体裁にとらわれず次々と新事業に挑む“エネルギーのガリバー”東電

体裁にとらわれず次々と新事業に挑む“エネルギーのガリバー”東電

2017.06.01

2017年4月、ガス自由化が実施された。ご存じのとおり昨年4月には電力完全自由化が始まっており、電力販売だけみても、現在およそ400社のいわゆる“新電力”と呼ばれる企業が参入してきた。そしてガス自由化にともない電力の“ガリバー”が動く。

電力のガリバーといえば、もちろん東京電力のことだ。2017年2月時点で21,853,643千kWhを誇る電力販売量は、2位の中部電力の電力販売量10,890,518千kWhを大きく引き離し、圧倒的な1位(数値:一般社団法人エネルギー情報センターより)。ただ、もっとも人口を抱える首都圏に電力を供給しているのだから、当然といえば当然といえる。

しかし、着目したいのは、電力だけではなく天然ガス(LNG)の分野においても日本トップクラス、いや世界でも屈指の事業者になりうるポテンシャルを秘めていることだ。

その最大の原動力がJERAという企業だ。この企業は東京電力と中部電力の発電部門が50%ずつ出資して設立された合弁企業。燃料上流・調達を主事業とし、年間約4,000万トンものLNGを調達し、東京電力や中部電力などに供給している。ちなみに東京ガスは、この4月に九州電力と提携し、両社のLNG調達量は約1,800万トンとなる。ガス販売が本業の東京ガスと比べても、JERAのLNG調達量が抜きんでているのがわかる。

世界中からLNGを調達するJERA。写真はアメリカからのLNG調達で同国からは日本初(写真:JERA)。右はLNG貯蔵基地機能を有した東扇島火力発電所(写真:東京電力HD)

LNG調達量が増えた理由

ただ、東京電力がこれほどLNGを調達しなくてはならないのには、大きな理由がある。福島原子力発電所の事故により、原発での発電がままならないからだ。化石燃料による発電は石炭・石油といった選択肢もあるが、CO2の排出量に難がある。水力や太陽光、風力といった再生可能エネルギーによる発電は、電力量が少ないうえ、天候に左右されるという難がある。原子力が使えないという現状を考えると、LNGによる発電に頼らざるをえないということだ。

とはいえ、電力供給量、LNG調達量から考えると、“電力のガリバー”ではなく“エネルギーのガリバー”といってもまったく過言ではなく、国の根幹をなす企業であることは確かだ。

と、ここまで書くと、東京電力は日本を支える巨大エネルギー企業のため、ともすれば“威圧的”“傲慢”というイメージに結びつくかもしれない。だが、独占的事業に“あぐら”をかいているような企業ではないことを、ここ最近、強く感じている。

では、なぜ、そのように感じるようになったのか。それは、目立たないが電力供給以外のサービスに積極的に乗り出しているからだ。

たとえば、2017年初頭から提供し始めたスマートフォンアプリ「TEPCO速報」。これは、停電情報や地震情報、雨雲情報をプッシュ通知でユーザーに知らせてくれるアプリだ。停電情報の提供は、電力事業者であることを考えれば当然ともいえる。それに加え、地震情報、雨雲情報を入手できるのがうれしい。特に後者は、近年、猛威をみせているゲリラ豪雨に、「最寄りのコンビニで傘を買う」「喫茶店に逃げ込んでおく」といった、なんらかの対策を打つための材料として活用できそうだ。

工業地帯ブームにマッチしたインスタグラム

TEPCO公式インスタグラム

「ん!?」と思ったのが、東京電力ホールディングスが公式インスタグラムを開設したこと。これは、発電プラントや鉄塔、本社ビルといった東京電力が管理する設備をプロカメラマンが撮影し、インスタグラムで公開するという試み。東京電力から「インスタグラムを始めます」と事前にアナウンスを受けたが、「そんな場合かなぁ」と、そのときは正直思った。だが、公開された写真はどれもクオリティが高く、盛り上がりをみせる“工業地帯ブーム”にもマッチしているため、根強いファンが増えそうだ。そして何より、東京電力がどのような設備を保有しているのか、多くの方々に知ってもらえる効果がある。

スマホアプリにしてもインスタグラムにしても、東京電力が一般消費者向けにサービス強化を進めている表れともいえるのではないか。

そのほかにも、今年に入り続々と新事業を打ち出している。

まずこの春に、「ドローンハイウェイ」をゼンリンと共同で開発すると発表した。すでに既報したので詳細には触れないが、これはドローンが飛行する際、送電線を“道しるべ”にするという構想だ。法整備や安全性の確保といった課題は多く残るが、物流や農薬散布、災害時の被害確認といった領域でドローンは大きく期待されている。その市場にいち早くくい込みたいという、東京電力の意欲が伝わってくる。

地域に根ざした活動も目立ってきた。

5月には渋谷区と見守りサービスを展開するotta、そして東京電力HDによる共同記者会見が開かれ、防犯に対する取り組みが発表された。

これは、IoTを活用した見守りサービスで、ビーコンを内蔵したキーホルダーなどを子どもや高齢者に所持してもらい、発信電波を基地局で受信。現在、どこにいるのかをスマホやパソコンで把握できるという仕組みだ。東京電力はこの取り組みの中で、基地局の整備を担当する。公共施設や民間施設のほか、キリンビバレッジバリューベンダーと協力し、飲料自動販売機を基地局にするという。6月から渋谷区全域で実証試験がはじまり、いずれは有償サービスとして提供していきたい考えだ。

基地局に設置されるレシーバー(左)。右はビーコンで、スマホに現在地が表示されている

さらに大日本印刷と朝日新聞、東京電力パワーグリッドによる「うえのビジョン」という実証試験も開始される。これは東京電力PGが保有する約50,000基の配電地上機器を活用し、デジタルサイネージを展開するというもの。広告だけではなく、災害時には避難情報の表示などにも活用されるという。まずは上野恩賜公園で試験を行い、安全・安心な街づくりにつなげたい考えだ。

調印書を手にする長谷部健渋谷区長(左)と東京電力HDの見學信一郎氏

福島復興のための収益増をにらむ

このように次々と新規事業を打ち出す背景には、福島復興の責任を果たさなければならないということがある。事実、渋谷区の見守りを担当する東京電力HD 常務執行役 見學信一郎氏は、「福島復興のため、収益の可能性がある事業に積極的に取り組みたい」と話す。

また、東京電力のこうした一連の動きをみると、あることに気づく。それは、新規事業への取り組みにスピード感をみてとれること。2016年4月に、東京電力はホールディングス制に移行した。東京電力HDのもと、発電部門の東京電力フュエル&パワー、送電部門の東京電力パワーグリッド、販売部門の東京電力エナジーパートナーの3社に分割された。それにより、小回りが利くようになったと考えられる。

さらに、これまで電力供給のみに使われてきたインフラを他事業で生かそうとする姿勢が伝わってくる。大型投資ではなく、すでにある設備をうまく活用し、収益向上につなげたいというワケだ。

電力自由化・ガス自由化にハナシを戻そう。昨年の電力自由化により、数多くの企業が電力市場に参入したが、躍進したといわれるのが東京ガスだ。今年3月末の時点で約72万8,000件の契約を獲得した。東京電力の契約者数は2,900万件以上だが、同社としては見過ごせないだろう。

居住者との接点を増やす施策

この東京ガス躍進の立役者が、東京ガスライフバルだ。この企業は、ガス機器のメンテナンス・修理をおもな事業としている。ガス機器のメンテナンスなどは、基本的に居住者立ち会いのもと行われるが、その際にガス+電力のセットプランを“フェイスtoフェイス”で営業できるのが功を奏した。一方、電力は屋外にある電気メーターをチェックするので、居住者との接点は少ない。

生活かけつけサービスのホームページ

東京電力は、そんな状況を忸怩たる想いでみてきたのだろう。このガス自由化に合わせ“秘策”を投入してきた。それが「住宅設備・家電修理サービス」と「生活かけつけサービス」だ。前者は月額250円で、購入・設置から10年以内のエアコン、冷蔵庫、洗濯機といった家電製品の故障を修理するというもの。後者は月額300円で水まわりのトラブル、カギ紛失時の解錠、割れた窓ガラスの撤去といった対処を行う。つまり、居住者との接点を増やす施策を開始したのだ。

さて、東京電力は7月1日からガス市場に本格参入する。このガス事業で反転攻勢となるか……勃発した「エネルギー平成の陣」の行方から目が離せない。

ポルシェの次に買うクルマ? 安東弘樹、ルノー「メガーヌ R.S.」に乗る!

安東弘樹のクルマ向上委員会! 第18回

ポルシェの次に買うクルマ? 安東弘樹、ルノー「メガーヌ R.S.」に乗る!

2019.03.27

ルノーの5ドアハッチバック「メガーヌ R.S.」に試乗

やっぱりMT車が好き! 高性能モデルの登場に高まる期待

もしも(好きなように)クルマが買えたなら…安東さんの人生設計

安東弘樹さんに同行した日本自動車輸入組合(JAIA)試乗会も、いよいよ最後の1台となった。残すはルノーの「メガーヌ R.S.」だ。愛車のポルシェ「911 カレラ 4S」から乗り換える候補の1台として、「ある程度は本気で」購入を検討しているというこのクルマを、安東さんはどう評価するのか。

MT車の日本導入を待って購入を検討?

「メガーヌ R.S.」は5ドアハッチバック「メガーヌ」の高性能モデル。「R.S.」はルノーのモータースポーツ活動を担う「ルノー・スポール」の頭文字だ。このクルマについては以前、モータージャーナリストの塩見智さんに試乗してもらったので、詳しくはこちらの記事をご覧いただきたい。

「メガーヌ R.S.」に乗り込んだ安東さん

安東さん(以下、安):(乗り込んですぐ)ドアヒンジは多くの日本車と同じでプレスですね、開ける時に軽い感じがします()。(しばらく走って、高速道路に入りつつ)さすがはFF(前輪駆動車)、急加速すると暴れますね(笑)。

【編集部注】ドアヒンジとはドアとクルマをくっつけている部品のこと。ここの作りによってドア開閉時の重厚感、ひいてはクルマの上質感に差が出ると安東さんは語る。細かいポイントのようだが、ドアヒンジについてはマツダミニの取材でも話題になった。

編集部(以下、編):今回、メガーヌ R.S.に試乗してみたいと思ったのはなぜですか?

:すごく気になっていたクルマなのですが、まだ乗ったことがなかったので、どうしても今回、運転してみたかったんです。今回のクルマはDCT(デュアルクラッチトランスミッション)ですが、MT(マニュアルトランスミッション)車を今、待っている状態です。ただ、急加速した時の“暴れん坊感”を体験してみて、いくら電子的に制御しても、FFには限界があるなとも感じました。じゃじゃ馬を乗りこなす、というところにカタルシスを感じる人もいるとは思いますけど。

「メガーヌ R.S.」のボディサイズは全長4,410mm、全幅1,875mm、全高1,435mm。価格は440万円だ

:MTだったら欲しいクルマですか?

:はい。もうすぐ、MTが日本に導入されるらしいのですが、欲をいえば、「メガーヌ R.S. トロフィー」というグレードを待ちたいです。R.S.は279馬力ですが、トロフィーは300馬力なんで。

:「待ちたい」っていうのは、真剣に購入を検討していて、待ち構えているという感じですか?

:うーん、ある程度は本気で考えているっていう感じでしょうか(笑)。次もポルシェ「911 カレラ 4S」に乗るのが理想ではあるんですけど、それこそ、私の稼ぎ次第というか、買えない可能性もあるので……。今の911は、乗り始めてから10年になりますし、乗り換えたいタイミングではあります。

:その乗り換え候補の1つが、「メガーヌ R.S. トロフィー」だというわけですね。ただ、素人なので分からないんですけど、最近の安東さんの露出ぶりを見ている限り、次もポルシェで大丈夫なんじゃないですか?

:どうでしょうねー、想像もできません(笑)。今回の確定申告で、どのくらいの税金を払わなきゃいけないのかにもよりますし。フリーになって初めての確定申告なので、正直、怖いです。

:この間の「バラいろダンディ」(TOKYO MXで放送中のテレビ番組、安東さんは火曜レギュラー)で、「これから、税理士さんと話をする」っておっしゃってましたもんね(笑)

:いくらくらいの税金になるのか、それによっても変わってきます。ただ、フリーランスになってもうすぐ1年経ちますが、この収入では、新しい911には手が届きません(笑)

:本当ですか?

:今の911と同じように長期ローンを組めば、あるいは……。とは思いたいですが、新しい「911 カレラ 4S」を自分が乗りたい仕様で買うと、税金なども含めた乗り出し価格が2,200万円弱になってしまいます。日々忙しいのですが、薄利多売でやっているので、くどいようですが、本当に現状、購入は難しいです(苦笑)

1台はスポーツカーを所有しておきたいという安東さんだが、次に何を買うのかは将来の収入次第だそう。「メガーヌ R.S.」もMT車が気に入れば候補に入るようだ

:(メガーヌの走行モードを変更して)「レースモード」に設定すると、ESC(横滑り防止装置)がカットになるんだ……。自動ブレーキもオフになりますが、それは当然ですよね。サーキットを走っていて、前走車に近付くたびにブレーキが掛かったら、たまったものではないですから(笑)。このモードに入れても、そんなに乗り心地が硬くならないというか、不快感はないです。

法定速度で走っている限り、レースモードにする意味はあまりないでしょうけど、腕と環境が許せば、滑らせながら走ってみたいですね! MTだったら楽しいだろうなー。あと、パドルシフトは下まで伸びていて欲しいです。乗り始めてから、5~6回は空振りしてますから。

パドルシフトとは、指による操作でクルマのギアを上げ下げできる装置のこと。画像では分かりにくいかもしれないが、ステアリングの後ろに付いている
一般的にパドルシフトの操作部分は縦に長いが、「メガーヌ R.S.」のパドル(赤い十字マークが付いているところ)は上方向に長く、下方向に短い造形になっている。そのため、パドルの下の方を指で操作しようとして、何度か空振りしてしまったと安東さんは話しているのだ

:パドルシフトがステアリング連動式なので、コーナーを曲がっているときの操作も、少しやりにくいですね()。

【編集部注】パドルシフトには、ステアリングに連動して動くものと、ステアリングコラムに固定されているものがある。

:ステアリングと一緒にパドルシフトが動くのと、固定してあるのだと、どちらがいいんですか?

:メルセデスもそうですけど、ドイツ車はステアリングに連動して動く方が主流ですよね。ただ、ステアリングを切って(左右が)逆さまになっている時、パドルシフトの位置も逆になるので、どちらがプラス(ギアを上げる方)だか分からなくなることがあるんですよ。そこが難しいところで、だから「GT-R」(日産自動車)とかも固定式ですし、基本的にラリー用のクルマもコラム固定式ですね。

:ステアリングを切りまくるからですか?

:そうです。だけど、F1などのフォーミュラカーだと、ステアリングにシフトパドルが付いていて連動しますね。なぜなら、ステアリングを切っても最大で半回転ですから、左右の手を持ち替えないので、当然、その方が好都合です。

だから、このクルマ(試乗中のメガーヌ)は、ステアリングを大きく切っている時でも、シフト操作に迷わない事を優先させたんでしょうね。

:山道でヘアピンを抜ける時とかですか?

:そうですね。これ、好みは分かれると思います。

「メガーヌ R.S.」は1.8L直列4気筒16バルブ直噴ターボエンジンに電子制御6速ATのトランスミッションを組み合わせる

:このクルマ、小さいように見えて、幅が1,875mmもあるんですね。

:そう、結構あるんですよ。「Eクラス」(メルセデス・ベンツ)より幅が広い。

:メガーヌって、前のモデルまで3ドア(ハッチバック)が中心だったみたいですね。5ドアになって、見た目とかどうでしょう?

:このデザイン、僕は好きですね。先代よりも好きです。絶妙な“カタマリ感”があって、色もいい。シンプルなのに存在感があるという嬉しいデザインです。

:歴代のメガーヌ R.S.は、ニュルブルクリンクで素晴らしいタイムをたたき出してきたそうですが、そのあたりには惹かれますか?

:そこは、そんなに重視しません。ただ、メーカー同士が競い合ってくれる分にはいいんですけどね。ましてやFFですし、ちゃんと手なずけて走って、技術の革新というか、そういうところでメーカー同士が競い合ってくれているのは悪いことではないと思います。

:ただ、安東さんとしては、走りについては自分で確かめたい?

:そうですね。だから、こっちの方が数字が上だから買う、という感覚はありません。

:安東さんの頭の中にはクルマのスペックがたくさん入っていますけど、数字で比べて買おうというのではなく、ただ、好きだから頭に入っているだけなんですか?

:覚えようとしているんじゃなくて、スペック(諸元)表を見てると、自然に覚えちゃうんですよ。これ(試乗中のメガーヌ)だと、最大出力が279馬力ですよね?

:合ってます。

:それで、205kWじゃなかったでしたっけ?

:ごめんなさい、手元の資料にキロワットまでは書いてきてないです。

:206kWだと、280馬力になるんですけどね。

:……。

「メガーヌ R.S.」の最大出力は279ps(205kW)、最大トルクは390Nmだ。車両重量は1,480キロ

:数字的には見劣りしても、自分がいいと思えば買うというのが、安東さんのクルマ選びということですね。もし、次の911が何らかの理由で買えなかった場合は、メガーヌもアリだと思いましたか?

:MT車に乗ってみないと、何とも言えませんねー。急加速した時の暴れぶりを体験して、FFの限界は感じましたけど、MTなら、もう少し自分で制御できるかもしません。ただ、やっぱり楽しいクルマだなとは思いましたね!

:今回、たくさんの輸入車に乗っていただきましたけど、総評として、心に残ったのは?

:やっぱり、あの加速感も含め、テスラですね。何でも電気で動くので、後席のファルコンドアなんかが壊れたら目も当てられないとは思うんですけど、ただ、インパクトとしては「モデルX」になりますね。

もしも収入が激増したらどんなクルマに乗りたい?

購入を決めたメルセデス・ベンツ「E220d 4MATIC オールテレイン」には、何年乗る予定ですか?

:今の「F-PACE」よりも早いペースで走行距離が伸びる可能性があるので、2年で7万キロあたりが見えてくると、乗り換えを考えるかもしれません(※)。まあ、2年後に私の収入がどのくらいになっているかにもよりますけど……。

【編集部注】ジャガーのSUV「F-PACE」とポルシェ「911 カレラ 4S」の2台を所有している安東さんだが、通勤に使っているF-PACEは走行距離が伸びてきている上、大柄なサイズの問題で駐車場を見つけるのが大変なので、これをメルセデス・ベンツ「E220d 4MATIC オールテレイン」に乗り換える。サイズ的に駐車場が見つけやすい分、オールテレインの稼働率はF-PACEよりも高くなることが予想されるので、代替サイクルは早まるかもしれない。オールテレインが納車されるのは2019年5月の予定。その時点で、F-PACEには2年8カ月乗ったことになる。

:もし、収入がものすごく増えたら、所有するクルマの構成はどうしたいんですか?

:やっぱり「911」と、あとは「ヴェラール」(レンジローバー)のディーゼルエンジン車を買って、もう1台は小さいディーゼルエンジンのクルマで、それは「デミオ」(マツダ)なのか「ミニ」なのか分からないんですけど、そんな感じですかね。それか、プジョーの「308 アリュール」か……。

「308 アリュール」って、今までは税制的に中途半端な1.6リッターのディーゼルエンジンを搭載してたんですけど、それが1.5リッターになって、しかも、パワーアップしたんですよ。それに、何が嬉しいって、パドルシフトが付いたんですよ! 今までは上級グレードにしか付いてなかったんですけど。

プジョー「308 Allure」(アリュール)

:なるほど、収入が大幅に増えたら、クルマを2台にしておく必要もないですもんね。駐車場を借りて、3台持ってもいいわけで……。

:駐車場を借りるというか、3台のクルマを入れられる車庫が付いた家に建て替えるのが夢ですね。

:その可能性も、フリーになった今だと、高まってますよね。会社員でいるより、大きく稼げるチャンスがあるわけですから。

:そうですね、可能性は“ゼロ”ではないですね(笑)

:これも「バラいろダンディ」で聞いたような気がするんですけど、ある程度の金額を稼いだら、お仕事はやめるっておっしゃってましたよね? 好きなクルマに乗り続けられて、ご家族も安泰というような金額が貯まったとしたら。

:そうですね(笑)。3億円ほど貯まったら、やめると思います。家族を養えて、子供たちを学校に行かせられて、あとはクルマも、「ヴェイロン」とか「シロン」()が欲しいとは思わないので……。ポルシェのMTと、ヴェラールと、ミニか何かを所有して、スポーツ走行する時はポルシェ。長距離移動の時はヴェラール。そして、都内での仕事や移動の時は、コンパクトなディーゼルモデルか、電気自動車(EV)でもいいかもしれません。

【編集部注】どちらもブガッティのクルマ。1台で何億円もする。

:私の人生として、あと20年は責任があると思うんですよね。ただ、テレビ関係の仕事が続けられるとは思っていません。やっぱり、テレビの仕事って緊張するし、疲れますから(笑)。何より、ずっと私への需要があるとは思えません。

立て続けにクルマに乗った今回の取材も、かなりお疲れになったはずだと思っていたのだが……

他媒体が用意したクルマも含め、計11台の輸入車に立て続けに乗り、JAIA試乗会の取材を終えた安東さん。「仕事は疲れる」と言いつつも、メガーヌから降りるとすぐ、「ばらいろダンディ」の生放送に出演するため、試乗会の拠点となった大磯プリンスホテル(神奈川県)を愛車「F-PACE」で飛び出していった。

安東さんのコラムによれば、今回の取材はさすがにくたびれたものの、愛車を運転して帰ったおかげ(?)で、半蔵門(正確には東京都千代田区麹町)にあるTOKYO MXに到着する頃には、すっかり疲労感がなくなっていたというから驚きだ。

とにかく、多くのクルマに限られた時間で乗ってもらったので、時間配分がうまくいかず、弊紙では紹介しきれなかったクルマもある。具体的にはポルシェ「パナメーラ 4 E ハイブリッド」とBMW「X3 M40d」の2台なのだが、これらも安東さんが試乗を希望したクルマだったことに変わりはない。特に「X3 M40d」については、短時間の試乗ではあったものの、「もっと乗ってみたくなるいいクルマだった」とのコメントがあったことは、ここでお伝えしておきたい。

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2019.03.27

メルセデス・ベンツの電動化戦略、「EQC」で本格化

エンジン車にも通じるクルマづくりの作法

加速はスポーツカー並み! 航続距離は450キロ

メルセデス・ベンツ初の市販電気自動車(EV)「EQC」が今年、いよいよ登場する。2019年半ば頃の日本導入が噂されているが、一体、どんなクルマに仕上がっているのか。モータージャーナリストの清水和夫さんは以下のように解説する。

メルセデス・ベンツのEV「EQC」

メルセデスの電動化を包括する「EQ」ブランド

メルセデス・ベンツは2018年9月、スウェーデンのストックホルムにおいて、バッテリーだけで走る電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)「EQC」を正式に発表した。それまでも、各国の国際的なイベントでは、同社の電動モビリティを包括する「EQ」(イーキュー)というサブ・ブランドを発信してはいたが、いよいよ、本格的なメルセデスの電動車両がEQCから始まるのだ。

ここでは混乱を避けるため、電動車両の定義とメルセデスが採用する「EQ」というサブ・ブランドについて説明しておく。

「EQ」とは「電動化」にフォーカスしたメルセデスのサブ・ブランドであり、バッテリーだけで走るBEVを「EQ」、バッテリーとエンジンを組み合わせるプラグイン・ハイブリッドを「EQ Power」、48Vのサブ電源を使うシステムを「EQ Boost」と呼ぶ。

このように、電動車両といっても、バッテリーとモーターだけで走るBEV、エンジン/バッテリー/モーターを組み合わせるプラグイン・ハイブリッド(PHVあるいはPHEVと略す)、あるいは、48Vを使う車両に見られるマイルド・ハイブリッドなど、クルマの在り方は多様化している。「〇〇社は20XX年までに全てのクルマを電動化する」というヘッドラインのニュースが世界中を駆け巡っているが、電動化の中身をきちっと理解する必要があるだろう。メルセデスの場合は「EQ」「EQ Power」「EQ Boost」の名前で整理している。

「EQ」ブランドのクルマたち

EQCは「GLC」相当のSUVをベースとするクルマだ。「Aクラス」相当のセグメントでBEVが登場すれば、「EQA」と呼ぶことになるだろう。

内燃機関はベンツの代名詞、EVはどう作る?

EQCの日本初公開となったイベントは、桜が咲く前の3月初め、メルセデス・ベンツのブランド発信拠点「Mercedes me」(東京・六本木)にて開催された。注目すべきは、メルセデス・ベンツ日本(MBJ)がEQCと家の電気をつなげる「EQハウス」という斬新なコンセプトで同車を発表したこと。EQCは自宅でも充電できるので、家との相性がよい。そこでMBJは、竹中工務店と組んで「EQハウス」という新しいアイディアを提案したのだ。クルマと家が電気でつながることを「V2H」(Vehicle to Home)と呼ぶ。日本では以前から取り組んできたシステムだ。

MBJと竹中工務店は、モビリティとリビングの未来の姿を具現化すべく、六本木の「Mercedes me」に体験施設「EQハウス」を設置した。ちなみに、「EQC」の展示はすでに終了している

ところで、EQCのカットモデルを見た時、面白いことに気がついた。EQCは「Cクラス」ベースのSUV「GLC」をベースとするが、BEVなのでエンジンとギアボックスが存在しない。そのスペースには、パイプ製のケージが設置されているのだ。パイプの内側にはフロントモーターとデフ(デファレンシャルギア)が置かれ、上部にはインバーターが配置されている。リアも同様にモーターとデフでリアアクスルが構成される。

エンジンがなくなる代わりに、「EQC」にはモーターとデフを納めたパイプ製のケージが入っている

バッテリーは床下のフロア内に格納することで重心を低く設定できる。と、ここまでは常識的なパッケージなのだが、衝突安全の剛体として、このパイプ製ケージにはエンジンと同じ強度を持たせてある。つまり、エンジン車と同じく、モジュールでデザインできるモデルベース開発(MBD)を取り入れているのだ。自動車業界で流行の手法は、EQCにも採用されていた。

EQCのボディサイズは全長4,761mm、全幅1,884mm、全高1,624mm、ホイールベース2,873mmとGLCに近いから、シミュレーションしやすい。性能を見ると、前後2つのモーターは合計で最大出力408PS、最大トルク765Nmを発生する。加速性能はV8ターボのエンジン車並みで、停止状態から時速100キロまでの加速は5.1秒と俊足だ。リチウムイオン・バッテリーの容量は80kWh。気になる航続距離は450キロとのアナウンスがあった。

「EQC」のボディサイズは「GLC」に近い。加速はV8ターボエンジン並みだ

EQCの試乗会は2019年5月に開催されるので、それまでは詳細なインプレッションをお届けできないが、スポーツカー並みの加速性能を誇るEQCは単なるBEVではなさそうだ。何か、もっとすごい仕掛けがありそうに思える。試乗会が楽しみになってきた。

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