聞く
https://news.mynavi.jp/series/font-history

○カレー沢薫の時流漂流
https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu

最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu